セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「彫る 棟方志功の世界」

2023-05-23 21:16:29 | 邦画
 「彫る 棟方志功の世界」(1975年、日本)
   監督 柳川武夫
   脚本 柳川武夫  杉山義法
   撮影 田中正  粕谷行夫  神山登好
   音楽 小杉太一郎
   出演 棟方志功
   ナレーター 鈴木瑞穂

 確か芸術祭参加作品で、映像部門の会場だった虎の門ホールで観たんだと思う(試写会みたいなもの)。
 棟方志功という素朴の暴力みたいな強烈なキャラクターも勿論、面白いんだけど、それよりも印象的なのが、その狂気としか言いようのない異様な集中力と仕事ぶり、まさしく「彫る」で天才・狂人の一形態をまざまざと見せつけられました。
 彫る狂気と自分のアイデンティティだという短い夏を彩る「ねぶた祭り」、子供のように嬉々として跳人(ハネト)に興ずる姿、それを優しく包み込むように捉えるカメラ、素直で素晴らしく一番記憶に残ってるドキュメンタリー映画。

  一心不乱 神が憑きし その姿
    板木の上に 仏あらわる

※キネマ旬報社1975年文化映画部門1位。

 1975.10 (記録漏れの為、日にちは判らず)
 虎の門ホール
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「千年女優」

2023-05-19 21:37:12 | 映画感想
 「千年女優」(2001年、日本)
   監督 今敏
   脚本 今敏  村井さだゆき
   原案 今敏
   キャラクターデザイン 本田雄
   作画監督 本田雄 濱洲英喜 小西賢一 古屋勝悟
   撮影 白井久男
   音楽 平沢進
   声  荘司美代子 小山茉美 折笠富美子
      飯塚昭三 佐藤政道
      小野坂昌也  津田匠子
      山寺宏一

 長い伝統を誇る銀映撮影所が取り壊される、かつてここで働いた立花は助手の井田を連れて30年前、突然、表舞台を去った伝説の女優 藤原千代子のインタビューに赴く、昔、拾った小さな鍵を千代子に返す目的も有った。千代子は立花と井田を前に自分の人生を語り出す・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=kWujkJbIc9c
      
 時間の壁をスムーズに軽やかに超えていく演出がとても良い、それによってファンタジックさも増している、只、主人公が余りに一直線なので少し人間として深味に欠ける気がしました。
 作品の主人公でありヒロインである千代子の純な一途さを80分一直線に描き、観客にもそういう物語だと思わせといて、最後の最後に「だってあたし、あの人を追いかけているあたしが好きなんだもの」と恋慕の情が長い時間の間に、いつしか自己愛に酔ってる「健気な自分ごっこ」だったと白状させる、「恋情と健気ごっこ」混ざり合った感情、あの鍵は心の奥の奥にある最後の扉の鍵だったのではないでしょうか。
 時間軸を使った幻想と現実の溶け合わせ、ヒロインの本気と擬態の混沌、どこに真実を見るのかは観客次第と言う事なのでしょう。
 面白いのだけど自分にとって刺さるものは少なかったのが正直なところかな。
 
   君を追い ひたすら駆ける 初夏の野の
     想い届けと 蒲公英が舞う

※「日本映画へのオマージュ」、確かにそれと判るシーンが幾つもある、でも、終盤の北海道行きのシーンはソ連の「誓いの休暇」(1959年)の最後のエピソードだと思う、列車の急停止、筏、トラック(本作でも千代子を最初に拾うのはトラック(「トラック野郎」のオマージュでもある))と乗り継ぎながらの綱渡り、想い人の去った真っ直ぐな足跡はアリョーシャが母を残し村を出て行った平原の一本道、僕はそう捉えました。
※エンディング、テーマ曲のドラムスが凄くいい、昔のNHKドラマ「阿修羅のごとく」に使われてた中東の旋回舞踊(セマー)の音楽を思い出した。

 R5.5.19
 DVD
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「もしお許し願えれば女について話しましょう」

2023-05-16 19:52:23 | 映画日記/映画雑記
 「もしお許し願えれば女について話しましょう」(「Se permettete parliamo di donne」、1964年、伊)
   監督 エットーレ・スコラ
   脚本 エットーレ・スコラ  ルッジェーロ・マッカリ
   撮影 サンドロ・デヴァ
   音楽 アルマンド・トロヴァヨーリ  カルロ・アルベルト・ロッシ
   出演 ヴィットリオ・ガスマン
      シルヴァ・コシナ  エレオノラ・ロッシ=ドラーゴ
      ジャンヌ・ヴァレリー  アントネラ・ルアルディ
      
 「パリジェンヌ」(1961年、仏)のイタリア版といったところ、9話からなるオムニバス形式の艶笑喜劇。
 第一話 「案ずれば損をする」←物語の何かの伏線かと思ったら、そんな事まるで無く唖然、呆然。早トチリの話だが、まぁ、あり得ん。
 第二話 「おもて笑顔でうちしかめっ面」←おしゃべり男のひたすら五月蝿い話。一番、面白くなかった。
 第三話 「よその女房を寝取るよろこび」←あり得ん2(笑)。
 第四話 「ミイラとり」←シチリアだったら蜂の巣にしただろう、薄情な兄だ。
 第五話 「結婚式風景」←皮肉っぽいけど、只、それだけ。
 第六話 「高級パン助と無賃乗車」←セコい男の話、二番目に面白くなかった。
 第七話 「知らぬは亭主ばかりなり」←オメデタイ囚人の話。
 第八話 「女のはらいもの」←有閑マダム。
 第九話 「じらしにじらす結果は」←何事も限度っちゅうものがある、シルヴァ・コシナを見るだけの話。
 只、「パリジェンヌ」はパリの女の強かさをコミカルに描いて面白かったけど、こちらはヴィットリオ・ガスマンという知らん男優の9変化を楽しむ作品で、さして面白いとは思えませんでした。(全話、役は違えど男はガスマン一人、1話ごとに女優が変わる)
 話として面白かったのは第七話、女房の情夫を殺して7年の服役中の男が、女房の尽力で2日の外出を許される、そうなればヤル事は一つ。刑務所に戻って1ヶ月後、女房が訪ねて来て妊娠を告げる、嬉しくて有頂天になる男、しかし、それは女房の策略だった・・・、女房役のジャンヌ・ヴァレリーが中々に魅力的なのも良かった。
 第九話のシルヴァ・コシナもコケティッシュで可愛くて目の保養、この作品を借りた動機エレオノラ・ロッシ=ドラーゴ(第八話)も、かなりの年増になっちゃったけど、この頃はまだ美しさが残ってました。
 1話が10分くらいで終わるのだけが救いの作品。

   エスプリも ユーモアもなく 本能の
    おもむくままに イタリア映画

※デ・シーカの「昨日・今日・明日」が懐かしい。

 R5.5.15
 DVD
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「パリ13区」

2023-05-10 12:48:58 | 映画感想
 「パリ13区」(「Les Olympiades(Paris, 13th District)」、2021年、仏)
   監督 ジャック・オーディアール
   原作 エイドリアン・トミネ
   脚本 ジャック・オーディアール  セリーヌ・シアマ  レア・ミシウス
   撮影 ポール・ギローム
   音楽 ローン
   出演 ルーシー・チャン
      マキタ・サンバ
      ノエミ・メルラン
      ジェニー・ベス

 叔母のアパルトマンでシェアルームの相手を探してたエミリー、そこへ女性とばかり思ってた高校教師の男カミーユが訪ねてくる、同じ頃、南仏から人生をやり直そうと憧れのパリへノラがやって来た・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=bXtLH9MaTec

 21世紀の「パリジェンヌ」(1961年・仏)とも言えるような作品、但し、視点は転々とするがオムニバスではないし、皆、生粋のパリジェンヌ、パリジャンでもない、台湾系、アフリカ系、南仏から来た地方人と言うのが如何にもポリコレ優先の今風である。
 もう一つ、作品を敢えてモノクロにした意味を考えると、これはヌーヴェルバーグへのある種のオマージュなのかもしれない、タッチもトリュフォーやゴダールを感じるし、エミリー(台湾系)、カミーユ(アフリカ系・男)、ノラ(地方人)、三人の感情の移り変わりをドラマにするというのは三角形が基本と言われたトリュフォーを連想する。

 エミリーは家族関係、生活の不安定さからか殆どセックス依存症、ノラは義理の叔父との10年近い関係を精算して憧れのパリで大学に復学、だがブロンドのウイッグ、ミニスカートで出席した学生パーティでチャットポルノの有名人アンバー・スウィート(ルイーズ)と間違われ大学に居られなくなる、地元でもパリでもセックスの対象としか見られない自分に自己嫌悪してる、そして二人と関係を持つ高校教師カミーユは何故か女に不自由していない。
 そんな訳でやたらとセックス描写が多いのですが、皆、迷いながらパリの市井で自分なりに懸命に生きてる所は伝わって来ました、また、脚本を担当した一人セリーヌ・シアマ(「燃ゆる女の肖像」の監督)の作風で「見る、見られる(チャットポルノの世界)」関係からの発展も入っていて、そこも面白く感じられました。
 只、収まる所に収まってスッキリと言う結末はフランス映画として、又、ヌーヴェルバーグ風作品としても予定調和過ぎないか(あの二人が長く続くとも思えないが)、もっとフランス映画らしく含みを持たせた方が良かった気はします。
 乱倫?でも大丈夫な方なら観ても悪くないかな。

  シャンゼリゼ モンマルトルも 知らぬまま
    墨田の川に 病葉ひとつ

 R5.5.9
 DVD
 
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「最高殊勲夫人」

2023-04-26 21:52:45 | 映画感想
 「最高殊勲夫人」(1959年、日本(大映))
   監督 増村保造
   脚本 白坂依志夫 
   原作 源氏鶏太 「最高殊勲夫人」
   撮影 村井博
   音楽 塚原晢夫
   出演 若尾文子
      川口浩
      丹阿弥谷津子
      船越英二
      宮口精二
      
 中堅商社三原商事の社長夫人に収まった丹阿弥谷津子は早速、亭主 船越英二(長男)を尻に敷き三原家の次男と自分の妹を結婚させる事に成功、そして、次に狙うのは大手商社に勤めてる三男 川口浩と末妹 若尾文子の結婚、それを察知した二人は姉の目論みに反旗を翻す・・・。

  映像(音楽は別物) https://www.youtube.com/watch?v=Q2lKYDyFu7g

 僕は二回りくらい離れてるから全然、時代じゃないけど6つ上の従兄弟が若尾文子の大ファンだったし、絶対TVに出ないと息巻いてた吉田拓郎さえ若尾文子と会えるならとドラマにゲスト出演した事もある、そんな、魔性のスターの魅力を探るべく鑑賞(嘘)。
 若尾文子さんのイメージは清濁何でもござれの演技力と際どい作風でも臆せず出演して作品を支配してしまう女優でしょうか、本作では彼女の陽性で溌剌とした健康美を堪能出来ます。
 この作品の一番の長所は日本映画では珍しくコメディとして、すこぶるテンポがいいこと、淀みなく滝川のようにスイスイと進んでいく、その分、深みはないけど軽喜劇として充分以上な合格点だし、そこに若尾さんの魅力が加わり非常に見易いものとなっています。
 只、今の時代に観るには余りに前時代的で昭和男の僕でさえ「それでいいのか」という感覚で合わせるのが大変、とにかく、物語の根幹が「女は結婚して早く子供産んで家を支配するのが幸せ」で、その為にはいい会社のいい男を如何に捕まえるか、それが全ての価値観という映画だから今の女性には到底受け入れられないんじゃないかな。(と思ったら、評判は良い)
 それと舞台が東京 丸ビルにオフィスがある中堅商社で主要人物は社長一族とその社長と結婚した平民一族、そしてライバルとして大手商社の社長令嬢、殆どが女子憧れの丸の内に勤める一流社員とOL(劇中はBG(ビジネス・ガール))、庶民が観るには少し胸糞な連中ばかり。(笑)
 そんなマイナス点に目を瞑れれば、そこそこ面白い作品だと思います。
 一番可笑しかったのは口八丁手八丁の丹阿弥さんが三男の婚約をぶち壊す為、乗り込んだ令嬢の本宅で応対に出た母親 東山千栄子に話すいと間を与えられず、おっとりと喋り続けられ撃退されてしまう所、上には上が居るのが面白かったです。それと、平凡なサラリーマンの親父を演じるのが抜群に上手い宮口精二さん(「七人の侍」の久蔵)、やはり、得意な役どころだけあって流石でした。

  縁故なら 一足飛びに 社長秘書
   やってられるか ビジネス・ガール

※増村保造監督は「大地の子守歌」(1976年)でトラウマ級の苦手意識を植え付けられてたから、中々、観るのに勇気が要りました。(汗)
※最近の省略ばかりの汚い日本語に囲まれてると、この時代の日本語が何と上品でお淑やかに聞こえることか、耳の浄化になりました。
※ビール2本までは正気、3本飲むと触りたがる、4本飲むとキスしたがる、5本飲むとホテル行きたがる男、6本飲ませるとどうなるのでしょう。(笑)
※知る人は少ないけどインパクトあるジャケット写真を含めカルト的人気を持つ作品のようです。

 R5.4.26
 DVD
 
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「水の中のつぼみ」

2023-04-25 16:46:21 | 映画日記/映画雑記
 「水の中のつぼみ」(「Naissance des pieuvres」、2007年、仏)
   監督 セリーヌ・シアマ
   脚本 セリーヌ・シアマ 
   撮影 クリステル・フルニエール
   音楽 パラ・ワン
   出演 ポーリーヌ・アキュアール
      ルイーズ・ブラシェール
      アデル・エネル

 アーティスティックスイミングのリーダー フロリアーヌ、彼女の事が気になって仕方ないマリー、やがて二人は親密になっていくが・・・。

  予告編 https://eiga.com/movie/53519/video/

 ソフィア・コッポラ監督「ヴァージン・スーサイズ」(2000年)と同じ感じがした。男の窺い知れない、触れてはならない女性の内緒話を聞いてしまったような居心地の悪さを感じる作品、男には解りづらい作品でした。
 Lと聞いてるからか監督の私小説のような作品に見えます、私小説的映画という意味ではグレタ・ガーウィック監督の「レディ・バード」とも似てるけど監督の性質なのか、こちらは静謐で陰がある。
 物語は思春期の少女の憧れ、その対象となった女神の崩壊と再構築を経ての失恋、脱却という事なのかな。もし、これが私小説なら孤高を保つ主人公マリーと品性に欠ける友人のアンヌは監督の心の分身でマリーとアンヌ二人が合わさってセリーヌ・シアマという一人の人格なのではないかと感じました、そして、もう一人の自分、アンヌを見下しているマリーの侮蔑的視線も正直に描いてる。
 プールに浮かぶ二人のラストシーン、厭がっても、結局、二人は切り離せない同一人物なのだと理解してみる事にしました。(汗)

 「燃ゆる女の肖像」を創ったシアマ監督のデビュー作、まだまだ深さも芸術性も産まれる前という感じだけど、静かに「見る側」と「見られる側」の葛藤という雛形は既に表れていると思いました。
 何にせよ、余り男が立ち入る世界ではないような。(笑)

  目に映る 心はなれぬ 人もみな
   時分の花か 蝶のうたかた

 R5.4.24 
 DVD
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「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」

2023-04-20 19:52:21 | 映画日記/映画雑記
 「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」(「WHAT WE DO IN THE SHADOWS」、2014年、ニュージーランド)
   監督 タイカ・ワイティティ  ジェマイン・クレメント
   脚本 タイカ・ワイティティ  ジェマイン・クレメント
   撮影 リチャード・ブルック  DJ スティップセン
   音楽 プラン9
   出演 タイカ・ワイティティ
      ジェマイン・クレメント
      ジョナサン・ブロー
      コリ・ゴンザレス=マクエル

 秀作「ジョジョ・ラビット」の監督だし、filmarksの点数も平均ながら「面白い!」と言う人も多いので期待して鑑賞。

 ニュージーランドのウェリントンの一軒家に379歳と183歳、862歳、8000歳の4人のヴァンパイアが住んでいる、それをヴァンパイアの許可を得てクルーが撮影、「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のように各ヴァンパイアのインタビューを挟みながら彼らの日常を追っていく。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=b8pLwYXj5ew

 駄目だ、殆ど擦りもしなかった、自分には何処が面白いのかさっぱり判らん、辛うじてシュールなコメディという事は理解出来たがそれだけ、評価してる人、ごめんなさい。
 面白くなりそうな素材と発想なのに全てが中途半端な感じがして勿体ない、いっそ、吸血鬼族とオオカミ族で「ウェスト・サイド物語」風ミュージカルにしてはっちゃければ面白くなったのかもしれない、救いは85分という時間だけだった。

  店減って TSUTAYAも遠く なりにけり
   期待はずれて ペダルが重い

 R5.4.20
 DVD
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「アルプススタンドのはしの方」

2023-03-04 20:45:54 | 邦画
 「アルプススタンドのはしの方」(2020年、日本)
   監督 城定秀夫
   脚本 奥村徹也
   原作 籔博晶・兵庫県立東播磨高等学校演劇部
   撮影 村橋佳伸
   主題歌 the peggies『青すぎる空』(エピックレコードジャパン)
   出演 小野莉奈
      平井亜門
      西本まりん
      中村守里
      黒木ひかり  目次立樹

 部員4人の高校演劇部の顧問、籔博晶氏が4人で出来る劇「アルプススタンドのはしの方」を作ったら、演劇の地区大会を勝ち抜き全国高校演劇大会で最優秀賞を獲得、更に商業演劇化され映画となった。
 映画なので舞台では台詞の中にだけ出てくる吹奏楽部部長も実際に登場、商業演劇化された時の新キャスト茶道部の先生、更にエキストラとして多くの観客や吹奏楽部部員も登場するが、基本、4人が応援席の端っこでブツブツ言ってる青空の下の密室会話劇、面白いのは夏の甲子園大会が舞台なのにグランドも選手も一切映さない「枷」を作ってる事(音だけは聞こえる)、画面はスタンドの2ヶ所と球場内の通路だけで作られています。

 夏の甲子園大会1回戦、埼玉代表の県立東入間高校は強豪校と対戦中、アルプススタンドの応援席では応援の集団から離れるように演劇部員の友人二人、安田と田宮、そこへ余り話したこともない元野球部員の男子 藤野、更に少し離れた所に人付合いの出来ない勉強一筋のメガネ女子 宮下が吹き溜まりに吹き寄せられるように集まっていた、試合が進むにつれそれぞれの挫折が明らかになっていく・・・。

   予告編 https://www.youtube.com/watch?v=n1L7ud99OXQ

 いやぁ、青春してますねぇ、悩み、挫折、屈折しながらも前を向く、テーマは「しょうがない」という諦め、自己抑制の破壊。
 「ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)」(1995年)が恋愛の会話劇なら、こちらは青春の会話劇、最初、ぎこちない間の会話劇だったのが(変な間だけど、決して悪い間ではない)、次第に噛み合い出し試合という触媒を使って一つに纏まっていく様は何だかとても青春を感じてしまいました。
 最優秀賞を獲っただけある脚本で最初のバラバラ感から一つになっていく過程が上手く描かれてる、只、転から結への転換点、田宮の覚醒にやや唐突感を感じてしまったけど、全体を見渡せば十分に許容範囲でしょう。

 久々に後味爽やかな青春群像劇を観た気がします。

  かち割りを 頭に乗せて 甲子園
   今年の夏も まだまだ盛り

※タイトルにアルプススタンドと有りますが撮影に甲子園球場は使わせてもらえなかったとか、でも、本当のアルプススタンドで撮影したらエキストラの数を増やさないとスカスカになりそう、予算的にはこれで良かったかも。お陰で埼玉県予選と勘違いしたのは秘密。(笑)
※高校演劇大会の制限時間が60分の為、それをベースにした本作も75分という短い作品になっている。

 R5.3.4
 DVD
 
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「キングメーカー 大統領を作った男」

2023-02-05 21:07:59 | 外国映画
 「キングメーカー 大統領を作った男」(「킹메이커」、2022年、韓国)
   監督 ビョン・ソンヒョン
   脚本 ビョン・ソンヒョン  キム・ミンス
   撮影 チョ・ヒョンレ
   音楽 イ・ジンヒ  パク・ユンホ
   出演  イ・ソンギュン
       ソル・ギョング
       ユ・ジェミョン   イ・ヘヨン

 韓国で初めて民主的選挙で選ばれた金大中大統領と影の参謀をモデルにした愛憎劇。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=Tw9cM_-k_2k

 日本での拉致・誘拐をどう描くのかなと思って観てたら、見事に肩透かし喰った。(笑)
 人間の持つアンビバレンスを時に生々しく、時に客観的に描いたドラマとして秀逸。
 吉川英治の「三国志」に例えれば劉備と龐統の関係に似ている、孔明と劉備の眩しすぎる輝きと、その影になってしまった龐統の無念。

 韓国の映画は「タクシー運転手〜約束は海を越えて」もそうだけど、ハリウッドより強烈で抜き難い党派性が有るから、そこを割り引かないといけないのが難点。

  月夜なら 影踏む主従 わからねど
   朝日昇れば 影は影なり

 R5.2.5
 DVD
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「キャメラを止めるな!」

2023-01-20 14:25:27 | 映画日記/映画雑記
 「キャメラを止めるな!」(「Coupez」、2022年、仏)
   監督 ミシェル・アザナヴィシウス
   脚本 ミシェル・アザナヴィシウス
   原案 上田慎一郎  和田亮一  「カメラを止めるな!」より
   撮影 ジョナタン・リケブール
   音楽 アレクサンドル・デスプラ
   出演 ロマン・デュリス
      ベレニス・ベジョ
      フィネガン・オールドフィールド
      マチルダ・ルッツ
      竹原芳子

   予告編 https://www.youtube.com/watch?v=izMZgTSRPNI
      
 日本で大ヒットした低予算映画「カメラを止めるな!」のフランス リメイク。
 やはり、一発芸のような作品のリメイクは難しい、的確に言えないのだけど初作が「馬鹿のフリ」なら、それをリメイクした作品って「「馬鹿のフリ」のフリ」という距離感を感じてしまいました、だから、リメイクが初見という人にはいいけど、知ってる人間には確認作業でしかなかったし、作品自体が前半の確認作業のような感じだから、再度の確認作業をしてるようでカッタルイ。
 それと、こういうハプニングを楽しむタイプをプロがやると突き抜け方に計算が見えて、オブラート越しのハプニングみたいな薄いクッションを感じてしまうのもマイナス、と言って「カメラを止めるな!」のように収益を度外視出来ないから名の知れた役者を使わざるを得ないとこも辛い。
 リメイクにおける工夫は音響さんがスタッフに加わったくらいかな、あと、日本作のリメイクという事でパールハーバーネタが入ったくらい。 
 ちょっと節度が入ったハプニング映画という感じがしました、もっと開き直ってハジけた方が楽しくなれたと思います。

  二匹目の 泥鰌釣り上げ 食するは
   ムニエルに焼き 白ワインかな

 R5.1.19
 DVD
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「三悪人」 (サイレント映画)

2022-12-18 09:19:29 | 映画感想
 「三悪人」(「3 Bad Men」、1926年、米)
   監督 ジョン・フォード
   脚本 ジョン・ストーン
      マルコム・スチュアート・ボイラン
      ラルフ・スペンス
   原作 ハーマン・ホイッテイカー
   撮影 ジョージ・シュナイダーマン
   出演 ジョージ・オブライエン
      オリーヴ・ボーデン
      ルー・テリジェン  J・ファレル・マクドナルド
      トム・サンチ  フランク・カンポー 

 1913年に発表されたピーター・B・カインの小説「三人の名付親」、サイレント時代から幾度も映画化されJ・フォード自身も1948年にJ・ウェイン主演で映画化している、1926年制作の本作は、その「三人の名付親」のバリエーションと言っていいと思う。(三人の名前が付いた赤ん坊は最後に出て来るだけ〜三人が赤ん坊を守る話じゃなく、未来のママを命懸けて守る話)

 1877年、西部開拓が始まった頃、グラント大統領はダコダ準州にあるスー族の広大な土地を取り上げ国民、移民者にその土地を早い者勝ちの掴み取りにさせる政令を発布した、そのLand Rush(ランドラッシュ)の行われる日を目指して各地からダコタへ凄まじい人々が土地と金鉱を求めてやって来ていた、幌馬車の車輪が外れ修復に手間取ってる間に車列から取り残され単独行となったカールトン少佐と娘リーへ馬泥棒達が襲い掛かる、同じく目を付けていたお尋ね者の三悪人ブル、スペード、マイクがその襲撃に割って入るが既に少佐は死に男装の娘リーだけが残されていた、三悪人は助けてくれたと勘違いしたリーに頼られ、満更でもない三人は目的地までの護衛とLand Rushの手伝いまでも引き受ける・・・。

 黒澤明の「隠し砦の三悪人」の元ネタと言ってもいいでしょう、以前、「隠し砦の〜」の記事に書いたように、あの作品は「黒澤明の「三悪人」」なんですね、だから、三悪人は誰かという問いの答えを本作「三悪人」に当てはめれば真壁六郎太、太平、又七だけど、やっぱりそれは半分正解、半分外れで黒澤明が作った(J・フォードの)「三悪人」と言うのが正解なのだと思います。
 ブルが三船敏郎、コメディリリーフのスペード、マイクが太平、又七、気の強いリーが雪姫、更にダコタの土地には金鉱がある(この金鉱の設定、最後はウヤムヤになってるのはご愛嬌)、田所兵衛は居ないけど。
 こう考えるとアメリカのJ・フォードから日本の黒澤明がヒントを貰い、今度はそれをヒントとして再びアメリカのG・ルーカスが「スターウォーズ」としてお里帰りを果たす、中々、壮大な転生物語になっています(笑)。
 この三悪人には聖書の「東方からの三賢人」の意味も有るそうですが、それはさて置き流石にJ・フォード、お話も面白く、切なく最後は涙がポロリだしG・スナイダーマンのカメラが映し出すLand Rushの迫力ある映像は「ベン・ハー」(W・ワイラー監督)の戦車戦より凄まじく、同じフォード監督の「駅馬車」襲撃よりもスケールが大きい(ロンドンで黒澤さんがフォード監督に会った時、「馬のスピード感をどうやって出すのか」聞いたらウィンクしながら「解らんようにコマを落とすんだよ」と答えたとか)、まぁ、このサイレントの時代はあからさまにコマ落としがバレバレだけど、やはり、馬の疾走感は目を見張るものが有ります。
 物語は中盤以降、三人組がリーの婿探しをしたり、リーとダン(実は、この人が主役(笑))という男とのロマンス、三悪人と悪徳保安官一味との確執から対決へと、「隠し砦の三悪人」とは違う方向へ進みますが、それも見応えあるものでした。
 先住民スー族にしてみれば、たまったものじゃないけど、1926年のアメリカ映画として見れば中々の秀作だと僕は思います。(ちょっと、youtubeにupされてるモノとはDVDは音楽が違う気がする、DVD版の音楽は平板で面白くもなんともない)

 「三悪人」(日本語字幕なし) https://www.youtube.com/watch?v=LytEexTOriA
  1:06分辺りから始まるLand Rushだけでも見て損は無いと思います。(途中、馬車が壊れて悲嘆に暮れる老夫婦が笑顔になるのは
  エンコした所の土が肥沃だったから)

   長かりし 浮世の闇よ 打ち捨てん
     旅の終わりの 晴れわたる空

※「七人の侍」の山塞焼き討ちって、本作の教会焼き討ちがヒントなのかも。
 火を付けるのは悪徳保安官一味で違うけど中にブルの妹が居たりシチュエーションが似てる気がする、そういえば六郎太と妹も死に別れではある。
※あと、1:15:30辺りの平原に保安官一味が姿を現す所なんかも、野武士達が村を襲おうと稜線に姿を現すシーン、巻頭の野武士達登場シーンに似てると言えば似てる気もするし、イカサマ師のスペードが最期、カードを一枚投げ捨てるのも久蔵を思い起こしてしまう。
※しつこく似てると言えば(汗)、山中貞雄監督の「河内山宗俊」の終わりの方にも似てる。

 R4.12.17
 DVD(日本語字幕付き)
 

 
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「RRR」

2022-12-03 14:04:56 | 映画感想
 「RRR」(「RRR」、2022年、印)
   監督 S・S・ラージャマウリ
   脚本 S・S・ラージャマウリ
      サーイ・マーダヴ・ブッラ
   原案 K・V・ヴィジャエーンドラ・プラサード
   撮影 K・K・センティル・クマール
   編集 A・スリーカル・プラサード
   音楽 M・M・キーラヴァーニ
   出演 N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア
      ラーム・チャラン
      アジャイ・デーヴガン  アーリヤー・バット
      レイ・スティーヴンソン  アリソン・ドゥーディ
      オリヴィア・モリス

 1920年、大英帝国の弾圧下にあるインド、2枚のコインで総督夫妻に妹を連れ去られたビーム、胸底に大志を隠し警察組織で出世を狙うラーマ、地元太守の忠告から総督府をビームの襲撃から守るよう幹部昇進と引き換えに命令されるラーマ、そんな二人が或る出来事を切っ掛けお互いの素性を知らぬまま兄弟のように親しくなる・・・。

  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=c8wjdKMst18

 名作「バーフバリ」監督S・S・ラージャマウリの新作。
 何か自作の二番煎じを感じてしまいました、この監督の持ち味は「外連(けれん)」なのでしょう、でも外連はスタンダードがあってこそ生きる、「毎回、外連はクドイ」と僕は思います、本作も外連好きの方達には大好評のようですが飽きられるのも早いんじゃないかな、僕はもう飽きた。(汗)
 極端な荒唐無稽を超絶なスケールと濃密な物語で創り出す、これは「バーフバリ」という神話だから面白いのであって1920年頃のインドという実在する時間に前作のような神の化身を落とし込まれたら素直に反応出来ない。マカロニ・ウェスタンのように弾の尽きない小銃や弓矢、その癖、既に実在する機関銃は出てこない、重ねて書きますが「バーフバリ」は擬似神話だから有り得ない事もエンタティメントとして成立出来るのです、観ていて確かに面白くはある、でも3時間、何処かで醒めてる自分も居ました。
 「バーフバリ」を未見の人には面白いかもしれませんが、僕は「バーフバリ 王の凱旋」完全版の方が遥かに面白かったです。
 S・S・ラージャマウリ監督、既にパターン化して自縄自縛に陥ってしまっている、貴方の才能はまだ有ると信じたい。

  天竺の 益荒雄ぶりや すさまじき
    運慶呼びて しばしとどめん

※「RRR」、火(fire)の化神のr、水(water)の化神のr、ここまでは間違いないけど3つ目のrは物語(story)だったか、ちょっと自信なし。(汗)
※二人は実在するインドの英雄、ただ史実では二人に面識はないという、その二人がもし出会っていたらという着想で作られた作品だそうです。

 R4.12.2
  ユナイテッドシネマ豊島園 IMAX2D
コメント (2)
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「コーダ あいのうた」 

2022-10-06 11:05:50 | 外国映画
 「コーダ あいのうた」(「CODA」、2021年、米・仏・加)
   監督 シアン・ヘダー
   原作 ビクトリア・ベドス 「エール」
   脚本 シアン・ヘダー
   撮影 パウラ・ウイドブロ
   音楽 マリウス・デ・ヴリーズ
   出演 エミリア・ジョーンズ
      トロイ・コッツァー
      ロッシ - マーリー・マトリン
      ダニエル・デュラント
      エウヘニオ・デルベス  フェルディア・ウォルシュ=ピーロ

 高校3年生のルビーは家業の漁を手伝いながら通学していた、父母兄は揃って聾唖者で対外交渉は只一人健常者であるルビーが担ってる、新学期を迎えて単位であるクラブ活動を選択する時、気になっていた男子の後を追って合唱部へ入るのだが・・・

 予告編 https://www.facebook.com/uplink.joji/videos/%E6%98%A0%E7%94%BBcoda-%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%80-%E3%81%82%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%86%E3%81%9F%E4%BA%88%E5%91%8A%E7%B7%A8/434775911336040/

 凄く良い作品だと思う。民主党の牙城であるハリウッドの近年の主題、多様性、マイノリティへの連帯というテーマに沿った作品で、ある意味「賞狙い」とも言えるあざとさを感じないでもないが2018年の「グリーンブック」(監督ピーター・ファレリー)同様、問題意識とエンタメ性の調和の取れた作品で邪念を排し素直に誉めるべき作品だと僕は思いました。

 タイプとしては聾唖という障碍者の味付けをしてるけど、よくある家族からの巣立ちを描いた作品で、その意味で近年の「レディ・バード」(2017年、監督グレタ・ガーウィグ、主演シアーシャ・ローナン)と似ていてネガとポジのように見えました。現実から逃避し厨二病的誇大妄想から現実という試練を経て等身大の自分となって成長する「レディ・バード」、障碍者家族の中のただ一人の健常者という色眼鏡と否応なく世間との交渉を一手に引き受けねばならない抑圧、そこから歌によって本当の自分を見つめ自立していく主人公、こちらの作品の方が陽で「レディ・バード」より共感し易いし楽しく感じられると思います。(どちらにリアリティがあるかと聞かれれば「レディ・バード」かな、リアルな分、嫌味が強い)

 印象に残ったシーンは合唱部のデュエット相手とのファースト・キス、何て事ない普通のキスシーンだけど、何故か近頃で一番綺麗に感じてしまいました(※個人の感想です)、逆にちょっとアンフェアでご都合主義に感じたのは音楽大学受験で自分の先生が伴奏してしまうところ、あれが認められるなら皆、自分の先生に頼むよ。
 役者陣ではヒロインのエミリア・ジョーンズが中々の好演でチャーミング、数多くの演技賞を獲った父親役トロイ・コッツァーは確かにいいけど、自分としては言い合いばかりながら誰よりも妹を理解している兄レオを演じたダニエル・デュラントの方が印象に残りました。
 
 流石にアカデミー作品賞を獲っただけはある、お薦め出来る作品です。

  一冊の 古きアルバム 残し置き
   夏の終わり 君は巣立ちぬ

※コーダとはA child of deaf adultの頭文字を取った言葉で(聾者の子供)という意味、でも、楽器をやった人ならCodaという反復記号にピンとくるはず、日々の反復から抜け出せない事をこの音楽記号に掛けているのでしょう、音楽記号のCoadはto codaを使えばCodaの反復を終えて次の小節に進みます。(下手な説明なので、Coda 音楽記号で検索して下さい)
※不謹慎かもだけど、確かに手話では内緒話、ヒソヒソ話というのは難しいと思う。(秋のコンサートシーン)
※ハダカは無いが笑いの殆どが下ネタ、家族で観ると気まずくなるかも、こういう下ネタも近い将来規制されていくんだろうな。

 R4.10.5
 DVD
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近況報告

2022-09-04 21:06:17 | 雑記
 大分、空白期間が続いてるので生存報告。
・映画 漸く観たい作品を見つけたけど8月末に誘われて半額セールの箱根に行く約束があり、映画館行ってコロナ掛かって迷惑かけるのも何だかと思って自重(持病、服薬で肺機能が低下してる)、帰ってきて上映館探したら関東の端っこで1館だけがやってる状態だった。(涙)
・映画 9月1日レンタル開始の作品があったので、【最新作】落ちしたら借りようと思ってます、どのみち、コロナで縮小されたとは言え今年は祭礼があるので、それ以後になります。
・映画 以前より観たいのが1本あるのだけど上映後はネトフリ専用でソフト化されないのです、もう10ヶ月位待ってるけど気配なし。
・クーラー古いので効きが悪く夏乗り切れるか心配だったけど何とか乗り切れたかな、我が家は午後の殆どの時間遮る物なく西日が差すから夏は恐怖以外何モンでもない、特に歳取ると。(笑)
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「サマーフィルムにのって」

2022-05-30 19:48:34 | 映画日記/映画雑記
 「サマーフィルムにのって」(2021年、日本)
   監督 松本壮史
   脚本 三浦直之(ロロ) 松本壮史
   撮影 岩永洋 山崎裕典
   音楽 剣持学人
   出演 伊藤万理華
      金子大地
      河合優実  祷キララ
      甲田まひる 板橋駿谷

 高校の文化祭に向けてキラキラ恋愛映画を撮影中の映画部、部員のハダシは恋愛クソ喰らえの時代劇ファン、当然、浮いているが「武士の青春」というシナリオを作っていた、そんなハダシの前に主役のイメージ通りの凛太郎が現れて・・・

   予告編 https://www.youtube.com/watch?v=FamzWGTW5Kw

 「カメラを止めるな!」のように単館上映から口コミでジワジワと拡散していったらしい。(wik調べ)
 「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」(2008年、監督 塚本連平)ほど酷くはないけど製作費が安いのモロ解りの作品、映画の中で自身が「キラキラ青春恋愛映画なんてクソ喰らえ!」と言ってるけど、中身は立派にキラキラ青春映画で、そこの魅力だけで見せてるかなりの力技映画でした。(笑)
 確かに悪くない、悪くないのだけどディティールが余りに雑すぎる、97分という短い作品にも関わらず徹頭徹尾「ご都合主義」で駆け抜けてる、そこが清々しいと言えば清々しいけど、もうちょっと丁寧に作ったらかなりの作品になり得た気がして、勿体ない気もしました。
 雑だからオープニングから始まる人物の描き分け、仲間集めの面白さが全く感じられず、只、話を追って見てるだけで何の感慨も湧かない状態が続いて集中力が切れ掛かりました、撮影ファーストカットが決まらず悩む辺りから漸く見られるようになってきた感じ。
 少年マンガ風に始まり、それが続いていたのに終盤、急に少女マンガみたいな世界になるけど、製作費の縛りの中の頑張りと緩〜い映画愛が伝わってきて感動半分健気半分で見終わりました。
 ガールズムーヴィー、青春キラキラ映画が好きな方に、但し、ご興味があればという事で。

 凄く個人的な感想だけど、同じタイムトラベルもので題名も似ている「サマータイムマシン・ブルース』(2005年、監督 本広克行〜瑛太、上野樹里、真木よう子、佐々木蔵之介、顔ぶれ凄いけど皆んなブレイク前)とセットで1本という感じ、「サマータイムマシン・ブルース」はタイムパラドックスを逆手に取った「辻褄合わせ」を楽しむ作品で、この作品とは「製作費安そう」と「学生たちの集団劇」以外、何も共通性ないけど変な哀愁感が似ていて2本セットで観ると面白いんじゃないかな。(個人の感想です、保証はしません)

※「サマータイムマシン~」はタイムトラベルの辻褄を合わせようと必死に考えた脚本、こちらのタイムトラベルは只の味付けです。(汗)
※夏、クーラーの無い車中は夜でも暑いと思うぞ、開けっ放しのドアからは虫も入り放題だな。(笑)

  空向かい 咲き誇る 向日葵も
   咲かぬ花あり 時は戻らず

 R4.5.30
 DVD
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