わたしの学生時代からの畏友S君は、自分で包丁研ぎをする。
今、家に砥石を持ち、包丁を研いでいる家庭はどれだけあるだろう。わたしの家では砥石はあるが、ほとんど使っていない。
S君は共稼ぎということもあってか自分でも料理をする。 また釣りが趣味で、釣った魚を自分でさばく。
釣りすぎた魚は、時にさばいてから近所に提供する。さばける家が少ないからだ。
そんなとき、自分の研いだ包丁が活躍する。
S君によると、研ぎには、粗(あら)研ぎ、中研ぎ、仕上げと、三つの段階があり、それぞれにちがう砥石を使うのだという。
ふだんよく研いでいる包丁であれば、中研ぎ、仕上げだけで十分だが、鈍(なま)ってしまった包丁は、粗研ぎから始めなくてはならない。
S君のところでは、中研ぎ、仕上げしかする必要がない。
包丁を研いでいると、心ががどんどん研ぐことに集中してくるそうである。
切れ具合は刃先にそっと指を当ててみるだけでわかるという。 仕上がり加減を五感を磨ぎ澄ませ見極めながら研いでいくのであろう。
S君にとって研ぎの時間は、心が澄んでくる幸せな時間であるにちがいない。
日頃は仕事で多忙をきわめるS君だが、いつ会ってもせわしなさを感じさせないのは、この包丁研ぎの幸せな時間を持っているからかもしれない。
2001.10.14
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