My Home Town(旧風力発電と子育て日記)

観光と風力発電と子育ての日記です。

当日記の内容については風車ファン以外の無断での転載転用を固くお断りします。

電力の固定買い取り制度に対する私見

2012-01-08 21:24:57 | 風車日記
一昨日も触れたのですが今年の7月から新エネ電力の固定買い取り制度が始まります。
新設の風力発電についてはkWh当たり20円程度の買い取り価格が予想されている
ようですが、既設の風力発電設備についてはどうなるのかよくわかりません。

中には既設の設備は建設時に補助金の交付を受けているのだから、固定買い取り
制度の対象にするのはおかしい、という意見もあるようです。
補助金申請の際の収支計画で黒字になることを前提としているのだから、今更
上手くいかなかったから更に電気を高く買い取って欲しいというのは虫が良いと
いうことでしょうか。

確かにそれも一理あります。相当いい加減な建て方をしている風車も多いですし、
以前からこのブログでも何回も取り上げていますが、税金から補助金を受けている
にも関わらず情報公開があまりにもなされていないのは大きな問題です。

ただ、当町の風車は自治体風車なので補助率は45%です。厳密に計算したわけでは
ありませんが、順調に20年間運転したとして固定買い取り制度に置き換えるとkWh
当たり15円~16円程度になると思います。

予想される新設風車の固定買い取り価格は20円ですから、簡単に言うと国内での
風力発電に関する知見が蓄積されていない時期にリスクをとってチャレンジした
事業は、いやらしい言い方ですが損をしたことになります。

民間の事業者だと補助率は30%切ってますから、これは厳しいですね。

先行者として有利だった面もあるだろうという反論もあるでしょう。すぐに思いつく
のは風況の良い場所を確保できるチャンスが大きかったのではないか?ということだ
と思います。確かにそういう面はあるはずですが、先に事業に着手したから必ず良い
サイトにたどりつけるというほど単純なものではありません。

さらに、後発者にも理屈の上からは先行者には無いメリットがあったはずです。(その
メリットを生かせていない事業者が多いのは問題ですが。)
風の乱れや落雷による影響や風車の故障や保守に関する知見などはこの10年で随分
蓄積されているわけですから、事業者にその気があればこれから建設する風車は存分
にその知見を生かすことが可能です。これは大きなメリットですし、10年前と比べた
ら風車そのものの性能も向上しているでしょう。

条件に恵まれたサイトで運営する風車を1カ所だけ所有して、そこで黒字を維持して
いくだけであれば電力の買い取り価格はkWh当たり20円未満でも可能だと思いますが、
社員を雇って人材を育成しながら複数のサイトを開発し、事業を継続的に発展させて
いくにはやはり最低20円/kWhの買い取り単価が必要になると思います。
まして、風力発電所建設が環境影響評価法の対象となったことを考えると20円/kWh
は譲れないラインでしょう。

以上は定量的なデーターに基づく考察ではありません。
なぜなら肝心な情報公開がほとんど為されていないからです。
今までは風車建設に対する補助金が税金から支出され、今後は消費者が支払う電気料に
上乗せされる形で国民負担が生じます。
国民には電気を買わないという選択肢は事実上ありませんから、固定買取制度は増税と
同じことです。

再生可能エネルギー事業者にどのような責任が生じるかは言うまでも無いことです。
その責任が果たされるのかをしっかりと見届けることが重要です。


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1 コメント

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風車と騒音 (小栗 良夫)
2012-05-15 17:25:51
初めてコメントさせて頂きます。ブログ内容から役所関係の方かと窺え、風車設置については詳しい方のように思いました。
旧大東町に常駐しておりますが、先日の夜70Hzから80Hz程度の風切音が聞こえ、眠れぬ夜を過ごしました。近隣者への騒音、生態系への心配(海亀の産卵など)、大きく考えると地球の自転への影響など考えたり、調査したことはありますか。 くろしお風力発電という会社もホームページになく責任問題に対応できるか心配です。 自己紹介のような方なら1度お話がしてみたいものです。
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