Bunkamuraシアターコクーンで公演中の「藪原検校」23日ソワレを観劇しました。
大人向けのお芝居でした。
ネタバレあります。よろしく。
作 :井上ひさし
演出:蜷川幸雄
音楽:宇崎竜童
出演:古田新太、田中裕子、段田安則、壌晴彦、六平直政、梅沢昌代ほか
ギター演奏:赤崎郁洋
あらすじ(パンフより)
江戸中期、塩釜。
魚売り七兵衛は女房のお産の金目当てに座頭を殺す。
しかし、生まれてきた子は盲。めぐる因果の恐ろしさに自害する七兵衛。
子どもは塩釜座頭、琴の市に預けられ、杉の市と名をもらう。
しかし、手癖が悪く手が早い杉の市は、師匠の女房にまで手をつける。
人殺しを繰り返し、金を盗み、検校の地位を目指すのだが・・・
いやぁ~面白かった~
大人のお芝居、R-18指定でした。
1973年初演の作品だそうです。
井上先生、昔の作品の方がエネルギッシュで、面白いような・・・
それに世間に対する風刺も効いてます。
濡れ場で歌を歌うのは、「天保十二年のシェイクスピア」で経験済みだけど、
あれよりパワーアップです。
井上先生、歌詞も過激でしたよ。
「天保十二年のシェイクスピア」は歌謡曲風だったけど、
今回のは、ロック風とフォークソング風。
あれ?どっかで聞いたような・・・と思ったら、
宇崎竜童さん、わざと昔の「風に吹かれて」に似せて作ったんですって。
いいのかい?いいんだよね。
伴奏はギターの生演奏です。
生ギターいいね、生はやっぱり迫力あります。
三味線風だったり、太棹風だったり。
上手の一角が座席。ギターも色々取り替えます。
壁にギターが何本も掛けてあって、ちょっと楽しい。
ギターの裏側叩いたり、効果音を入れたり。
船の汽笛は出演者が口で言ってましたね。
この芝居は舞台装置とか手作り感があって、面白かった。
舞台も綱で縦横に仕切られてます。
これは、ト書き通りなのだそう。
座敷になったり、川になったりします。
舞台転換のたびに、黒子の方や出演者の方が手作業で、動かします。
その綱を盲人役の方は、杖で確認して、踏み越えたりします。
盲人たちを規制している社会を象徴的に表現している、というところかな。
杖でリズムをとったりします。ロック風でおしゃれ。
でも、コツコツさせて、歩くのは大変そうだし、
ちょっと、音がうるさくて邪魔~とか思ってしまいました。
これって健常者側からの視点なんですよね。
・・・などという、やわな反省の精神なんて吹っ飛ばすほど、骨太の面白い舞台でした。
古田さんホントお上手です。味あるし、貫禄あるし。
早物語、ラップみたいなのを喋るのだけど、
台本12ページ分もあったそう。
すごい、面白かった。
ああいうの、本当に昔からあのスタイルであったのかしら。
民衆のエネルギーぽくて、びっくり感心しました。
古田さん、小技もいろいろあって、笑えました。
顔芸で笑えるって・・・スゴイ。
盲太夫の壌晴彦さんもすっごい台詞の量。
上手で座って、話の解説をずーっと。
おつかれさまでした。
段田さんも声いいですね。
「贋作罪と罰」よりずっと適役でよかったです。
田中裕子さんいいなぁ、色っぽくて。
上品な役じゃないけど、変に下品にならなくて、
はじめて舞台で観たけど、声もステキだし。
独特のムードがあって、もっと観たい方です。
裕子さんが切られて川を流されていくの面白かった。
手作業で流れていくの、動きが新鮮でしたね。
赤い布がでてくるのも、オチャメで素敵。
最後のシーンも凄い残酷物語、日本人て本来エログロ民族かね。
でも、人が切られて血が流れる場面、
とても手際よくて、見とれてしまいました。
「タイタス・アンドロニカス」の時と同じ赤い糸で血を表現してます。
その血が盛大に長くて、一気に噴出す感じ。
おおっ~!でした。
筋は良くない話なんだけど、観終わってすっきりでした。
イヤな気分にならなかったのは何故かな。
よくわからないけど、異次元の異空間に飛ばされた気分、かな。
カーテンコールでは裕子さんにっこり。
古田さんの投げキッスを「よくやるよ」って見ていた壌さん。
みなさまお疲れさまでした
なかなかオススメの舞台ですよ~