余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

静寂のなか

2021-06-16 23:46:16 | ウイルス時代(短歌)
静寂のなか
桃がころがり
ふれ
あなたの字さえ
鼓動を助ける
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岐路

2021-06-16 00:54:23 | 十五の詩
人はある時期が来ると
岐路に立たされる
道、道に広がるものは見えもしない
見えないけれども選ばねばならぬ
鈍牛のようでも蝸牛でも
サラブレッドでもコンドルでも
決められた道なのか
それでも望む幸福の色彩
鏡の池には
望まぬものが浮かび沈む
ひとときの出会い
とわのひととき
今、私はその岐路に立っている
望むのも望まぬものも私次第
私は私の道を進む
魂と心の満ちる道を
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狂った爪

2021-06-16 00:47:07 | 十五の詩
私はあなたに溺れていく
不覚深く
暗く底の薄明かり
溺れる私は満ちている
深く息を吸い込み
潜るのはあなたの深遠
私の爪はあなたの肌を
あかく腫れさせるもの
あなたの肌の冷たさを
驚くほど蒸気してあげられる
そして私は溺れていく
あなたのそのかたまりと
ぬれた先を
私の内に艶のある吐く息と共に
心に響くたけりとこいし
私は望む 狂った爪を
あなたを深く求めるために
あなたと奈落の痺れのために
肌をなでる
あなたの安らかな眠りを待ち
あなたの愛を心身で感じて
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遊牧のマント

2021-06-16 00:43:14 | 十五の詩
崩れそうになる身体を支える
片腕は
悲しみで表現された筋肉
やっとのおもいで支えている
あなたを愛していた
どれほどのもの
そんな問いは必要ではない
あなたを愛していた
狂おしく唸る片腕は
あなたと交わした愛を語り
時折過ぎ去るさみしさは
あなたの幻が浮かびあがる
あなたはこの愛を受け入れ
僕はあなたへの愛を引き入れる
この多大な摩擦は
とろけ波となり
うねりそして渦を巻く
どうあらわせばいい
あなたさえ知ってもらえたら
あなたが息づく
その吐息でわかってもらえたなら
愛してる
どんな澱みも通さない
神秘という濁りなき虜
僕はあなたを必要とし
あなたも僕を必要とし
もしこの世に愛が
いや二人のふれあった
出逢ったあの時の魂のふれあい
僕は望み
僕はあなたを愛している
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白夜の象徴

2021-06-16 00:36:15 | 十五の詩
明るくもあり暗くもある
沈まぬ太陽が目頭を染める
眠れぬ疼きは慰めもするし
見せない悲しみを増幅もする
けったいな涙は心の象徴
そばだてたものはポケットの中
入りきらなかったものは
大切なもの
見えるものと見えないもの
ポケットに入れてはいけないもの
そんなものまで入れようとして
そして視界が遠ざかる
むしめがねで集めた光は
熱を溢れさせ燃えさせる
白々しくなる夢の音色
乳白色に塗られた夢のもや
人形が土にまみれて横たわる
梟が鳴く
深夜の明るさ
時を狂わす思考の上下
ライトが次々と通りすぎる
ホテルの明かりは空室をほどかせ
隆起はびくつく
光り照らした竜骨に
しろびかりの肌が感情を表現する
とまどい
白の感覚からとんだ目隠し
茫然自失した剥奪は
淡くぼやけうるみを呼び覚ます
リフレインする豊かさは
赤を一滴こぼす形
体はきつく縛られて
苦しみは体内をトンネルにする
白夜はなぞなぞを施して
愛する人はいずこへと
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