いにしえの景色
辿ってきた道を振り返れば
古人が残してきた
匂いや影が見えてくる
あいくるしく
朝焼け 夕焼け 月夜 夜更け
つくられた伝記や営みは
今も残像となって重なり
時空を越え 大地を育む
現世があり
そして未来がある
だが決して忘れずにある
僕らが歩んできた古き望郷を
その場所の匂いを
目を閉じれば浮かぶ
イメージの断片
魂のゆらめき
瞬間の中で生き
可憐に奏でる時の流れ
出会い
別れ
その瞬間を生きている
記憶は瞬間を積み重ね
孤独は常に青空を見る
現れて
消えて
過去、現在、未来へとつながる
つながりは手をあたため
夢を見る
僕はまた瞬間に出会い
そして瞬間に記憶する
切なく燃える時間を
いとしくなで
次の瞬間へと
いとしくなでていく
解体と再生を繰り返し
何度も幾度も手を加え
何時間と
何日と
じっとひざを抱え見つめ続ける
襲ってくる想像主は
残酷な不味さを舌に残し
ズタズタに爪が汚れてる
座り続ける尻と膝は軋み
北風がきこえてる
動植物が冬眠する
長い季節のはじまりは
僕も固まりくくられる
くくられながら手を加える
未完ではいけない
完成された美を求め
焦燥と視覚が鈍くうつむく
荒れ惑う中から
周りをものともせずに立ち
見据える眼は
瞬きを見ることはない
誕生の瞬間
突如として現れるが
瞬間に現れるわけではない
取り込みながら
自身の広がりを結びつける
時空の物々しさ
神髄を探し
傷は全うして憐れむ
清潔さは瞳に宿り
手の平で愛憎を
足先で自由をふみ
隠れてナミダを飲み込む
ヒーロー
憤怒を後ろに携えて