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余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

変半身

2023-09-20 22:57:44 | マイブック(ま)
「変半身」
      村田沙耶香 著

二編からなり、一編は変半身。
ある島の祭り。
その祭りの奇祭に三人の男女が行動を起こす。
物語は反転しひるがえり、
どうしようもないほどの人間の品性が現れる。
元ある世界自体が色をかえ壊れ変容していく。

もう一編の満潮もまた世界の一片。

屋根屋

2023-09-11 23:49:07 | マイブック(ま)
「屋根屋」
      村田喜代子 著

夢。
眠りにつくと現れる夢。
夢は不思議だ。
ひろがり、それは途轍もなく広い。

雨漏りの修理に来た屋根屋の永瀬。
彼は夢を自身のおもうままに見られるのだという。
私、
主人公の私は彼に教えてもらうため、永瀬と夢を共有する。
夢の行きつく先。夢と現実の境。
飛ぶことの変身することの愉悦。
夢はまたひとつの世界となっていく。


夢。
憶えている怖い夢。

2023-09-11 23:32:10 | マイブック(ま)
「光」
      道尾秀介 著

少年時代の冒険はとてもまぶしい。
冒険には大が付くだろう。
子供のころのことを大人となって振り返り語る。
利一が小学校のころのかけがえのないもの。
思いはあふれる、とめどなく。
そして紡がれて今へと繋がる。


ぼくもまた振り返る。
家路の途中、太陽のきらめき、土の匂い、海の広さ、空の変化、物たち。
春の冒険、夏の冒険、秋の冒険、冬の冒険と。

授乳

2023-01-29 00:39:16 | マイブック(ま)
「授乳」
      村田沙耶香 著

三編のどれも”わたし”の独自の世界観でおおわれている。
授乳の家庭教師とわたし、コイビトのぬいぐるみとわたし、
御伽の部屋の正男おねえちゃんとわたしと要二。
世界観は性と連結しており、多様のなかを泳ぎながら溺れる。
気付きは何をもたらすのか、そもそも気付きとはなんなのか。
わたしはわたしや、わたしとあなたのその意味。
あなたはあなたとして見てしまえば、それは途切れた夢想となり、
世界は一方通行で閉ざされていく。
世界に光はなくなり、深閑としただけの物語が存在する。
誰も語ることのないそれは土に帰るだけのものとなり、
世界は名だけとなっていく。


覚え書
言葉の意味は知れど文字をおうごとに訪れる光景、
景色、匂い、目視、耳触り、肌触りで起こる感情ごとは
少しだけの練習が必要となる。
周りの環境いかんで文字はすべってばかりいく。

孤独の意味も、女であることの意味も

2023-01-27 00:20:38 | マイブック(ま)
「孤独の意味も、女であることの意味も」
      三浦瑠麗 著

その孤独、女という性が目の前にある。
タイトルにあるその二つが、
赤裸々という言葉に表せられる。
孤独はみなに与えられ、性は誰しもが直面する。
自身は他者、その人をどれだけ知り得るのだろうか。
その人の見えるまた見せられた部分だけを知り、
それで一部が全部となる。
血は糸で結わえられて、
光と影は心のなかで囲われている。
自身も分からないくらいの、朝と影、昼と影、夜と影。
とびとびの時間軸で語られるその体験は、
経験した物語として存在する。
国際政治学者の著者、
個と公は繋がっているが、ガラスごしと、
もしかしたらいえるのかもしれないとふとおもう。