栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

岡山弁は「ぼっこーきょーてー」。

2013-08-10 10:32:04 | 視点
 暑中お見舞い申し上げます。

 立秋(今年は8月7日)を過ぎると「残暑」になるので、本来は「残暑見舞い」と言われますが、
私はこの説には従わず月遅れの盆が過ぎるまでは「暑中」で通しています。
月遅れ盆の頃になると朝夕の風や雲に小さな秋の訪れを感じるようになるからです。

 それにしても暑い! 残暑どころか、猛暑という表現の方がピッタリ来ます。
年々日本は暑くなっているような気がしますね。
九州地方はもう完全に亜熱帯気候。そういう声を数年前から頻繁に耳にするようになりました。
 冷房嫌いの私も年々冷房を入れる回数が増えだしました。
決して年齢のせいだけではないと思っていますが、果たしてどうでしょう。
それでもまだ冷房を入れて寝たことはありません。

 日中の気温が40度近くになると、もう脳みそは沸騰状態。
まともに物を考える力はなくなりますね。
そんな時にタイミングよく、岡山の中原鉄工・中原成始郎社長から面白いメールが届いたので、
それを紹介することにします。
 方言に関する話です。

> 岡山県には、3ないし4類型の方言が存在するとのことです。
> パターンは 備前 備中 美作 各地だそうで 命令形でいうと以下になるそ
> うです
>  せられー  しねー しんちゃい しんさい
>  こられー  きねー きんちゃい きんさい けー

 岡山地方の方言(便宜上、岡山弁と表記)に接したことがない人にはチンプンカンプン、
なんのことやらさっぱり分からないでしょうね。
かく言う私も18歳までしか美作弁に接してなく、以後は美作弁もほとんど使ったことがない
デラシネですから、感覚的にしか分かりまんが、これに関しては大体分かります。
 上段は「しなさい」、下段は「来なさい」という意味の命令形で、備前、備中、美作地方で、
このように言い方が変わるということでしょう。

 次は面白い岡山弁の使い方が紹介されていましたが、皆さん、意味が分かりますか。

> ☆ バアチャン ハヨー シネー
> ☆ ケイコ コケー ケー ココ ココ
> ☆ ホットカレー 
> ☆ キクカワレー

 これを見て(聞いて)、岡山県人は恐ろしい奴だな、と思わないで下さいね。
平気で婆さんに「早く死ね」と言っているではないか、ですって。

 いやいや、「はよー、しね」というのは「早く、して」。つまり「婆ちゃん、早くしなさい」という意味です。
 これ、博多弁だと「はよーせんと」「はよーせんね」と言うんですかね。

 2番目の例は鶏の鳴き声ではありませんよ。
漢字で書けば「景子、こけえ来え。ここ、ここ」となります。
 ケイコという、恐らく娘さんの名を呼び、電車の中かどこかで、隣の席を指し、
「ここに来い、ここに」と言っている情景が目に浮かびます。

 3番目の「ホットカレー」はカレーライスの種類、じゃなかった。「ほっときなさい」という意味。
 最後のは漢字で書けば「菊、買われー」。「菊を買って行きませんか」「菊を買って下さい」という意味でしょう。
 動詞の最後に付ける「れー」は命令形? それとも丁寧な言い回し?
その辺は門外漢でよく分かりませんが、方言には昔のみやび言葉が残っているように感じます。
 松山の「おいでる」(在宅という意味での「いらっしゃる?」、
あるいはこちらに「来る」という丁寧語の「お出でになる」)なんかもいい言葉ですね。

 岡山といえば桃太郎伝説が有名。
だからというわけではないでしょうが、岡山弁ではイヌとサルは同じことです。
だからといって犬のことを猿と呼んでいるわけではありませんよ。
もし、そうだったら桃太郎の家来の見分けが付かないことになりますから。

 「イヌ」は漢字で書けば「去ぬ」で、これは「去る(サル)」と同意語です。
この「去ぬ」という言い方は岡山に限らず各地でまだ使われているはずです。
非常に古くから使われている古語の一つです。
 たしか博多弁でも使われてなかったですかね。

 最後に博多弁の特徴を。
他所から来た人(私もその一人でしたが)には意味不明な繰り返し語が多いですね。
九州地方の言葉はもともと分かりにくい上に同じ語を繰り返すものだから、最初はバカにされたような気になります。

「スースースー」
「トットット」
 と聞いて分かりますか。

 最初のは「風が吹いてスースーする」というような時に使います。
次のは「取っている」「取り置きしている」という意味でしょう。最後の「と」は接尾語だと思います。

 この種の話題は全国各地にあり、地元で受ける自虐ネタですね。
他地域の人間にとっては面白くもなんともない話で、特に文字にすると余計面白くなくなりました。
やはりこういうのは方言丸出しで語るところに面白さがあるのでしょうね。






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