蔵っ子日記

これは中堅(?)蔵人の日々を綴った素朴な日記です。
だんだん「蔵っ子」と言えない歳になってきたか?でもよろしくね。

今年もあと数時間・・・でも仕事中~

2006年12月31日 22時07分07秒 | 日本酒
平成18年ももう終わり・・・明日から平成19年、西暦2007年ですね。いつもそうですが、必ず日付とか書くとき間違えますね。だっていきなり「平成19年」「2007年」は違和感ありますよね。みなさん如何でしょうか。
今日は酒母の仕込がありましたので、酒母仕込当日はこの作業があります。「汲み掛け(くみかけ)」です。この真ん中に溜まる液(酵素液)をひしゃくですくい、まわりの蒸米にかけるという作業です。夜遅くまで1~2時間おき?にやるので、合間にパソコンでの仕事などしつつ行っております。
他の蔵ではどう言っているか分かりませんが、うちではこの「汲み掛け」作業のことを「かいぽん」と言っています。「今日は、俺「かいぽん」があるわ~、差し入れよろしく、」という感じ。かいて(かき上げて)ポン?音から来る言葉かな?まあ、あまり深く考えないようにしよう・・・。

本日は超多忙、しかも雪・・・

2006年12月29日 20時09分15秒 | 日本酒
なんと今朝は雪が積もっておりました。今朝、7:00釜場の蒸気が立ち上る屋根の上の風景。ごらんのとおりです。
とある事情より私、ここのところ朝4時より働いております。「とある事情」というより、仕事が集中してきております。本日は、酒母の櫂入れ、検温から始まり、麹切り返し、出麹(でこうじ)、留仕込み、酒母おろし、暖気樽入れ、上槽、酒母立て準備、入口準備、ボイラー終了、麹切り返し、そして仕舞仕事(それぞれの仕事の意味はまた後日説明しましょう)。一人でやる仕事もあり、皆でやる仕事もあり、後半は分単位で動いてました。まったく年末お休み気分にはなれない、そんな年末でございます。
酒の搾りも順調に進んでいます。新酒がきき酒できるのは何よりの幸せですが・・・。
それでは今日も最後の仕事「蔵っ子日記」・・・終了。早く寝なきゃ~

やっと寒い、いや、冷たい・・・嬉しい?

2006年12月28日 21時15分34秒 | 日本酒
今日は雪が降りました。積もるほどではないですが、風も強くて冷たくてとても寒かったです。皆さんの地域も大荒れでしょうか?
いままでほんとに暖かかったので、「今年は暖かくていけんわ~」と言っていましたが、寒くなると、みんな「うわー、寒くていけんわ~」(どっちやねん!?)正直、酒造りにとっては寒いが良し、働く人間にとっては暖かいが良し、です。やっぱり水仕事はつらいですから。
話は変わって、写真は洗米したお米の水切りをしているところです。精米したお米をいかにきれいに洗って、どれほど水を吸わせるか、これが非常に重要なポイントだそうです。そうなると「手洗い」に限ります。手早く洗ってお米の状態と時計とにらめっこしながら、秒単位で水から引き上げます。精米歩合が高い(糠として取り去る部分が多い)と、本当に真っ白です、きれいですね。

温めるときは「暖気樽(だきだる)」

2006年12月26日 22時16分29秒 | 日本酒
今日は久しぶりに酒母のお話。
酒造りはこの酒母造りから始まり、健全な酒母は健全なもろみとなり、美味しいお酒ができる鍵のひとつです。この酒母を健全に育成する手段の一つに温度管理があります。表面の泡立ちや香り、分析成分値などをみながら、前半戦は温度を上げたり下げたり、それも2℃上げて1℃下げて・・・といった具合に微妙な操作をします。
この写真の銀色の道具は、「暖気樽(だきだる)」といって、酒母の中に入れて温めるものです。(今、酒母の中から出して洗うところ)昔は木製で中に湯を張っていたものを使っていたようですが、現在、うちでは電気式で中の湯が一定の温度を保つものを使っています。しかしこれが重いのが難点。入れるときも出すときも、毎回「ふ~(深く一息)、せ~の、うりゃ!あああぁぁぁ」と気合を入れて行います。
「そんなもの二人で持てばいいのに」と言われればその通りなのですが・・・。

仕込み蔵はいい香り♪

2006年12月21日 21時53分06秒 | 日本酒
あっという間に12月も20日を過ぎました。うわー、今年もあと10日間足らずか!世の中は冬のボーナス!忘年会!いいなあ~、私たちはここからが正念場!!!
時間が無かったり、ちょっと体調崩したりで、久しぶりの日記となりました。しかし酒造りは続けてますよ。もろみも何本も仕込んでおります。
ここは仕込蔵。大正時代に建った土蔵だそうです。この並んでいるタンクに全てもろみが入っていて、あっちでブクブク、こっちでシュワシュワ、と元気にやっております。私たちは慣れてしまいましたが、今この場所はお酒のいい香りで充満しております。
発酵途中もいい香りがしますが、搾った後でも日本酒には色々な香りがあります。(私の知識・経験上で)いいものも悪いものも含めて言えば、「バナナ」「りんご」「なし」「ヨーグルト」「紹興酒」「ナッツ」「セメダイン」「木」などなど、香りが分かると、きき酒も上手になりますよ。Let's try!

麹米とはカビが繁殖した蒸米!?

2006年12月15日 22時11分11秒 | Weblog
今日も麹米を造りました。日本酒の仕込には、米・米こうじが必要不可欠ですが、この米こうじ(=麹米)を、仕込み期間中はほぼ毎日造っています。以前の日記にも書きましたが、日本酒1本の仕込は、まず酒母を仕込んで、その後、添・仲・留の三段仕込を行います。そのそれぞれに米・麹米を投入するわけですから、仕込が連続すると麹米造りも連続してしまうのです。
この写真は麹米のアップです。もう出来上がって麹室から出るばかりのところです。見た目分かりにくいですが、普通のお米より白いですね。しかも斑点、まだら模様みたいに。この白い部分がカビのような菌だそうです。このカビを狙ったとおりにうまく繁殖させることが大切で、まさに微生物が相手なわけです。

製造と販売は会社の両輪

2006年12月14日 21時46分21秒 | 日本酒
かつて私は全国菓子メーカーで営業をしておりました。その時にメーカーとして、「製造と販売は会社の両輪。どちらが弱くてもダメ」ということをよく上司に言われておりました。製造研修や販売研修で、それぞれの大変さ、難しさを知ることは大切なんですよね。
そして現在。日本酒(地酒)に目を向けてみると、とても特殊な感覚を覚えます。「日本酒」は昔から色々な使われ方をして「売れていた」と思うのです。
例えば、御歳暮、新年の祝い、新築の祝い、各種祭り、災害(火事)見舞い、そして選挙・・・。ある意味、世の中が酒を使うこと、呑むことを後押ししてくれていたわけで、これは営業努力とはちょっと違います。反対に製造(品質)の方は、良い原料(米・水)と性能の上がった機械、製造知識・技術の進歩により、格段に美味しくなったと思うのです。私は製造担当ですが、この豊かな時代、本当に難しいのは売ること、いいもの・本物を造っている自信があるのだから、何とか昔の経験を活かして営業マンを応援したいですね。営業次第で日本酒はこれから絶対に伸びる可能性大だ!!!(でも今は造ることに集中しなきゃ、分身の術が使いたいぞ~。)

もろみの状貌②「富士山?」

2006年12月12日 22時30分21秒 | 日本酒
蔵入りして早や一ヶ月が過ぎました。あまり外界に出てないので世の中から取り残されていくような気がしております。世の中はクリスマスか~、お正月もすぐだね~。
さて、これはとあるもろみの二日目です。もろみの表面ですが、富士山のように山が出来ています。これは仕込んだ後、酵母が発酵を始め炭酸ガスを出すので、表面のお米を持ち上げ泡を噴いているところです。溶岩の流出みたいです(分かります?面白いですね)
こういう状態から搾るまでの間、このタンクの中は発酵に伴う炭酸ガスで充満します。酸素欠乏状態なので、実は非常に危険なのです。みなさんも蔵見学等されるときは、簡単に頭を突っ込んでおもいっきり深呼吸しないように!(そんな人いないかな) 頭がくらっときて大変なことになりますよ・・・。

「功名が辻」のように・・・

2006年12月11日 19時58分51秒 | Weblog
昨晩はNHK大河ドラマ「功名が辻」の最終回でしたね。皆さんごらんになりましたか?私も一旦家に帰り、テレビを見て、また蔵に戻って寝ました。(朝5時から仕事だから蔵で寝た方が安心)「功名が辻」は嫁さんも好きなので一緒に見ましたが、そういえば数年前の「利家とまつ」もよく一緒に見ておりました。夫婦ものはやはり女性の心をひきつけるのでしょうか?
戦国時代、戦のたびに生死を賭け、主君がどっちかで命が無いぎりぎりの中で、二人が協力して生き抜いていく姿は感動を覚えました。今の時代、子供の自殺など悲しいニュースが多いですが、やはり命は大切に・・・と思います。また日本酒業界も厳しい厳しいと言われておりますが、あのドラマを見れば、まだまだやれる!やることがある!と強く思いますね。もしかしたら今の時代も仕事は「旦那さま」一人でなく、夫婦二人で力合わせてやっていく時代なのかも知れませんね。この勢いだと総集編も見てそうだなあ・・・。




もろみの状貌「高泡」

2006年12月09日 20時56分06秒 | 日本酒
日本酒の仕込みは「添(そえ)仕込」「仲(なか)仕込」「留(とめ)仕込」と三段階に分けて行います。これを三段仕込といいます。三段目の「留」が終わると、もうそのタンクに米や麹や水を入れることはありません。(ただし仕込方法、もろみの成分経過等により加える場合もあります)
この写真は、留仕込み後6日目のもろみの表面です。(実はこれはコシヒカリのお酒「わーらちの酒」なのだ)この状貌を「高泡」時期と言います。写真では分かりにくいですが、かなりもりあがって勢いのある立派な泡です。杜氏さんは成分の数値、温度はもちろんですが、この表面を見て、順調かどうかも判断します。もろみの表面は日が経つごとに「筋泡」「水泡」「岩泡」「高泡」「落泡」「玉泡」などに変化するそうです。というのもまだ自分には「泡」の違いがはっきり分かってない・・・
とにかく毎日出来たもろみの表面を見ては「筋泡?」「水泡?」あわわわ・・・と唸っております。