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読書日記 2013- 06 「キャパの十字架」

2013-06-12 13:32:52 | 読書日記

自分の文章は沢木耕太郎に影響を受けていると思う。今はそれほどでもないと思うが、10年くらい前の文章を読み返してみると筆致はかなり似ている。
沢木の「敗れざる者」が大好きだった。
あのひたむきであり一途であり、情熱に充ちた筆致が。

「一ヶ月の10日は取材にあて、10日を執筆、10日は酒を飲んで暮らしたい」という沢木の願望にもあこがれた。
一見冷たそうにみえるものの、文章は怜悧でなく、どちらかと言えば熱い。それが沢木にあこがれた理由かもしれない。
実は最近の作品は読んでいない。若い頃の熱を今も持っているのか、見るのが少し怖いというのが本音だ。
だが、「キャパの十字架」は真っ先に読んでみた。
ともすれば、歴史をひっくり返す可能性があるノンフィクションだからだ。

着眼点はさすがだなと思った。
だが、文章はかつての熱を持ち得ていなかった。
問題点は明らかであった。取材を進めながら書き始めたのだろう。
フォトジャーナリズムに燦然と輝くロバート・キャパの「倒れる兵士」は「戦闘シーンを撮ったものではない」という指摘と、取材をしながら明らかになっていく、かの写真の撮影者がキャパではなく、タローではないかとする2つの問題点に文章が分断されているからだ。
したがって、文章の流れにエレガンスさがない。

一方、「NHKスペシャル」で放映された「キャパの十字架」は焦点をキャパとタローにあててテーマを明確とした。
このドキュメンタリーは断然テレビの方がよかった。

奇しくもこの本を読んだ5月25日はキャパの命日。
その偶然にも愕然とした。

kindleを買った。
これが断然におもしろい。
辞書機能やマーカー機能など読書の可能性はますます広がったようにさえ感じる。
試しに著作権フリーとなっている「羅生門」を読んでみた。
30年ぶりに読む作品は、今読むとまた違った恐ろしさで全身に伝わる。
その臨場感といったら、紙でも電子ブックでも変わらない。
読書はやっぱり楽しい。
電子書籍はわたしたちの暮らしを変えていくのか。
それは感受性や認知の世界も変えていくのだろうか。

「ランパンパン」という絵本が面白かった。
最近、面白い絵本を読んでいなかったが、この「ランパンパン」はかわいいストーリーだった。
インドの民話をもとにしているとのこと。
川というつかみどころのないものが仲間に入っていくというのが、日本にはないアイデアだと思った。
「ランパンパン」とは太鼓の音。
この擬音も日本の太鼓の音とは違う。

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