「BBB」

BASEBALL馬鹿 BLOG

居酒屋さすらい 0800 - 大勢の常連で花道を飾る - 「たち飲み 吟」(中央区八丁堀)

2014-11-17 21:45:29 | 居酒屋さすらい ◆立ち飲み屋

5月初旬の「三祐酒場」に引き続き、またもや名店の灯りが消えた。
この日、八丁堀の立ち飲み「吟」が最後の日を迎えた。

地下鉄に乗っていたわたしは、ふとこの日が、「吟」の最後の日であることを思いだした。
この話しは誰から聞いたのだろう。小樽のみーさんだったか。それとも、ティコティコさんだったか。

とにかく、八丁堀の「吟」には行ったことがなく、わたしは行き先を変え、八丁堀に行くことにしたのである。名店の最後の夜を見届けるために。

「吟」には、新橋の店で世話になった。日本酒のラインナップが幅広く、酒肴も安くておいしい。だが、八丁堀に行く機会はそれほど多くなく、ついつい行きそびれていたのだ。

店についてみると、ものすごい数の人であふれかえっていた。10坪に満たない店内に50人はいるだろうか。喧騒と熱気で店内のボルテージは高い。
わたしもなんとか店に入ろうとしたものの、足の踏み場すらない店内を歩くのは困難だった。

しばらく、店の外で様子をうかがっていると、数人の一団が店を出た。それによって、わたしはかろうじて、店に入ることができた。入口をふさぐような、カウンターのほんの片隅で。
店のシステムは、中央集権型(わたしが勝手にそう呼んでいる)。

カウンターに肴が置いてあり、それをレンジでチンしてもうと同時に、お金と引き換える。換言すれば、キャッシュオンセルフ。

今や、このシステムを採用する立ち飲み屋は本当に少なくなった。キャッシュオンデリでさえ、少数派になったといえる。

 

さて、カウンターには様々なものが置いてある。

「だしまき」(400円)「冷奴」「自家製ポテトサラダ」(300円)に「あぶりウィンナー」(300円)、そして「きんぴら」などなど。

缶詰やスナック菓子といったものまえ置いてある。

飲み物はカウンター越しからのオーダー制。

わたしは「サッポロ生ビール」(380円)に「あぶりウィンナー」をいただく。この「あぶりウィンナー」が面白い。何種類かのウィンナーを組み合わせ、5本が一皿になっている。

ビールのあてには最高だ。

 

日本酒のラインナップも揃っている。

「浦霞」「大七」「雪の茅舎」「神亀」「澤乃井」「酔鯨」などなど、錚々たるビッグネームが連なる。その多くが350円で飲めるのだから安価だ。

ビールを飲み干し、「澤乃井」へスイッチ。冷や(常温)でいただく。

 

わたしの後にもひっきりなしにお客がやってくる。

その度に、客はママに対して「お疲れ様」と労いの言葉をかける。みんな常連が次々にやってくるのだ。

店がどれだけ愛されていたのかが計り知れる。

 

酒肴の基本はおふくろの味。

その、いずれも安価。都心のお父さんを癒し続けてきた店が今日、その歴史に幕を閉じる。

店の喧騒は鳴りやまない。

その日、その瞬間に立ち会えたことを幸せに思う。

お客に愛されたお店が、大勢の客で花道を飾った。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 美術館さすらひ 06「夢二から... | トップ | ブログ開設から10年を迎えて »

コメントを投稿