
※緊急事態宣言発出前に訪問。
「えびすけ」を出て、もう一軒。はじめは「花太郎」に行こうと思っていた。「居酒屋さすらひ」でも2回お邪魔させていただいた盛岡の名店。お母さんが作ってくれる「ひっつみ汁」でうまい地酒をいただこうと、そう考えていた。だが、ちょっと気持ちが面倒になっていた。宿泊するホテルは駅の西側。それを考えると、あまり遠出をしたくない。「花太郎」は北上川を越えるのだ。だから、駅前で2軒目を探したかったのだ。
そしかし、いいことも悪いこともある。
いいことは、素晴らしい酒場を見つけたこと。悪いことは、その後「花太郎」がひっそりと閉店していたこと。あの、お母さんと「ひっつみ」にはもう二度とお目にかかれないのだ。
さて、見つけた素晴らしい酒場は「いこい」といった。外観はとても入りにくいお店。しかも、入口がよく分からない。勝手口のようなドアがあるだけ。だが、実はそこが店の入口だった。
お店は賑わっていた。カウンターに腰を下ろし、店内をぐるりと見た。メニューは少ない。日本酒を冷やでオーダー。つまみはどうしようかと、メニューの札に目をやると、「身欠きにしん」があるではないか。迷わず、これを注文した。お通しぬか浅漬けで、これも最高にうまい。さすが田舎。食材も技術も素晴らしい。
「居酒屋さすらひ」は、おかげさまで今回1814回目を数えた。番外編や最終回を含めると、1820回弱だろうか。実は不思議と同じ店名の店が登場することは少ない。意外なことに「いこい」と「だるま」が2回で並んで同点首位である(支店や暖簾分けは除く)。「いこい」はもう言わずと知れた赤羽の立ち飲みの雄。この店と同店名は今はなき、上野の串揚げ屋さんだ。そして、今回「いこい」を盛岡で発見したことで同店名レースは「いこい」が単独首位に躍り出た。
「身欠きにしん」が出てきた。随分立派なにしんである。
昔、お袋がよく食卓に出していた「身欠きにしん」だが、子どもの頃、これを「磨きにしん」だとばかり思っていた。こういう誤解が大人になって解けることは珍しくない。「磨きにしん」もそうだった。大人になって、「あぁ身欠き」かと思った次第。
さて、今やにしんは高級魚。「身欠きにしん」もすっかり食卓から姿を消した。居酒屋でも今はもうほとんど見ることもない。これで一杯は極上である。抜群にうまい。ここを探しだしたこと、自分の直感もまだまだ衰えていないと思った。
「身欠きにしん」をいただいてる中、「ねぎま」をオーダーした。今夜はこれが〆。
気に入ったのはお店の雰囲気。家族3人で切り盛りしているのか、その手際がよい。リズムがあり、それが店の通奏低音になっている。メニューが少ない潔さも素敵だ。余計なものは仕入れず、「これで勝負」というのが気持ちいい。お通しのぬか漬けだって、立派な看板だ。
そして、焼き鳥。身がしまって抜群にうまい。これ、絶対にブロイラーではないはず。脂身が少なく、適度な弾力が鶏の生前を思わせる。自然の中で育まれたのだろうと。
日本酒2杯で終了。今宵は満足な酒だった。
帰りに「じゃじゃ麺」を食べたくなったが、満腹状態。大人しくホテルに帰るか。
次回の盛岡も必ず「いこい」へ来よう。そう誓って店を後にした。
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