近いようで遠い町。鎌倉。
東京から電車で一時間弱。でも、鎌倉に行ったのは、生涯2回のみ。寺巡りやら、鎌倉グルメやら、立ち飲みやらに、行きたいのだが、なかなか足が向かない。
今回、連休を利用して、家族と鎌倉に行った。
北鎌倉駅で下車して建長寺を目指す。言わずと知れた鎌倉五山の第一位。鎌倉時代の建長5年創建。また、けんちん汁発祥の地でも知られている。つい、先日も同寺では巨大な釜で、けんちん汁を作り、参拝者に振る舞っていた。テレビで、見る限り、建長寺のけんちん汁は、味噌仕立てであった。
さて、建長寺を参拝し、小腹が空いたなと山門を出ると、目の前に蕎麦屋があった。店名は「鎌倉 五山」。随分と格式のある店の名前だ。
木片に店名を掲げ、海老茶の暖簾が清々しいが、店内はわりと俗っぽい。しかも建長寺を出た山門周辺には、他に店もなく、お昼時のこの時間、やたらと店内は混んでいた。
もちろん「けんちんそば」の一点買いである。ここで、これを頼まなければ、何を食べるというのか。
けんちん汁の里で、いただく本場のけんちん。これと蕎麦の比類なき邂逅。一見すると、不自然な組み合わせではない。いや、むしろけんちん汁と蕎麦って、なんだか妙にフィットする。しかし、よく考えると何か相容れない。つけ汁がけんちん。いや、こるれがうどんなら、何の問題もない。味噌仕立てのうどんは、全国にごまんとある。
そう思いながら、「けんちんそば」の登場を待っていると、現れたのがこれ。
汁が白い。もしや、白味噌を使用か。一口すすってみると、案の定甘い。気のせいか、酒粕の味わいもある。出汁は椎茸や昆布などの天然由来だろう。けれども、カツオの香りはほとんどしない。けんちんと蕎麦の両者は合意もせず、ただ両者がそこにいるだけのような、そんな蕎麦。
蕎麦は挽ぐるみの、やや太切り。のど越しまでは考慮されていない。汁と蕎麦の相性は、決していいとは言えず、がっかり感がある。
しかしながら、けんちん汁は、それなりにうまい。様々な野菜をとにかくぶちこんだ様相で、とにかく具だくさん。これだけでも、食べる価値はあるかも。もしかすると、蕎麦はおまけだったりして。よく、お吸い物に浮かぶ、一筋の色つきそうめんみたいな。でも、そう捉えて食べれば、結構幸せかも。
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