
神田の立ち飲み屋がおざなりになっていたことに気が付いた。鍛治町側のガード下に幾つかの立ち飲み屋を発見したからである。これはすっかりクリアしておかなければいけない。そう思ったボクは神田に急いだのである。
神田の立ち飲み屋はすでに16軒ほど制覇していたが、行けていないお店が4軒ほどある。ボクの知りうる限り20軒もの立ち飲み屋が神田には乱立している。これは、新橋に次ぐ都内で2番目の勢力となる街を意味している。その神田をボクは軽視しすぎていたことにまずは反省である。
しかも、神田は立ち飲み屋のスクラップビルドが激しい。ボクが行った16軒のうち、6軒はもうすでに閉店している。閉店率は37.5%だ。都内随一の立ち飲み屋激戦区、新橋では51軒中、閉店は僅か6軒。閉店率は11.8%である。この差は単なる誤差では済まされないだろう。
したがって、神田は定期的にウォッチしていなければいけない街なのである。
この日、まだ行けていなかった1軒、「串カツ 甲子園」に球場入りしたのである。
神田の盛り場はご存知、西口と北口である。ところが、神田の立ち飲みの新興勢力は最近東口に多い。
「神田NANBAR」「一丁目一番地」、そしてこの「串カツ 甲子園」である。「本場新世界の味」を標榜するこの店。大いに期待が膨らむではないか!しかしながら、やはりというか、がっかりするのである。
「お通しキャベツ」が100円。
串揚げ立ち飲み系で有料キャベツなど初めてみた。「新世界」では有料なのだろうか。
生ビールは「スーパードライ」と表記されているが、多分違うと思われる。いや、もしそうであるのならば、サーバーのタンクが著しく汚れているのではないだろうか。
串揚げの「紅生姜」(120円)を頼んだが、違うものが出てきた。
更には、「チューハイ」380円という価格も驚きだが、それ以上に貧弱な量にも更に驚いた。
これだけ不満が出る店も珍しい。
お店はどうやらチェーン展開をしている模様、本部の運営の問題なのか、それとも現場の問題なのか。
ボクは「キス」(120円)、「豚バラ」(90円)、「イカ」(100円)、「ウィンナ」を注文し、それぞれ食べた。
サクサク、ホクホクでおいしい。
だが、様々な不満点と向き合っているため、どうしても感動はしない。
熱闘!甲子園。
甲子園には、恐らく誰もが感動のようなものを求めるだろう。
ひたむきさと無垢な戦いを。
そのいずれとも、この甲子園にはなかった。
ボクの心の中で試合を終えるサイレンが鳴り響いた。
キャベツが有料の新世界の串かつの店なんか俺の記憶には無いので、それだけでも退場ものだよ。
で、調べてみると、このチェーンを展開している松屋という会社、(牛丼チェーンの松屋とは無関係)元々は、福島の和菓子店から始まり、今ではミスタードーナツ・サブウェイ等のフランチャイズチェーン店を東北・関東圏で運営する会社となっているようだ。
なお、串カツ甲子園は、この会社の自社出店チェーンらしい。
この会社のどこにも、大阪や新世界との関係も要素もあらへんやないか!とも思ったりするのだが、マーケティングとして展開しているのなら、それもやむを得ないとは思う。
しかし、「首都圏に新世界の味を!とかホームページに書くんやったら、もっとちゃんとせいよ!! 大阪なめんなよ。」と、大阪人でもない京都のおっさんはそう強く思った次第だ。
という事で、右手を水平少し上方に伸ばし、人差し指をさしながらこう叫ぶよ。
「退場ッ!!」
松屋という会社が運営しているのは調べたけど、出自までは見ていなかった。
このお店を新世界に出店したら、大阪人に支持されるだろうか。
答えはもう明白だけど。
大阪人もナメてるけど、東京人もナメてるよ。
だって、これくらいでいいんちゃう?って感じが、ありありだもん。
「お通しキャベツ」はひどい。
そもそも、立ち飲み屋で、お通し代をとる店は、過去2~3軒しか見たことない。
マーケティングが、しっかりしているとは思えない。
新世界近辺で、いい加減な大して美味しくもない串かつを出す居酒屋とか、串カツ屋もあるから、関西だからちゃんとしてるって訳ではないよ。
でも、結局いい加減な店は淘汰されると思うし、また、そうなるのがいいことだと個人的に思う。
けど最近、なんで?みたいな店が、チェーンで生き残ったりしてる気もする。
多くの支持を集める店が、決して美味い店と限らないところが、飲食業界の不思議なところでもあるね。
まあ、飲食にかぎらずどんな業界でもそういう事はあるね。マーケティングというのはほんと難しいなと思うよ。
しかしながら、注文を間違えたり、オペレーションが不徹底だったり、まやかしの品が出てきたりするのは、過失であると思う。
最低限のことができないと、やっぱりどうしても指摘しないといけないんだと思う。