
JR成田駅に差し掛かったとき、居酒屋の看板が見えた。
「もつ焼き 煮込み」。こんな大きなポイント数で書かれた看板も珍しい。
成田駅はよく通るのに、今までこの大きな看板を見つけることがなかった。
「どんな店なのか?」と思って、近寄ってみると、そこは立ち飲み屋だった。
まさか、成田にこんな立派な立ち飲み屋があるなんて。
早速、店に入ってみた。
カウンターと、店内の窓側に立ち飲みテーブルを備えた店。
瓶ビール、「赤星」と「煮込み」を頼んだ。
「煮込み」…うまい。汁気があまりない煮込み。シロがほとんど茶色になるまでじっくりと煮込まれている。
この店は掘りだしものだ。
壁にある「ガツ」「カシラ」「ハラミ」「レバ」…といったメニューを眺めて、ここは焼きとん屋だということは分かったが、その横に書かれた「梅割り」の文字が気になる。
ビールを飲み干し、その「梅割り」を頼んでみる。
すると店員は、小さなコップを小皿に乗せ、コップに焼酎をなみなみ注いだ。そして、次に梅のエキスを出し、さらにコップに注ぐ。コップが茶褐色に染まるとともに、コップから液体があふれ、下の小皿にたまった。
この一連の動作を以前も見たことがある。
そう、あの超有名店「宇ち多”」の梅割りと同じである。
キンミヤの焼酎に梅エキス。飲んでみると、間違いなく「宇ち多”」テイストである。
次に「焼きとん」にチャレンジした。
「ハラミ」がある店はそうそうない。ボクは「ハラミ」があると、真っ先に頼んでしまう。
「ハラミね」。
そう店員に告げると、「焼き方はどうしますか」と聞いてきた。
「普通で」と言ってしまうのは簡単だ。どんな焼き方があるのか。ボクは「おすすめは?」と聞いてみた。
「軽くあぶるだけのいってみましょうか。それをわさび醤油で」。
もしかして、これはいわゆる「若焼き」じゃないか?
「宇ち多”」のそれが、わさび醤油で食べるかは知らないが、この「若焼き」もまさに「宇ち多”」ワールドのひとつである。
だが、この「ハラミ」がなんともたまらなかった。ベリーレアのハラミ。もうほとんど生である。これをわさび醤油でいただく。これがこんなにうまいとは知らなかった。
「うまい!」
ボクは何度も連呼した。
そして、「梅割り」を何度もお代わりした。「ハラミ」の「若焼き」も更に追加した。
この「ハラミ」の若焼きはもはや今食べることはできない。保健所の指導があったらしく、2015年に入った頃、メニューにはなくなった。だが、ボクは2014年、何度もこの店に通った。新橋の工藤軒に次ぐ、数少ないボクのフェイバリットな店になった。
「ハラミ」を4本、梅割り3杯飲んでも2,000円でお釣りがくる。それだけでもう十分満足なのだ。
ちなみに「ハラミ」以外の肉も鮮度よく、はずれなし。何を頼んでも全てうまい。
ボクは「宇ち多”」がどうも好きになれない。
だが、この「寅屋」の酒肴を食べていると、実は「宇ち多”」の愉しみ方はこういう部分にあるのではないかと思うようになった。
なんというか、肉の新たな愉しみ方というか。肉の可能性というべきか。
これは楽しいはずである。
「寅屋」は「宇ち多”」のコピーなのか。ボクはそうは思えない。「宇ち多”」で修業した人が独立したという見立てをしているが、この店にもう十数回通っているものの、未だに聞けていない。
「宇ち多”」は長い時間並ぶが、この「寅屋」は全く並ばない。この店、居酒屋さすらい史上五指に入る店である。
ただ、座って飲める「寅屋」にはムードがないかな。
15時開店。
でも15時ぴったりに行くとやっていない時もある。
いつか一緒に行きたいね~。
ホッピーもあるので、ついついホッピーにしちゃうね。
座りの店も含めて、「寅屋」にはずれなし。
是非、ホピ研in成田、実現しましょう。