
この前のものと比べると造りは素朴な感じの煙草入、革製なのだがこれを金唐革というのかな、表面に模様が浮き出ているがかなり浅い、それに金銀箔部分は全く見えないんだけれど。
その昔ヨーロッパ渡りの金唐革は高価で、あまりに豪華と禁止になり、それに代わるものとして平賀源内が考案したという金唐革紙なるものは、和紙を用いたまがい物だったから水には弱かったらしい。だからそれが見直され、使われるようになったのは明治になって壁紙としてだったという。
その明治には、西洋のお城などの壁紙として使われた本物の金唐革が老朽化改装のために剥がされ、逆に再び日本に入ってくることになって、これらを煙草入などに仕立てて腰に差すことが流行したという。この筒差し煙管と煙草入もそんな時代に作られたものか、多少はそんな雰囲気もするのだが、不勉強で僕には断定できない。このセットはあまりにも安かったからどんなものだろうか。
煙管もこの前のもののような彫金はない、筒も同じ材質ながら単純なものだ。緒締はかなり重いから石らしいのだが、瑪瑙なのかなぁ。
こういうもので面白いのは前金具という煙草入の留金具で、これは打出の小槌を振る大黒様の図柄の細工物だ。これが目出度いから良しとしておこう、何かいいことがありますように。
かなり躍動的なお姿
この大黒様は実に勢いよく小槌を振っておられる、さぞかしご利益もありそうだと思われるのだが。