小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

トランプはペコパ以下である

2021年01月11日 | エッセイ・コラム

トランプはペコパ以下である。

時は進むものだ。時を戻すのは、いま日本では「ペコパ」(正確には松陰寺太勇さん)しかいない。ただ、時が進んでいる事実と、時は戻るという真実がある。この差異の面白さが群を抜いている。

いいじゃないか、そういう矛盾が好きなんだ、日本人は。同じく矛盾に満ちた行動を繰り返すのは、前アメリカ大統領トランプだ。矛盾たっぷりな彼を大好きな日本人は意外と多い(なんとも恥ずかしいかぎり)。ただ、トランプの矛盾は「現実界」に属することだから、お笑いとして成立させるのは難しいし。その意味で、小生は「ペコパ」以下として評価する。

トランプは、矛盾することを平気で口にした。というより、得意であり自家薬籠のものとして人々を翻弄した。さらに言えば、時間軸をずらして自己の失敗を繕い、威厳らしさを狡猾に演出した。時を戻して、自分の発言を正当化したのだ。これはやはり「無知の知」を持っていないことの証左であり、その理路さえ知らない御仁であったとしかいえない。

ご先祖はたぶんドイツ系のピューリタン(追記2※)。この呼称、ニューイングランドでは正統でも「生真面目」と揶揄され、現在にも残っているか・・。やることがクレイジーでも、みてくれがクールだったら、良いバッドだ。なんじゃら、ほいだ。

時をもどそう。議場に踏み込めと、トランプは指示をした。予想外の死者が出た。ちょっと間をおいて暴力は控えろ、と矛盾していることをSNSに彼はツイートした。

信者たちはそれは「後の祭りだ」と直感的に分かる。でも彼らは、たぶん真実に基づいた行動をしたことで歓び、そのことを家族に伝えるだろう。死者のご遺族は反トランプになるか、さらなる従者になるか知らん。

反射的に、感覚的に身体を動かせるもの、発言できるものが、その場を支配する。まだ、文明が生まれる前の狩猟民族の時代に沿うものが、シンギュラリティやAIを使いこなすメッセンジャー、時代的フェーズをつかむ者になるんだろう。

となれば、幻想に基づいた信念が、確実に真実味を帯びたものとして受け入れられる時代になる。端的にいえば反知性的な宗教が力をもつ。ユダヤやカトリックは理性的かつストイックだ。仏教とイスラムは真面目過ぎる。なんと、プロテスタント系の新興諸派は、その真実の矛盾を見事に解消しようとしている。

「時間をもどそう」とするマーベラスかつ怖い荒業を、彼ら特有の生真面目さで取り組みはじめるかもしれない。それがどんな形として現れるか想像できない。願わくば、北朝鮮の第3代将軍様と張りあうことのないよう祈るのみである。

 

今回のブログは、ある本を読み、コネチカット大学の哲学教授マイケル・リンチを引用した文章に触発されて書き始めた。例によって、多少の相関関係があるやなしやのブログになってしまった。わが愛すべき読者のみが読んでいただけることを祈っている。

矛盾が露骨であればあるほどいい。先に肯定したことを、何事もなかったかのようにただ否定すれば、聞き手の方が話し手のほんとうの意図を判断しなければならない。

 

追記:前日アップした記事を若干訂正した。当初、「トランプはペコパ」であった。「ペコパ以下」に直し、それに関する文章を多少改めた。少々、お酒の勢いで書きあげ、投稿した。また、西炯子せんせいの漫画を掲出していたが、まったく関係ないので削除した。新年早々のしくじりである。こんな大ボケをかましても、いじってくれる人はいない。寂しいかぎりである。(1/11 記)

 

(追記2※):正確には、プロテスタント諸派であろう。「ピューリタン」という呼称は、イギリス本国の正統・国教派からはみ出した植民すなわち派遣者をさし、「糞真面目すぎてドロップアウトした奴ら」ぐらいの揶揄・蔑称であった。時代が変遷すれば、そんな呼称も敬意をもたれ、歴史的なレジェンドにもなるという見本かもしれない。というのは、最近、ある本を読んでそれを納得したのだが、それもまた近未来に訂正する事象かも知らん。

それほどに、17世紀前後にアメリカに移住した人々の宗教観、「自由と平等、自らの尊厳」を求めていた実態は、その出身や身分によって実に錯綜としている。また、植民地先のアメリカ東部のニューイングランド地方では、まずイギリスが筆頭であるが、その他オランダ・フランス・ドイツなどヨーロッパ諸国からの移民(植民者)たちの軋轢が生じた。先住民をまきこんだ殺戮、戦争がくりかえされた。それらの相克を経て、独自のデモクラシーのもとに彼らが団結しはじめる。それからアメリカとして独立し、トクヴィルが訪米するまでの期間は、実は闇のように深く暗い。いわゆるカルチュラルスタディーズ的に検証する余地は充分にあると、愚生には思われる。

レヴィ・ストロースをはじめとする前世代の文化人類学者は、アメリカの先住民族を対象として学知を傾注したが、これからは、現在のアメリカを象り・色彩ゆたかな民主主義をビッグデザインしてきた白人たちの来し方にフォーカスし、検証しながら探求するのも興趣つきない。(2021・1・14/15記)

 

 


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