小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

震撼する6.15

2017年06月15日 | 国際・政治

 

 

57年前の今日。東大生、樺美智子さんが国会前で死亡した。安保闘争の国会デモの際に圧死したとされる。時の政権、岸信介総理大臣。

奇しくも6月15日の今日、岸の孫、安倍晋三総理のもと、「共謀罪」という名の悪法が強行採決された。「6.15」は、歴史的にまたもや震撼すべき一日となった。しどろもどろの審議、どうにでも解釈できる法案内容。法治国家にあるまじき解釈と適用が自在である。かくも胡散臭い共謀罪が、あっという間に成立してしまった。慙愧にたえない。

かつて戦前に、国家反逆罪、治安維持法なる悪法や、それを悪用する誰もが恐れた特高(特別高等警察)が存在した。国体護持と称して左翼の共産党、社会主義者、アナーキスト、さらに右翼の国家主義者らも検挙し拷問した。小説家小林多喜二はじめ、拷問により虐殺された人は数多い。特高の不当逮捕は日常茶飯事となった。優秀な人間が集会しているという噂だけで暗躍し、工作活動もした。俳句を詠むだけの同人たちを、不穏な集会だと見なし逮捕した「俳句事件」も名高い。

この平成という時代の共謀罪は、なんと事件が起きる前の、仲間うちで話をした段階でも、テロ等と嫌疑がかかれば発動する仕組みである。

その異常性は、法律的な枠組みを超えるのではないか・・。まだ、何も起きていないのに、警察の都合次第、自由、思いのままの適用により、捜査や取り締まりができる。集団や団体だけでなく、共謀の疑いが認められれば、個人でも対象になる。つまり適用範囲がいかようにも拡大でき、国家権力の恣意的な運用が可能になる。要するに「法外」の制度だ。


これからの国のありようを考えると、暗澹たる思いにおよぶ。デモ、抗議の集会、それに少しでも関わる人間関係を想起していただきたい。政府への不満、異議申し立てのような何気ない会話も、それがテロの準備だと類推できる。他愛ないエビデンスも積み重ねられ、共謀罪として簡単に立証されてしまう。

近い将来、白を灰色に、灰色を黒色に、彼らは都合のいいように共謀罪を運用するだろう。単独の白であっても、気に喰わない白なら、大勢の黒の一員だ、と彼らは勝手に見なすことも自由自在なのだ。

これからは、自らの考え、たった一人の行動であれ、自分の交友関係を越えて、仲間の仲間へと恣意的に関連付けられる可能性がある。いや、その逆も充分にある。まったく交友のない、友人の関係者がテロ準備の嫌疑がかけられた。それからの、その先の場合の悲惨さ、自分、友だちに及ぶことは想像するに難くない。自分の心の中が取り締まられる問題どころの騒ぎではない。


ところで先の「6.15」のときの岸信介は二、三か月して、右翼の男に太腿を刺されて重傷を負った。いわゆる個人テロだったとされたが、下半身血だらけの岸信介が抱えられて運ばれる映像は、子どもの私でさえ衝撃として目に焼きついている。安倍首相は、母親からその事実を聞いているだろうか。もし、聞いているとしたら、「テロを引き起こすあらゆる要因を根絶やしにしなさい」と、ママに発破をかけられたかしらん。

家族で話し合って、みんなで国会にデモにいく。それがテロへの準備行動だと疑われる日は近い。それはオリンピック前か、何年後の「6.15」になるのか・・。

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