小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

カルロスとケリーの逮捕、その裏で。

2018年11月22日 | エッセイ・コラム

 

NISSAN会長のカルロス・ゴーンが逮捕された。雲の上の人にひとしく、私には特別の感慨なんて持ちようがない。
それでも東日本大震災のとき、郡山だったか被災したニッサン工場に駈けつけて社員たちを励まし、再建をめざすべく陣頭指揮するニュース映像を見た。その様子を見て、すこぶる好印象をもったことを覚えている。
コストカッターとして非情な経営者の面だけでない、従業員とともに団結を誓う姿などを見ると、信頼はもちろん統率力もあるのだと見直し、感心した。

今回の逮捕劇は、そんな好感度な経営者像を奈落の底に落とすものとなるのか。カルロス・ゴーンという会長の顔は、イメージ戦略で創りあげられたものなのであろうか。実際には、私利私欲に執着する強欲な人物であると俄かに伝えられ、知られざる実像が今後露わになるかもしれない。

まあ、実力者というものは、その功罪相半ばする善いところ悪いところ、必然として生じ、評価そのものは将来にあって善悪どっちにも評価されるだろう。

ところで、今朝の新聞で耳寄りな、いやさも有りなんという情報が解説されていた。

ゴーン会長と側近の代表取締役の二人を逮捕したのは、東京地検特捜部であるが、すなわち法務省と連携しているはず。ならば、「首相案件」であることが考えられておかしくない。ニッサン内部の通報があったことは決め手であるが、財界の大物を逮捕する初動は、なんといっても地検特捜だろうことは間違いない。

いや、特捜部こそ、近頃しかるべき仕事していない、暗に存在意義は問われていたはずだ。モリカケ・安倍夫人案件での仕事は難しかった。その辺の利害の一致をはかっての大仕事なのか、憶測は飛びかう。しかし、これほどに国際的なスキャンダルになる訴追は、ある種ポリティカルなデザイン的構想がなければ成就できない。

その流れと安倍首相の大きなバックアップも保証されていて、それはまたトランプ大統領への忖度、あるいは根回しなんぞあるやなし・・、という見方がどこぞの筋から指摘されていた。

そう、アメリカ大統領というよりトランプという「男」にとって、マクロンという「若造」は目の上のたんこぶとなっている。さまざまな国際会議の席上で、マクロンはトランプのリーダーとして資質の至らない点を、自分をさておいて鮮やかに指摘する。

そんなこんなで、マクロンに一本取られているトランプは、いつかやり返したいと願っていた。そこに安倍首相からのご注進があった・・。

ルノーの筆頭株主はフランス政府で、事実、マクロンはカルロス・ゴーンに対して、ルノーを主体にしたコングロマリット形成を要請した。ニッサン及び三菱自動車の吸収合併、良くいえば経営統合である。ニッサン内の日本人幹部はうろたえた。ルノーは筆頭株主でも、自動車の生産ではニッサンよりも遥かに劣り、世界市場に売っていくマーケティングや開発力も見劣りする。ルノーに牛耳られたら、ニッサンは事実上消えてなくなるしかない。

こんな憶測と事情があったからこそ、ルノーのCEOを叩くこと、即ち、マクロンの鼻をへし折ることができるのではないか、と。安倍首相の甘言をきいたトランプはいった「グレート! ルノー、ニッサンが弱体化すれば・・、アメリカ・ファースト!」。

拘置所に入っているのはゴーンだけではない。元弁護士で「悪知恵袋」と噂される、タックスヘイブンを介した会計の法務処理に精通するアメリカ人、グレゴリー・ケリー代表取締役も一緒だ。彼は通常、日本にはいないという。普段はアメリカのニッサン、ルノーにいるという。特捜部はそのケリーの動きを注視していたし、ニッサンの内部通報者(西川社長?)からの情報で得ていたはずだ。

今のところ「有価証券報告書の虚偽記載」容疑で逮捕された二人だが、その総額が50億円以上であり私的流用が指摘されている。全体の売上額から考えれば微小である。しかし、犯罪として立件される事象であり、ルノー、ニッサン、三菱を統率するワンマン体制を築きあげたカルロス・ゴーンの驕り、コンプライアンスの軽視につながった。

長くなった。いったん筆をおくことにする。

 

 追記:昨日、11月21日は談志の命日だった。この記事は、師匠の供養にはならず、今日アップした。日本橋で談志一門、志らくの弟子筋の噺をきいてきた。何かしらそれぞれの談志、その遺志を感じました。


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