小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

鎮魂と祈り

2012年03月11日 | エッセイ・コラム

 東北大震災から1年が経ちました。

 お亡くなりになった1万5854名の方々のご冥福をお祈りいたします。行方のわからない3155名の方々がはやく見つかり、ご家族のもとに戻られるようお祈りしています。
 また、いまだ避難生活をしている34万人もの方々、被災された数多くの皆様にたいして、以前と変わらない生活が一日でもはやく実現できることを念じております。

 言いたいことがあるのに言葉がみつかりません。

 偶然に残されたカフカのノートから、数行のメモを鎮魂のためにここにうつします。

死者たちのおびただしい影が一心不乱に死の川の水を舐めている。
死の川がわれわれ生者のもとに発し、いまだ地上の海の塩辛い味をもつからだ。
やがて川はうんざりして身震いし、逆流をはじめ、死者たちを生の世界へ押しもどす。
死者たちはうれしげに感謝の歌をうたい、息まいている川をやさしく撫でる。

(池内紀=訳)


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