小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

前川喜平氏に聞いてみよう

2017年05月29日 | 国際・政治

 

ビデオニュースになんと、例の加計学園問題で脚光を浴びている前文部科学事務次官の前川喜平氏が登場した。先の森友学園と同じく、仲良しのお友達を優遇したかの疑惑で、首相自身の出処進退を問われるかどうかを左右するキー・パースンとされる。

前川氏は今年初めだったか、文科省の天下りの問題で責任をとって辞任したばかり。私人になった早々、なんともお忙しいことだが、一流紙と言われる新聞にもプライバシーを曝された。その人となりをネガティブに、いや三面記事風に報道されるのは、お気の毒としか言いようがない。(※)

▲前川喜平氏 目黒のビデオニュースにて

彼の話を聞くかぎり、しごく真っ当なことを言っている。だが、安倍首相の「意向」なぞ絶対に忖度しない、気概あふれる高潔な人にも見えない。むしろ、まず省益を考える優秀で地道な官僚だったに違いない。でも自分の内面まで支配されないもんね、というほどの矜持はありそうだ。(麻布高から東大法学部、そして官庁のキャリアへ、そんなコースを歩む人の特長?)

さて、「国家戦略特区」というぐらいだから、安倍首相の肝いりの施策だ。アベノミクスの第3の矢である、「スピーディに経済成長を促す」特別な戦略らしい。確か3年ほど前(2014年1月諮問会議始動)にぶち上げられて、株価も55%増し円安も進んだ頃。「それ見たことか、僕の手柄だもん」と、安倍首相はイケイケの状態であった。国民の支持率も高い。憲法改正をにらんだ安保法制にむけて、俺たちの思い描くように変えてやるぞ、と意気揚々としていた頃の国家的プロジェクトだと宣われた。

ちらっと、「戦略特区諮問会議」なる議事録などを官邸ホームページで読んだ。詳しいことは省くが、筆者はここに注目した。

要点を書く。「岩盤規制」の改革をスピード感をもって遂行する「実行力」のあること。地域の指定は全域だが、「やる気と能力」のある区域を評価する。一定の分野では「バーチャル特区型指定」を実施する。

障壁となる法規制を乗りこえてでも、停滞した特定の地方経済をピックアップし、日本全体を経済成長の波に乗せようという狙いは悪くはない。しかし、この「国家戦略特区」が構想されたときは、東北の復興もまだまだ、福島もしかり、沖縄の基地化はさらに重点化への途・・。この国の施政者・権力者、大企業は、弱者を平気で犠牲にする。他者を踏み台にしても、必然性と経済合理性を最大限に生かす。(諮問会議の有識者に、竹中平蔵、八田達夫、トロンの坂村健、ボストン・コンサルの秋池玲子氏らの名前が列記される。バーチャル特区って胡散臭いぞ)


「岩盤規制」とは、各省庁が管轄するしかるべき理由があり、将来を見据えた法規制だろうか。 各省庁を横断するような施策を実行する場合、一つの省が足踏みすればプロジェクトは進まない。といって、首相の肝いりなのだ、「アベノミクス」という紋所が目に張らぬかってな調子で、首相のお友達のために不必要な学校建設をごり押しするのも筋違い。

「学校の認可権限を持つ文科省のみならず、獣医を管轄する農水省や厚労省までもが、問題が多く許認可基準を満たしていないことを懸念していながら、計画だけは着々と進むという異常な状態だ」と、ビデオニュースは指摘する。将来、特定秘密保護法のもとに、規制外の特別プロジェクトは検証されず、すべてが闇の中に葬りこまれることもありえる。

安倍首相はじめ自民党首脳は、前川氏の証言そのものが怖いのではないと思う。首相の私情をふくむ、不適正なプロセスを可視化されることが都合悪いのだ。「政治家として、そんなことは断固やりません。やったとすれば辞職します」と、カッコイイことを言ってしまった手前、引っ込みがつかないのだろう。

国会に前川氏を証人喚問して、ことの次第を正直に述べていただくだけのこと。身に疚しいことがなければ、出て来てもらって話してもらえば済むことだ。森友学園とは違って「国家戦略特区」で指定された案件なのだから、首相のお友達が一枚噛んでいたとしても、堂々としていればいいじゃないか。それが出来ないなんて、やっぱり疚しい何かがあると疑われてしまいますよ。(特に今回は、土地の取得や助成金などで愛媛県や今治市から133億円の公金が拠出される)。

前川喜平氏はこれまでをふり返って、「面従腹背」でもいいから役人としてやるべきこと通してきたと自負していた。内閣府から「総理の意向」があるから、そこんとこ頼むよとやんわりと諭されても、根拠ある法規制がある限り「岩盤」のように省の立場を貫いてきたご仁である。私はそれを立派だとも、融通のきかない頭でっかちな官僚とも思わない。(私が理想と考えるのは、モンテーニュの弟分、ラ・ボエシが唱えた「自主的な不服従」である。これこそ、三権分立への確かな道筋だ)

実際のところ、加計学園の建設は順調に進められている。文科省の沽券は守られても、遅かれ早かれご禁制の獣医学部はできて、学生を募集することになるんでしょう。中国地方に新たに動物病院がふえて、ペットを大切にする方は喜ばれるであろう。だが、獣医になって個人開業したとしても、成り立っていかないというのが実情らしいじゃないか。だから、40年以上も新規の獣医学部設置を許可してこなかった。それが「岩盤」だとしても、「国家戦略特区」という大仰な銘を打って、こじ開けるなんざやっぱりゲスの極みなんじゃないですか。


それにしても共謀罪も成立されそうだし、安倍首相の突っ走りは止みそうもありません。彼なら大丈夫だ、今の日本こそ確かな安全と豊かさをもたらしていると思う人が多いんだろう。オリンピックまで行くのか・・。

今回は一人語り&ぼやき、ということでご勘弁してください。


(※)リサーチが目的とのことだったらしい。が、出会い系パブに行ったことは、「すべての女性を敵に回した」と多くの友人に詰られたらしい。自重して平身低頭するしかないです。とはいえ、老人でも楽しめるのでしょうか? 前川さんの詳細なリサーチ結果を待ち望む。



▲わが家の特別特区に花開いた孔雀サボテン

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