鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

22 国誉めの歌

2018-02-04 11:00:37 | 日記
---古の歌仙屏風を結界に かの世この世の間の歌会---

(三十六歌仙屏風 部分 江戸時代 探神院蔵)
宮中の歌会始めは重要な宗教儀式でもともと旧暦の正月にやっていたのを、薩長が維新で無理矢理新暦に変えてしまい、春の喜びもうすくなった。
季節の行事くらい旧暦でやれば、農耕民族としての自然な季節感も残っただろうに。
新年に必須の国誉めの歌を司るべき某公家も弱体化して、宗教的な厳かさも言霊の力も無い。
こうなったら我が探神院で秘めやかに旧暦の国誉めをやろうではないか。

---国国の山また山を巡る春 道道に花人人に笑み---
儀式の歌なので、内容より様式美が重要だ。
表裏なくひたすら言祝ぐ。
言霊を宿す為に大和詞のみで、口語漢語は使わない。
詠唱を二度繰り返すのが古来からのしきたりだ。
旧暦正月に全ての歌人が国誉めの歌を詠めば、きっと良い国になる気がする。
一方で豆撒き追儺は各家庭にまで定着しているので、特別私がやる事はない。

(鎌倉宮の追儺式 ミス鎌倉のお嬢さん方も参加)
以前にも言ったが生活の中にちょっとした儀式があると、人生に厳粛さが加わる。
五節句に句歌を詠むくらいなら誰にでも出来るだろう。
恵方巻を大口開けて食べるのも止めはしないが、いかにも俗っぽい。
新暦の正月は公共の行事になってしまったので追従するしか無いが、旧正月や立春は自分だけの儀式を奉るのに丁度良い。(前出 美神の祭壇 参照)
春の到来を祝うのは気持ちも込め易く、節季の筆頭なのでお勧めだ。

---闇払ふ都の灯り寒の明け---
俳句なら立春前後の季語も豊富で短歌より楽かもしれない。
皆も試してみると春の喜びが数段深まると思う。

©️甲士三郎