鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

23 机上の仙界

2018-02-09 09:32:55 | 日記
精神生活の充実のために机の上をなんとかしよう。
以前自分だけの祭壇を作る話をしたが(美神の祭壇)、そこまではどうも…と言う人向けに机の一角だけでも荘厳たらしめる方法を紹介しよう。
取り敢えずは古来の文具 で詩的環境を作ろう。
自分が少し賢くなった気になれる。
文人達が文具四宝と言って珍重して来たのが墨、硯、筆、料紙、水滴、硯屏、筆筒、筆架などである。
今でも短冊色紙を書くのには必須の道具だ。
卓上に一つの小世界が完結するように配置しよう。
まず唐物中心で、龍に乗って女官や子等と仙境に遊ぶ感じ。

(清朝端渓硯 李朝筆洗 唐女官俑 古銅双龍筆置き 古銅唐子文鎮)

仕事関係の書類はデジタルでも、精神活動の道具はアナログに優る物はない。
詩歌や思索のメモは是非とも紙に書くべきだ。
俳句短歌は滲みのある画仙紙が書きやすい。
筆墨が駄目なら万年筆と小さなスケッチブックでも良い。
名文句が浮かんだら料紙に書いておけば、将来子孫が飾ってくれるかもしれない。
落款があればたとえ下手な書でも格好がつく。
メインの飾りは昔の文具四宝なら硯屏だが、現代は花を活けるのが良いと思う。
小さな花入れか徳利や壺など花器はいろいろ凝れる。
主役の花よりカラフルな色絵磁器は避けて、一見地味に見える陶器を選ぼう。
花が好きではない人は立て額に絵や書だろう。
葉書サイズの淡彩画くらいが良い。
写真でも悪くは無いが、印刷でなくオリジナルプリントが欲しい。

(明朝青白磁花器 1型ライカ ヴィンテージ万年筆 他)
我が探神院は洋風の物は苦手で写真には苦労した。
ライカは私が30年以上使っていたので、エナメルがあちこち剥げて真鍮地が出ている。

鎌倉文士達の旧居はたまに公開する所があり、彼等の遺品の文具が見られる。
皆簡素ながらも気の利いた物を使っていて参考になる。
私も生涯の殆どの時間を過ごす机上の宇宙には、己の精神を投影出来る物を置きたい。
良い文具を長年かけて一つ一つ揃えて行くのは楽しい。
詩画のレベルを上げるのは大変だが、道具のレベルなら何とかなる。

©️甲士三郎