鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

356 涼風の町

2024-07-04 12:56:00 | 日記

ーーー涼風の町星の路地老文士ーーー

今週の鎌倉の街は夏越の祓いと気の早い七夕飾りで、浴衣姿の御嬢さん方も多く見かける。

街中の吟行は幕末明治俳諧の潔いほどの俗振りを手本に、買物がてらの夕風の街を小一時間ほど気軽にぶらぶらして来た。


昨今は外国人客で大賑わいの八幡宮前の七夕飾り。

ーーー旅一夜七夕飾りそよぐ街ーーー



例年思うのは七夕だけは旧暦に戻すべきで、いくら何でも梅雨の最中の星合の夜は無い。

薩長明治政府の文化度の低さ愚かさの代表例だ。

それでも海からの涼風に戦ぐ七夕竹には鎌倉らしい風情がある。

幟や短冊を五色に飾るのが伝統らしい。

八幡宮の奥には剣道場があり練習帰りの子供達が健気に通って行く。

その景を詠んだ句も付け足しておこう。

ーーー涼風の髪誇らしや稽古あとーーー


そして我家からの行き帰りに必ず通る鎌倉宮の地味な茅の輪。



夏越の祓いや茅の輪潜りも本来は夏の終りの行事で、旧暦の立秋前にやる物だ。

新暦の6月末では本来の時期を大きく外れていて、お祓いの御利益も期待出来ない。

まして昨今の9月まで続く酷暑を控えて夏越とは、皮肉過ぎて笑うしか無い。

まあ一応潜っては見たが、到底まともな句は出来なかった。

ーーー気休めに潜る茅の輪の先暗しーーー


我家も七夕飾りを用意しよう。



江戸時代の賀茂季鷹の歌軸だ。

京都の下鴨神社でも当然五節句は重要な行事だったから、そこの神官であった彼も七夕の歌は幾つも詠んでいる。

御供えは地元鎌倉産の三色ズッキーニだ。

五色揃えば文句無しだったが、まあ良いだろう。

ーーー星祭地に彩りの野菜満ちーーー


鎌倉の夏は海風のお陰で東京より3〜4度は涼しい。

さすがに真昼の駅周辺はコンクリートの照り返しで熱くなるが、我が谷戸は翠の樹々や川のお陰で街中より更に2〜3度低く、隠者はますます出不精になる訳だ。


©️甲士三郎



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