藤沢周平の初期作品集である。
と、訳知りに書き出してみたが実は徳さん、藤沢作品を手にしたのは初めてだ。
売れっ子の作品を何となく敬遠してしまう、はすっかいの心情の持ち主の行動の結果だ。
今回、友人に薦められて好奇心に駆られて手にしてみた。
収録されている六つの作品の中で特に印象に残ったのが『ただ一撃』。
隠居し平凡な生活をしている兵法の達人が急遽呼び出され、御前試合のようなものに駆り出される。
話ははっきり前半と後半に分かれる。
徳さんが気に入ったのは、前半のほのぼのした隠居老兵法者の日常の有り様。
*****
三緒は、
「お茶を召しあがれ」
と舅を縁側に誘った。
「む、む、これは旨い」
範兵衛は茶を啜ったあとで、鉢からつまんだ小茄子の漬物を頬張りながら言った。
歯が欠けているから、含んだ茄子を口の中であちこち転がしながら嚙む。
範兵衛は小柄で痩せている。頬も痩せて、小茄子を口の中で動かすたびに、いなびた頬の皺がのび、眼だけはぎょろりとしているので、水中の魚の顔のように剽軽な表情になる。三緒は袂を口に押し当てて、くすくす笑った。
*****
なんか、嫁、舅の羨ましい関係がそこにはある。
茄子の説明もちゃんとある。
*****
鶴ケ丘の城下から三十丁ほど離れたところに、民田という村がある。ここで栽培する茄子は小ぶりで、味がいい。春苗を育て、初夏に畑に植えつけて、六月の炎天下に日に三度も水を遣って育てる。このように苦労して水を遣るために皮は薄く、浅塩で漬けた味は格別なのである。茄子の木は次々と可憐な紫色の花をつけて実を結び、七月一杯成り続けるが、八月になると、さすがに木に成る実の数はめっきり減り、水を遣ることもなくなるから皮は硬い。だがその実はまた捨て難い風味を宿すのである。
*****
この画像は「ヤマセミの渓から」というブログから。
後半は一変する。
果し合いを命令された範兵衛は戦う人に一変する。
戦闘意識の高揚した範兵衛は嫁である三緒に男女の関係を求め、三緒はそれに応じる、、、。
そして三緒は自害する。
徳さんは、このくだりに差し掛かった時、戦争とかテロを想ってしまった。
戦争とかテロは、我々の日常生活上のスイッチを切り替えねば出来ぬことだが、いったんスイッチが入ったら人はどこまでも苛酷、非情になれるのだ。
軍隊での初期教育は敵の存在を設定する事。
敵を人間と見なさず、破壊すべき対象としてだけ認識するように教育される。
軍隊と自衛隊の存在意義の違いを明確化することが、ヘナチョコ野党に求められているのだ。
新宿カイロのHPは
http://chirozizii.com/
そして、なんでもブログのランキングというものがあるそうで、以下をクリックするとブログの作者は喜ぶらしい。
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と、訳知りに書き出してみたが実は徳さん、藤沢作品を手にしたのは初めてだ。
売れっ子の作品を何となく敬遠してしまう、はすっかいの心情の持ち主の行動の結果だ。
今回、友人に薦められて好奇心に駆られて手にしてみた。
収録されている六つの作品の中で特に印象に残ったのが『ただ一撃』。
隠居し平凡な生活をしている兵法の達人が急遽呼び出され、御前試合のようなものに駆り出される。
話ははっきり前半と後半に分かれる。
徳さんが気に入ったのは、前半のほのぼのした隠居老兵法者の日常の有り様。
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三緒は、
「お茶を召しあがれ」
と舅を縁側に誘った。
「む、む、これは旨い」
範兵衛は茶を啜ったあとで、鉢からつまんだ小茄子の漬物を頬張りながら言った。
歯が欠けているから、含んだ茄子を口の中であちこち転がしながら嚙む。
範兵衛は小柄で痩せている。頬も痩せて、小茄子を口の中で動かすたびに、いなびた頬の皺がのび、眼だけはぎょろりとしているので、水中の魚の顔のように剽軽な表情になる。三緒は袂を口に押し当てて、くすくす笑った。
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なんか、嫁、舅の羨ましい関係がそこにはある。
茄子の説明もちゃんとある。
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鶴ケ丘の城下から三十丁ほど離れたところに、民田という村がある。ここで栽培する茄子は小ぶりで、味がいい。春苗を育て、初夏に畑に植えつけて、六月の炎天下に日に三度も水を遣って育てる。このように苦労して水を遣るために皮は薄く、浅塩で漬けた味は格別なのである。茄子の木は次々と可憐な紫色の花をつけて実を結び、七月一杯成り続けるが、八月になると、さすがに木に成る実の数はめっきり減り、水を遣ることもなくなるから皮は硬い。だがその実はまた捨て難い風味を宿すのである。
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この画像は「ヤマセミの渓から」というブログから。
後半は一変する。
果し合いを命令された範兵衛は戦う人に一変する。
戦闘意識の高揚した範兵衛は嫁である三緒に男女の関係を求め、三緒はそれに応じる、、、。
そして三緒は自害する。
徳さんは、このくだりに差し掛かった時、戦争とかテロを想ってしまった。
戦争とかテロは、我々の日常生活上のスイッチを切り替えねば出来ぬことだが、いったんスイッチが入ったら人はどこまでも苛酷、非情になれるのだ。
軍隊での初期教育は敵の存在を設定する事。
敵を人間と見なさず、破壊すべき対象としてだけ認識するように教育される。
軍隊と自衛隊の存在意義の違いを明確化することが、ヘナチョコ野党に求められているのだ。
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