メーリングリストで送られる「がんばれゆっこ通信No.10」です。
↓以下
山口雪子さんを支える会」会員のみなさま
いつも温かいご支援・お力添えをいただきまして、どうもありがとうございます。
「がんばれゆっこ通信No.10」をお届けします。
ご一読いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
事務局一同
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「障害者差別解消法が施行されて一年、来る3月28日の判決に期待」
山口雪子さんを支える会事務局長 重田雅敏
東京では地下鉄のどの駅でも、駅員さんが飛んできてくれて、ホーム上での歩行のサポートをしてくれるようになりました。時には、なんと電車の車掌さんが出てきて、座席まで案内してくれることもあります。二度と転落させまいという一般のお客さんの意識も格段に高まっていると感じます。以前は、鉄道会社も合理化で人員削減、その結果、ホーム上から安全監視係員が姿を消してしまいました。ところが、度重なる視覚障害者のホーム転落死亡事故により、また以前のように、安全監視係員を置くこととなりました。以前なら視覚障害者は、一人で出歩くべきではないということになったかもしれません。やはり、バリアフリー新法をはじめ最近の相次ぐ障害者関連新法の制定によって、障害者の社会参加を促すそれら法律の理念が生かされてきているように感じます。一方では極めて残念なことではありますが、犠牲者が出てしまったというインパクトが契機となって、視覚障害者の命と引き換えに漸く実現した、命を守るためのありがたい配慮であるといえるかもしれません。
さて、昨年の4月1日に施行された障害者差別解消法と初めて罰則が設けられた改正障害者雇用促進法は、この一年間で、私たち障害者を取り巻く社会環境に、どのような改善を及ぼしてくれたのでしょうか。前述したように、社会全体の障害者への注目度や、様々な配慮の広がりを、日々実感されている障害者の方は多いと思います。そんな社会状況の中で、漸く一年が経過しました。今、私たちが期待をこめて待っているのは、山口雪子さんの教壇復帰に向けての判決です。
こともあろうに、一年前の障害者差別解消法が施行されたその日に、山口雪子さんは教壇から降ろされて、研究室待機を余儀なくされてしまいました。奇しくも障害者が活躍できる社会を実現するために制定された二つの新法の理念に背を向ける残念な事態が、施行の初日から現実のものとなってしまったのです。しかも、教壇降ろしの理由が、学生を注意できなかったという、見えないという障害を、ことさら欠点として捕らえて、良い点を見ようともしないばかりか、話し合いも合理的配慮もせずに一方的に排除しようとしたものでした。特に許せないのは、どこの大学にでもありがちな学生の些細な行為を誇張して、それを注意できなかったことが、視覚障害教師ゆえに引き起こされた、これがまさに大問題だとして扱われていることです。
今回の教壇降ろしの背景は、単なる労使のトラブルでもありません。学生と教師の指導上の問題でもありません。視覚障害教師を教壇から排除するための理由づくりに、障害上の弱点や学生の些細な行為を利用したことにあると思います。これには、障害者に対する「何もできない人」という偏見と、切捨ての論理がはたらいていると感じます。いかにして共生社会を作っていくか。いかにして偏見なく様々な事情を抱える人々を受容し支え合うか。そこにこそ、この問題の解決の道筋と未来があるのではないでしょうか。
視覚障害者は情報障害者です。決して知識や経験、専門性が劣るわけではありません。視覚情報の提供が適切に受けられさえすれば、十分に教師としての仕事はできます。実際に視覚障害教師は、日本にも世界各地にも、沢山の事例があり、広範な知識や深い洞察力、生徒に寄り添った強い思いやりと心の絆が評価されて、米国で最優秀教師賞に選ばれた人さえいるくらいです。特に大学教授は、高度な知識や専門性がフルに活かせるだけに、視覚障害教師にとって働きやすい職場だと視覚障害を有する大学教授達は口を揃えて言っています。
私たちは、心からの願いをこめて、来る3月28日の判決が、障害者に社会参加と働く場を認める前向きなものになることを期待しています。この一年間、私たち山口雪子さんを支える会は、弁護団と協力し、4回の口頭弁論、岡山市と倉敷市での啓発集会、報道機関への働きかけを通して、できる限りの主張を展開してきました。その手ごたえは十分に感じていますし、共生社会の道は必ず開かれると思っています。なぜなら障害者を生かすのか。排除するのか。論争の余地はないからです。現時点では、色々な状況の中で、障害者への理解が思うように進まないこともあるでしょうが、いつかきっと、お互いに理解し合える日がくると信じています。その流れを裏付けるように、支える会の運動の広がりは全国各地に及び、署名も一万二千筆を越えました。この大きな期待に応えるためにも国連障害者権利条約や新法の理念が、単なる絵に描いた餅にならないことを切望しつつ、山口雪子さんの裁判の判決を注視していきたいと思います。
3月28日(火)には、多くの方々に傍聴に参加していただき、障害者にとって歴史的な意味を持つであろう判決に立ち会っていただきたいと思います。そして、共生社会を願うみなさんの交流の場となることを願っています。
なお、判決の傍聴から報告会までの詳しい内容については、下記の通りです。
1、3月28日火曜日、12時50分、岡山地裁の1階ロビー集合。
2、13時15分より、判決の傍聴。終了後、弁護士会館に移動。
3、13時40分~14時30分 記者会見。
4、14時30分~16時00分 報告集会。
5、16時00分 終了・解散。
※傍聴希望の方は、お手数ですが、事前に事務局(重田)までご連絡ください。
連絡先:
重田雅敏
電話:090-2203-3346
メールアドレス:shigetam@vmail.plala.or.jp