岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『障害者の立場から「共生社会」を考える』その4 山口雪子岡山短大准教授 

2019-08-23 07:16:19 | 岡山短大山口雪子准教授支援

『障害者の立場から「共生社会」を考える』 山口雪子  人権21・調査と研究 2019年2月号より

(二)新たな研究活動

重要な内容ですので転載させていただきます。

「幼児期の環境教育」という新たなテーマは、実験でしか研究はできないと思っていた私の価値観を良い意味で打ち砕いてくれました。幼児の姿や育ちをイメージして立案した活動内容を学生たちに授業で体験してもらい、改善点を学生たちと検討する過程を繰り返す中で、学生自身の保育活動を立案・実施する力を伸ばすとともに、私自身はより良い授業の在り方を模索し続けることができ、まさに研究のプロセスが自分の実験以外の形でできていることを実感できました。

山口さんは学外でのボランティア活動へも参加するようになりました。幼児の姿と育ちを具体的に想定できるようになるためです。

環境教育の大切を教えられ、環境教育を研究テーマにできたことへの喜びや自分自身の存在価値を味わうことができたのです。

印象的なエピソードが紹介されています。

それは秋のこと。様々な落ち葉を集めて、子どもたちが思い思いに葉っぱをグラデーションになるように並べて、台紙に貼るという活動を計画・実施した時のことです。子どもたちは、いろんな形や色の葉っぱを拾って台紙に並べる前に私に持ってきた葉っぱを紹介してくれました。

中略

女の子二人が私のところにやってきて「両手を出して」と言いました。言われたとおりに二人の前に両手を広げて出すと、片方の手のひらに「これは黄色」と言って葉っぱを載せ、もう一方に「これは茶色よ」と言いながら別な葉っぱをのせました。当時、すでに私の視力は0.1程度に落ちていましたが、二人に渡された葉っぱを陽の光に照らすように見比べてと、はっきり明暗の差がわかりました。私が明るい方が黄色で暗いのが茶色ね。なるほど、こうやって比べてみると色がわかったような気がするわ」とつぶやくと、「色分かったんだね!嬉しい!」と女の子が歓声をあげました。

短期大学の授業において、前述のエピソードや保育者として大切なことを話しました。

授業スタートの頃、「自然の知識がないからできない」などと口にしていた学生が、終わるころ頃には「私も自然遊びをしてみたい」というようになりました。さらに「障害があっても工夫次第で何とかなるんだね」。「障害=出来ない、と思っていたけれど偏見だとわかった」、これから保育現場で障害児にあっても、それぞれの可能性を引き出すような支援をしたいと考えるようになった」と話す学生も出てくるようになりました。

つづきます。

お読みいただき有難うございました。



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