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岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

【10年前】被災地をただ歩く。

2005-01-20 13:54:32 | 日本の仲間
神戸の被災地に知人は多い。
時間を見つけてはただ歩いた。
歩くしかなかった。

東灘:知人の店舗は、壊れたまま。
メモを書いてシャッターに挟む。

生田:恩師の幼稚園は全壊のため、近寄れず。
人影もない。

須磨:友人の古い民家は、崩れ、傾いている。
取り壊すしかないだろう。会えず。

長田:焼けて廃墟になった地区を歩く。
大粒の雨が降ってきた。
かろうじて建っている理髪店の軒先を借りる。
目の前には、建物は残っていない。
焼け跡だけである。

1人の男性が、雨宿りに飛びこんできた。

目の前の焼け跡を指して、
ここに自宅があったと、おっしゃった。

 炎が襲ってきて、
 建具の下になった母親が
 逃げられなかった。
 みんなを呼びとめて協力してもらった。
 
 だめだった

淡々と話される。

私は ただ ただ 
聞くことしかできなかった。



希望:
生田の恩師宅は、幼稚園から、
特別養護老人施設へ、再生していきました。
昨年 恩師の孫がグループホームを始めました。

須磨の友人宅は、取り壊すことなく、
ゆるぎなき精神をもって、長い時間をかけ、
修復をしていきました。

全壊の指定を受けた建物が、引き起こされ、
何ひとつ捨てないで元の位置に戻されていきました。
人々の心の癒しと歩調をあわせるように、
ゆっくりと。
8年の歳月がかかりました。

※現在、国の登録有形文化財として認定された
この建物は須磨区月見山にあります。

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