goo blog サービス終了のお知らせ 

岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

岡山県立大学大学院「災害医療援助特論」公開講座に出かけました。

2012-09-16 08:09:51 | ボランティアとアムダ

第9回となる災害セミナーは、県立大学院生以外にも他校の学生や一般の方も参加されていました。

今回は、「東日本大震災被災地の現状と鍼灸治療の果たす役割とその可能性」という興味深いテーマでした。協力はAMDAです。
AMDAは、緊急医療活動をコアにしているNGOです。
鍼灸治療とのつながりとは?
私自身、鍼灸については治療を受けたこともなく未知の世界です。
しかし、東日本大震災では鍼灸治療の役割が再認識されました。
AMDAによる復興支援プログラムでも重要な位置を占めています。

講座のプログラムは、まずAMDA菅波代表から「大規模災害時に必要とされる医療支援のあり方」。
次に震災直後から被災地に入り救援活動から復興支援まで担当しているAMDAプロジェクトオフィサー大政朋子さんが、
「AMDA大槌健康サポートセンターの役割や心の復興支援の一助としての被災地相互交流など」
そして、大槌町在住の鍼灸師であり被災者でもあるAMDA大槌健康サポートセンター内鍼灸院健美館・鍼灸師の
佐々木賀奈子さんから、
「鍼灸師としてその中核を担う経験の中から、地元の医療の現状と被災者の4点また施術者の視点から、今、発信したいこと」。
最後は明治国際医療大学鍼灸学部教授の今井賢治さんより
「医療支援の新しい形として、災害後の鍼灸治療の果たす役割とその可能性」についての講義があった。

私は時間の都合で最後の今井先生の講義を受けることができなかった。
鍼灸について学びたいと思っていたのでとても残念だった。

上記三氏の講義を私のメモから抜き書きしてみたい。

菅波代表からは、「AMDAの精神」から導かれるものを教えていただいた。

・世界はものの見方、考え方がちがう人々の集まり。そのことを認め合ってともに生きていくことが求められている。
世界では自分の考えを明確にしておくことが求められる。

・AMDAのコンセプトは、「救える命があればどこまでも」。
「あなたたちは見放されていない」と伝えるためにどこまでも行く。
被災者からは感謝の言葉を聞くことになるが、それだけではいけない。
今度は支援者が助けられ感謝する立場になるはずだ。
次の想定されている巨大地震は南海トラフであり、西日本は壊滅的被害に襲われる。その時には東日本の助けてもらわなくてはならない。
「困ったときはお互いさま」もAMDAのコンセプトである。

・「援助される人にもプライドがある」
 援助されるだけではいけない。人間卑屈になる。「西日本のときは助けてください」と頼んでおく。

・「いつ引き上げるか決めておく」
 医療緊急支援に入る。重要なのはいつ引き上げるかである。医療支援は無料である。
しかしそれをいつまでも続けると被災地の医療機関は立ち直れない。保険診療に移行する必要がある。
当然、被災者の方は見放された気持ちになる。
しかし引き上げざるをえない。
「あなたたちは見放されていない」と伝えにいったものが引き上げることになる。
難しい決断だ。
ステージは緊急支援から復興支援へ。新たな段階の支援に移っていくことになる。

・鍼灸治療について
今回の震災で鍼灸治療は威力を発揮した。
現代医療は聴診器だけでは治療はできない。検査、投薬とのつながりが欠かせない。
ところが被災地ではこの現代医療のシステムが壊れてしまい即効性のある治療ができにくくなる。
一方、鍼灸は、手持ちの道具で即座に治療ができる。
「災害鍼灸治療」が創造されるべきだ。

つづく

最新の画像もっと見る