岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『ある歌い女の思い出』 チュニジア映画と、『アフガン零年』の密接な関係。

2011-09-21 20:13:37 | 映画・DVD 


この映画が日本初公開のチュニジア映画とのこと。
ほとんど知識のないチュニジアについて学びたいと思って観ることにした。

『ある歌い女の思い出』は1994年カンヌでカメラドール特別賞を受賞。
監督はムフィーダ・トゥラートリ。女性です。

時代背景は1950年代。宗主国のフランスは国王を置くことで独立を承認すた。
この物語はその宮廷での話。

雇われている女性たちは、使用人として宮廷の生活全般を支える。
強権的な男たちは女性を支配している。

物語は、母と娘の過酷な日々を描き切る。

※写真の中で、男性の左に立っている女性が主人公。使用人の女性に産ませた子なので、右側の子とはまるで扱いが違う。


母親は宮廷でベリーダンスを踊らされる。



もうひとつの作品イスラム圏の映画『アフガン零年』も、カンヌ・カメラドール特別賞を受賞している。



監督はセデック・バルマク。
アフガニスタンの人はどうやって映画を学ぶのだろうか。
この監督は、旧ソ連・モスクワで学んだとのこと。
アフガンでは北部同盟でドキュメンタリー映画をつくっていたらしい。

タリバン侵入後はアフガンからパキスタンに逃れて、タリバンが崩壊した後にカブールに帰ってきた。

長編は初めての作品とのことだが、映画の技法を完璧にマスターしていると思われた。
世界のどこ国からでも優秀な映画が生れる可能性があることがわかる。
映画の教科書といえば、今までつくられた世界の名作が一番。
地球上のどこでもテキストがあることになる。
カブールには数軒しか映画館がないらしいが、日本同様家庭で見ることができるという。

このタリバン支配下のアフガニスタン。
少女の悲惨な生活を追います。
少女の名前はオサマ。

実はこの映画の原題は、まさしく「オサマ」。
この名前を聞くと、人々は手出しできにくくなる。
そのような願いで付けられた名だと監督は説明していた。


映画の内容は一言でいえば、働くために男装されられた少女の悲惨な生活です。
この国の現実です。

主演の少女は実生活ではストリートチルドレンだった。
監督に物乞いしてきた子だそうです。
文字も読めなかったと。
監督にとって、この少女の発見がいかに幸運だったか。
3000人!の少女と面接した後の出会いだった。

タリバンが少年たちを洗脳していくシーンにはぞっとした。

チュニジアとアフガンは、アフリカの国とアジアの国、遠く離れていながら同じイスラム文化圏です。
女性の立場は変わりません。

貧困、女性差別の過酷さから眼をそむけてはならないと思います。


女性の象徴でもある長い髪を切ったオサマ。


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