英富裕層の国外流出が中国を抜きトップへ ─ 富裕層を罪悪視すれば国は衰退する
2025.06.25(liverty web)
<picture></picture>
《ニュース》
「イギリスの富裕層の国外流出が、中国を抜いて世界1位になる」との推計が発表されました。
《詳細》
この推計は、英コンサルタント会社ヘンリー・アンド・パートナーズが毎年発表しているものです。24日に公表された2025年の最新予測によると、イギリスでは、投資可能な資産を100万ドル(約1億4500万円)以上保有する富裕層が、1万6500人も流出する見込みです。これは不況に喘ぐ中国(7800人)を倍以上上回っています。
富裕層流出の大きな要因は、労働党のスターマー政権の看板政策である「富裕層課税」にあります。
同政権は昨年、イギリスの外国人居住者(ノンドム)に対する税制優遇措置である「ノンドム税制」の廃止を決定。これにより、イギリスに一定年数以上居住するノンドムは、海外で得た所得に対して課税され、海外資産にもイギリスの最高相続税率40%が適用されることになります。また政府は、個人のキャピタルゲイン課税(株や債券などの売却益への課税)の引き上げも表明しました。
これ以降、イギリスでは富裕層が逃げ出す「Wexit(ウェグジット)」が拡大。「ゴールドマン・サックス元幹部がミラノへ」「イギリスの不動産王がモナコに」などと、連日のように報じられています(6月25日付日本経済新聞電子版)。ヘンリー社は、イギリスを脱出した富裕層の行き先は、税制が有利な中東各国やイタリアだとしています。
スターマー政権はノンドム税制の変更により、5年間で約338億ポンド(約6.3兆円)の追加税収を見込んでおり、無償で医療を提供する国民保健サービス(NHS)の支出増の財源に充てるとしています。しかし、「政府の見込みは楽観的」との見方や批判は強く、例えば英シンクタンクの経済ビジネスリサーチセンター(CEBR)は、「平均的なノンドムの25%が国外に流出すれば、政府の利益が帳消しになる」と推計しています。
《どう見るか》
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます