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アジア太平洋交流学会会長・目白大学大学院講師

澁谷 司

 

(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。

 

世界的に注目を集めている米企業エヌビディアのCEO黄仁勲が5月26日、訪台し、約2週間滞在した。黄は1963年に台南市で生まれ、9歳の時、両親と共に米国へ移住した台湾系米国人である。

 

 

エヌビディアのCEO、台湾を"国"として扱い中国の怒りを買う

同29日、黄はインタビューで「台湾は世界で最も重要な『国』」と発言し、中国メディアの怒りを買っている(*1)。黄は6月2日の台湾大学における講演の際も、台湾の主権を間接的に示すかのように、中台が異なる色で描かれた「AI世界地図」を披露した。

 

6日、中国メディア『観察者網』は「台湾を国と呼び、黄仁勲は漂流」というタイトルの記事を発表している。中国メディアは、中国企業は「台湾独立」を支持する企業とは絶対に協力できないと述べ、黄に対し中国国民に声明を出すべきだと主張した。

 

黄が台湾を発つ前の8日朝、メディアは「台湾は非常に重要な『国』である」と公言したことについて、北京が不満を持っていることをどう思うか尋ねた。黄は「私は地政学的な話をしているわけではなく、技術パートナーの皆さんの総てのサポートと業界への総ての貢献に感謝しているだけだ」と答えている。

(*1) 2024年6月8日付『中国瞭望』

 

 

エヌビディアにとって痛くはある中国市場のシェア低下