天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

東京競馬場で句を考える

2024-04-21 06:22:34 | 俳句

府中本町駅


きのう東京競馬場で吟行して句会した。伊豆の国市に住む杉村有紀代から年明けそうそうその企てを頼まれていた。土曜日曜は結を見る日であるし競馬が府中で開催されるのも周期があり、きのうやっと実現した。
府中本町駅改札に13時集合としたが結局一人も集まらなかった。みな早くから取材したくその時刻にはみんな競馬場内にいたらしい。幹事一人がおいてけぼりを食った形になった、やれやれ。句会開始時刻と場所は前もってきちんと伝えておいた。8人集まるはずだがさてどうなることやら。
長い時間、府中本町駅でくらやみ祭の提灯を眺めていた。
競馬場に人が集めて吟行するのはきのうで3度めか。記憶しているのは、

馬券踏み行き交ふ靴や日短

中央例会へ出してえらく評判が良かった。あのとき足許には外れ馬券ばかりであったがきのう構内を歩いていて綺麗なことに驚いた。

夢果てし馬券散らかる春疾風
という景色を想像していたがあたりはまるでホテルのロビーを歩く感じであった。入場料が値上がりしておらず200円。
西口付近で杉村と山梨県から来た竜王さんに会った。彼女の最寄駅は竜王という。ひこばえネットの新人で吟行というのが初めてで嬉しそう。「短冊」はどういうものか知らない人に久しぶりに遭遇したが、短冊の大きさ以外何も教えなかった。彼女は自分で事にぶつかってきちんと処理していける人。事前の情報など入れないほうが伸びると思った。











競馬場は今やデートスポットであり家族の行楽の場に様変わりした。それは前の吟行でも感じたがさらに綺麗な印象を与えるように進化した。
競馬場の真ん中に公園があるがそこの遊具の充実ぶりに目を見張った。府中の森公園の遊具が知るかぎりもっとも充実しているのがそれをしのぐ規模と多彩さ。大勢の子供と保護者がいた。
結を連れて来ようかと思った。











競馬場の道具、機器類でいちばんユニークなものが発走用器具である。機嫌の悪い馬がいやいやする発走の道具。これを引っ張る車。
これを見ていて芦ノ湖の遊覧船を思う。遊覧船は冬湖から引き上げるのか。また富士山の登山馬を思う。彼らはたぶんどこからか連れて来られた。夏山が終わると何処へ行って過ごすのか。
しかし競馬場の発走器具とそれを引く車はずっと東京競馬場にあり続けるだろう。これを専門に作る工場もどこかにあるがどのくらい生産するのか。そう壊れるものでないがどれほどの需要があるのか。人が使う道具類の中で異彩をっ放つ存在であり考えを巡らせていて飽きない物である。







行く春や馬の尾捌きしどけなく
馬に付き馬丁速足囀れり
パドックの千の目春の鳥を見ず
実際のレースは遠い。近くで馬を見て楽しいのがパドックである。込んでいてなかなか前に行けない。


土煙上げて馬群や春暑し
春暑し泡吹く馬を二人引(ににんびき)
「二人引」は「競馬用語だがふつうに流通するのではないか。気合が入っていていいのか入れ込んでいて悪いのか評価が分かれる状態である。

青芝の欠片宙飛び馬群過ぐ
撥ね上げた芝の欠片をジグソーパズルみたいにはめ込んで槌のようなもので叩いて芝を修繕する人たちがいる。馬糞を片づけたり、競馬場はいろいろな作業がある。

麗らかや馬券拾ひて微笑む子
その馬券の数字が200でも50000でも子供には関係ない。四角でパリッとしていてものとしてかっこいいのである。数字を知らない子供はなんでも喜べるがすぐ数字の意味を知ってしまう。





大國魂神社宝物殿


大國魂神社も久しぶり。ここで昔作った句が
宵宮や星霜を立つ大欅
である。主宰が「中七がカッコいいですね」と彼にしては蓮っ葉な表現で褒めてくれた句である。季語に「宵宮」を付けたということは、くらやみ祭であったか。5月3日~6日で5日夜にメインエベントがある。



大國魂神社の象徴というべき入口の大欅


その欅はもう芽吹きというより若葉という感じ。祭提灯に「武蔵府中」と記されていたのが印象的で次の句を詠んだ。「鎌倉右大臣実朝の忌なりけり 尾崎迷堂」という句を湘子がえらく評価しているのをふと思い出し、それが可なら、
武蔵国府中の欅芽吹きけり
もいいのではと思いついた。「東京都府中市」と「武蔵国府中(むさしのくにふちゅう)」はちがうのである。自分は武蔵国に住んでいるぞ、という意識である。


府中市のメインストリート「欅通り」


欅通りの一角、京王線高架下に軽食・喫茶の「は~もにい」がある。うちの前の家のゆみちゃんが勤めているのと、立地がよく珈琲が安い(300円)なので、句会場に使っている。
座敷の座卓で8人まで大丈夫。予定通り8人集まったがなんと1人が足に包帯を巻くけがをしていた。よくも参加したものである。その彼女は座るより椅子に腰かけるのがよく、座敷の端の土間に椅子を置いて句会に参加した。
そうすることが可能なほどすいていた。昼時しか込まないのも句会にうってつけの店である。
さて、きのうは、みなさん満足して帰ったのかな。幹事は疲れた。



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