大相撲名古屋場所は白鵬の35度目の優勝で終わった。
初日、2日目の白鵬の長い相撲をみて舞の海が白鵬の衰えを指摘した。ぼくもそう感じたが、13日目から千秋楽にかけての鋭さはけた外れであり、白鵬強しを印象づけた。
いつも感じることであるが今の大相撲の上位を占めているモンゴル人たちにぼくはなんの違和感も持っていない。
日本の国技であるから日本人の活躍を、という願いは理解できるが、ぼくは相撲がおもしろければそれでいい。
人種的にモンゴルの諸君は日本人に近い気がする。
日本大相撲協会はいろいろな不祥事を起こしたが、世界中の人材を発掘して大相撲に溶けこませて調和させて興業を打っているのは評価している。
世界からさまざま素材に来てもらい人種差別もなく、ちょんまげを結い、ふんどし姿になって、ぶつかりあうのは日本主催のインターナショナルの手本であろう。
これだけモンゴル人が活躍しているのだからウランバートル場所を打ったらどうか。
力士の輸送がたいへんなら白鵬、鶴竜、照ノ富士あたりを里帰りさせて巡業を打ってはどうか。
モンゴル相撲の力士たちに日本相撲をレクチャーするのはおもしろい。
さらに発展させて旧満州の首都・長春(かつての新京)で大相撲興業を打ってみたらどうか。きわめて政治的であり硬直した共産党政権を刺激するかもしれないが、今の大相撲の精神は「五族協和」である。インターナショナル・フレンドシップを実行しているのである。
本題からそれるが、太田尚樹著『満州裏史』を読んでいて、満州建国に関与した板垣征四郎と石原莞爾から一字ずつ名前をもらったのが指揮者・小沢征爾と知って驚いた。
征爾の父・小沢開作は歯医者で満州事変の立役者であった板垣征四郎と石原完爾とは同志であった。その縁で息子の名前をつけたのであった。
太田尚樹は、小沢開作が「五族協和」「王道楽土」なるコピーを考案したとしている。
「五族協和」はそれ自体はすばらしい精神である。
満州国は日本がアメリカ戦をはじめたことで瓦解したが当初の理念は否定されなくていいだろう。
「五族協和」は漢民族絶対の中国にはあり得ない考えであるし、アメリカにしても人種差別の根は深く民族協和の道は遠い。
日本大相撲協会にはかつて小沢らが夢想した民族協和の精神を濃厚に感じる。
仮に長春で、日本人、モンゴル人、中国人、朝鮮人、ロシア人が入り混じった大相撲を開催できたら日本流の平和を具体的に世界にアピールできるのではないか。いま足りない人材は朝鮮だけである。朝鮮人をスカウトしてほしい。
大相撲協会は文部科学省、外務省と図って世界の平和に貢献できるのではないか。平和、平和と叫ぶだけでプランがないと逆に戦争が侵入してくる。平和のために具体的な企画を考え実行していくことが大事であろう。