小結の若元春。いつの間にかこの地位に来たという感じ。激しいと感じないが左差しは鋭い。静かに強くなっている。
この力士に最近注目していて懐かしさを感じた。そうだ、あの栃錦を思い出すのである。両者の写真を引っ張りだして見比べるとそう似ている気もしないが、雰囲気が栃錦なのである。
栃錦清隆は春日野部屋所属。身長177cm体重132㎏。第44代横綱。小兵だったが横綱を張り、第45代横綱若乃花幹士をライバルとして「栃若時代」を築いた。幕内優勝10回。1955年横綱になってから1960年引退するまでの優勝が6回。
1559年小生は8歳。相撲というものがわかりかけたころ、栃若全盛期であった。栃錦も若乃花も左四つゆえがっぷり四つになるケースが多く、両者は熱戦を繰りひろげた。
その栃錦とその時代を若元春は濃厚に思い出させる。
実家は農家ゆえ家の中に茣蓙を敷いた広い空間があった。そこで兄二人が相撲を取り眺めた。小生は彼らから年が離れていて相手にしてくれなかったが、近所の米屋の兄貴がけいこをつけてくれた。けいこといっても藁を敷いたところで彼が好きなだけ小生を投げるのであった。まさに「可愛がる」という感じであった。あのころ少年たちの娯楽の大きな柱が相撲であった。
若元春は身長185cm、体重146kg。左四つ。いまの時代、そう大きいと感じない。それより小さな栃錦がとても大きく見えた。さて、若元春はどんな雰囲気を持った力士に成長していくのか。同じ左四つ。栃錦の再来として期待している。