天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

映画を見ると不良の時代

2018-11-15 06:38:46 | 世相


きのうユーチューブを見て昔のアイドル・本間千代子にめろめろになった。彼女の代表作といわれる主演映画「君たちがいて僕がいた」は東映1964年とのこと。
本間は生まれは伊那市だが育ちは東京。小学校から東京の小学校へ通っている。この映画に出たとき19歳でぼくは13歳。

そのころ伊那町には「旭座」と「電気館」という映画館があったと記憶する。もしかしてどちらかにそれがかかっていたかもしれないが、当時13歳の中学生が映画を見るなど考えられなかった。
ぼくの育った山辺の村から伊那町まで6キロあり中学生は町へ行かない。仮に町へ行ったとすれば姿を見られて問題になったであろう。
高校は伊那町にあったからそこへ行く。ぼくは自転車通学した。しかし映画館へは入れなかった。映画館で人に見られたら不良の風評がすぐ立ったであろう。「不純異性交友」なろ言葉はこのころ流行ったのではなかった。
保守的、封建的な空気に高校生になっても取り巻かれており、空気を無視して生きられなかった。

したがって高校生の男子と女子が寄り添っているというシーンはあってはならぬことであった。ぼくの行った高校は男子校であったから女子は遠い存在であった。
可愛い娘と仲良くなりたい。映画の中の舟木一夫と本間千代子になりたかったのであるが、それは夢のまた夢の時代であった。
そういう衝動がぼくをD.H.ローレンスを原書で読むことに走らせた。

いま電車の中で高校の制服を着た男の子と女の子が手をつないでいるのを見てなんにも感じないのが不思議である。自分は伊那の人でなく東京の人である。今は伊那でも高校生男女が手をつないで映画館に入っているだろうが。
映画を見たかった、それもガールフレンドと一緒に見たかったという果たせなかった17歳の思いが懐かしくよみがえった。
あのころ思いを果たせていたらこの感慨はなかったであろう。禁止されていた果実は想像のなかで炸裂してこのうえなく甘美である。
現在の高校生の男女がそんなに甘い思いをしているのか。そう羨ましくもないのが年を取ったということか……。
コメント
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