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天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

見せた阿炎

2021-11-28 07:41:46 | 大相撲



大相撲九州場所、14日目のメインエベントは結びの照ノ富士VS阿炎であった。きのう最高の取組というだけでなく今場所の最高の一戦といってよかった。
阿炎は不祥事で何場所も休場を言いわたされて下へ落ちていたがぐんぐん上がってきて幕内15枚目。得意の突き押しが一皮むけてなんと貴景勝も破ってしまった。いま照ノ富士に勝てそうな力士の中でナンバーワン。今場所のどの大関よりも強い。通常なら大関正代がきのう照ノ富士に当たるところが阿炎になってしまった。協会首脳部の英断であるが北の富士さんの指摘するように「正代にとって屈辱」である。首脳部も慣例破りの処置にそうとう困ったのではないか。頼りない正代を大関にしたのも首脳部であるから。

それはともかく阿炎に勝つ確率はそうとうあると思って一戦を見た。
立ち会い阿炎の突っ張りで照ノ富士が仰け反って後退。土俵際に押し込まれる苦しい展開だったが、土俵際で残して攻め返し、肩透かし気味に崩して阿炎を転がた。決まり手は「押し倒し」。
照、危ない、負ける!と思った。ただし格の違い、自力の差はあった。照ノ富士は「勢いを止めるにはちょっとでも(自分の体を)伸ばさないといけない」と意識していたという。「こっちが伸びないと相手も伸びてくれないので」、「むやみに前傾で圧力をかけず、相手の突き押しを呼び込むように意識」ということだったらしい。
それでも阿炎の成長をまざまざと感じた。

気がはやいが、阿炎の横綱を期待する。あんなに足が高く上がる四股を踏む土俵入りを見たいのである。


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横綱照ノ富士の土俵入り

2021-11-24 05:08:42 | 大相撲


大相撲でいちばん見たかった照ノ富士の土俵入りをやっとテレビで見た。膝を割って蹲踞してから「せり上がる」ところが不知火型の土俵入りの見せ場なのだが、そこは速く上りすぎた。膝の負担がきついなのかもしれない。ここで3秒使ってジリジリと上がって行って欲しいのだが……。
四股はうまいと思った。大型の力士にしては足が上りきれいな弧を描くし、時間もそこそこである。白鵬は四股が下手でいらいらした。足を上げてからおろすのがはやすぎた。あまりにはやくせっかちさばかり目立った。この点、照ノ富士はおっとりしていて良かった。稀勢の里 は足が上らなかった。ほどほどに鋭い視線はころあいだと思った。全体として形が良かった。及第といっていいかな。


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白鵬はなぜほえるのか

2021-07-20 05:14:52 | 大相撲


大相撲名古屋場所、白鵬が全勝優勝した。
14日目白鵬と照ノ富士が負けなしでぶつかることになったとき相撲通のF子から「明日八百長があるかも。照ノ富士が勝つと万々歳だから」とメールが来た。それは相撲協会にとっていうことのない展開であり、あり得ると思ったが千秋楽、白鵬が勝った。ここに八百長はなかったのであり、案外相撲協会は健全なのかもしれないと思った。

照ノ富士が白鵬と長い時間にらみ合いをしたときまずいぞ、照ノ富士と思った。これは白鵬のペースなのだ。精神的なゆさぶりであり照ノ富士は応じてしまっていた。にらみ合いなどせずさっさと蹲踞に移れば別の展開になっていただろう。これが白鵬の老獪さである。
白鵬は張り手、かちあげと繰り出し、強引な小手投げの連発で照ノ富士を土俵に這わせ、鬼の形相で鬼の形相で雄たけびを上げた。
解説の北の富士さんが「やってることはえげつない。ここまで45回優勝を見ているけど、こういうのは初めてだし、何かあったのかね?」と驚いた。舞の海さんも「横綱が守ってきたもの、受け継いできたものがありますからね。」と苦言を呈した。しかし白鵬はとにかく横綱は勝たねばならぬ、勝ち続けねばならぬという横綱像を打ち立てたのではないか。

ぼくは照ノ富士の優勝を望んでいたので白鵬が賜杯を抱くテレビは見なかったのだが、白鵬の勝ちを取る執念はほかの力士が見習っていいことだと思う。
それに44回も優勝していて長い休場のあと最後まで勝ちに行き、優勝をもぎとる精神力はどこから出てくるのか、批難を横におき、考えてもいいのではないか。
たとえば鶴竜は白鵬と同じように休場していてすんなり引退した。その前、稀勢の里も世間の圧力に屈するような形で引退した。
それにひきかえ白鵬は優勝した回数という実績を最大限生かし休み続け、出てきたときは優勝した。それも全勝で多くの人が望んでいた照ノ富士を叩き潰して……。世渡りの才覚も備えている。これは立派な横綱像である。

悪役である。ヒールである。品行方正ではない。けれど強い。勝負勘が冴え体力の足りないところは心理戦でゆさぶり、駆け引きで勝ちをもぎとる。白鵬は旧約聖書の怒れる神のイメージを持ちやはり凄いのである。
大関が何人もできて次の横綱は誰かと見ても照ノ富士以外はだめである。だめな大関を見ていていつも白鵬レベルの相撲を思っていた。
白鵬を批難してもいいのだがそれを乗り越さなければだめ。北の富士さんも、現理事長も、むろん舞の海さんも、白鵬レベルの相撲は取っていないではないか。また継続する意思の強さも白鵬のレベルになかっただろう。

白鵬と比べてよいのは大鵬である。優勝回数で勝る白鵬は立居振舞の良かった大鵬に花を持たせているのではないかとさえ思うのである。


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鮮やかにうっちゃり決めし涼しさよ

2021-07-15 05:59:23 | 大相撲

左:千代ノ皇、右:妙義龍


大相撲名古屋場所十一日目のきのう、久々に「うっちゃり」を見た。千代ノ皇が妙義龍に決めた。行司軍配は妙義龍に上り指し違いとなった。相手の力を弧を描いて逸らすこの技はいつもスリリングである。野球の華がホームランであるなら大相撲の華はうっちゃりである。両方も弧を描く。
初代若乃花と栃錦が熱戦を展開したころ体重は前者が107kg、後者が132kgであったが、いまや幕内力士の平均体重は162・6 kg(2019年8月27日)と巨大化した。戦車と戦車が激突するパワー合戦となって、細かい技が激減している。160 kgの重圧をこらえるなど至難であろう。
ゆえに「うっちゃり」に郷愁を感じたのである。ぼくにとっての大相撲は栃若でありそのころ活躍した明武谷(113kg)のうっちゃりに痛く感動したことを思い出す。細身の明武谷のしなりが鮮やかで、きのうはそれを思い出していた。

1950年代から1960年代にかけて活躍した琴ヶ濵(117 kg)も忘れられない力士。大関を28場所つとめ伝家の宝刀「内掛け」を持っていた。
相手力士が妙なタイミングで土俵に沈むので、あれっと思うと足がかかっていた。彼の内掛けはビルを爆破して垂直に沈める感じであった。この技の使い手はいないなあと思っていたところ、豊昇龍が現れた。
きのうは正代相手に外掛けで崩し、寄り倒した。豊昇龍の足技は見せる。外掛けは下手にかけると自分の体勢が伸びてつけこまれるが彼は巧い。内掛けも使う。白鵬をはじめモンゴル勢に対する風当たりを感じるが、皮肉なことにかの名大関琴ヶ濵の技の継承者はモンゴル人の若武者である。


左:豊昇龍、右:正代
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不死鳥か白鵬

2021-07-14 05:23:05 | 大相撲

隠岐の海を寄り切る白鵬(十日目)

大相撲名古屋場所、長期休養明けの白鵬が10連勝した。危ない相撲もあったが最近は姿勢がよくなってきている。驚いた。前半三つは負けて後半も星をこぼし5敗するのではないかと予想していた。10勝5敗でぎりぎり横綱の位置にいられるのであり、前半5敗したら休場→引退もあり得るとみていた。
不在の間、白鵬は調整に余念がなかったと思う。よくここまで心技体を持ってきたものだと感動する。
しかし問題はラスト5番。
長期休養後はどうしてもスタミナ切れになる。今日からの5日、1敗するとガタガタと崩れる可能性もある。それにしても今場所の引退はなくなった。仮に優勝などしたら、それこそ不死鳥と呼んでもいい。
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