
大相撲春場所5日目、好調遠藤が松鳳山を土俵際の突き落としで破ったが左膝を痛め、土俵に戻って勝ち名乗りを受けることができなかった。
その後車椅子で病院へ向かった。
けががとても心配だ。
一勝が一生を台無しにすることもある。プロの勝負の厳しさを見た。
こういう場合勝ちを捨てることもプロではないかと思った。
一勝を棒に振るようなけがを呼び込むような瞬間、勝ちを捨てるいさぎよさもプロではないかという気もする。
大技を食らうとすぐまいったの意思表示してからだを労わったジャイアント馬場を思った。
たとえばザ・デストロイヤーの四の字固めを食らったときなど10秒も我慢せずにギブアップ。からだの負担を最小限にとどめて次の勝負に備えたものだ。(3本勝負の場合)
見ていて苦笑してしまった。
情けなかったが馬場さんは徹底した合理主義者であった。
プロというのは意識して負けることもときに大事であることを情けなさと一緒に教えてくれたような気がする。
プロレスは大相撲と比べ勝ち負けにあまり意味がないショービジネスではあるがそれにしても馬場さんはあっさりしていた。
もう一人頑張らないプロ選手に大洋ホエールズの平松投手がいた。
彼は「ガラスのエース」という不名誉なニックネームをマスコミからもらっていた。それはここで頑張ってほしい試合で崩れることが多かったためだ。
平松は金田さんのようにからだが頑健でなく故障がちだったためかとにかくからだの酷使無理使いをさけた感じで18年はたらいて201勝をあげた。
名投手である。
大関が全員ばたばた負ける中で有望なプロ力士にときには意識的に負けていいよ、というのもなんだが、ひとつくらい落としてもほかの取り組みで輝いてくれれば納得できる。
絶対負けたくないという気性が凄すぎて一生を棒に振る重傷を負うのはどうなのか。
ジャイアント馬場流の情けなさもまたプロのひとつの姿勢のように思う。
遠藤関の負傷が軽いことを祈る。