先日より、大飯原発の活断層の調査が話題になっている。原子力規制委員会の田中委員長は、ルールとして活断層の可能性がクロ、ないしはグレーであれば原発の継続可動を容認できないという立場から、結果的に大飯原発の稼働停止を示唆している。同様に、北海道の泊原発に関しても、原発の安全基準ができるのはまだまだ先だから、早期の再稼働を容認しない方針も示している。あくまでも技術的な視点からの判断が求められる田中委員長の立場からすれば、至って自然な対応である。
しかし一方で、極寒の北海道における予想外の大規模停電は、多数の人命を左右する事態であることは明らかである。藤村官房長官は「冬の北海道で停電が発生すれば生命と安全に関わるので、政府として万全の対策をとる」と語り、枝野経産相も「冬の北海道で停電が発生することは道民の生命や安全に直結する」述べているから、少なくとも多少の危機感を感じていることは明らかである。しかし、一方で強制力を伴う指示などは全く出されていないから、実効的にどの程度に電力消費量が抑えられるかは怪しい。更に言えば、その見通しなどに関する精度の高いシミュレーションを行なったという情報も聞かない。北海道電力では老朽化した火力発電所も稼働させて急場を凌いでいるそうだから、その設備に不具合が起きた場合の対策など、とてもではないが真面目に対策を取られているとは思えない。もちろん、リスクというのは確率的なものでしかないから、何もしなくても何も問題が起きずに終わることも有り得る。多分、確率的にはその確率が最も高いのは事実だろう。仮に、100人の死者が出る確率が1%であったとすると、それが現実には多分ならないのであろうが、しかし常識的にはそのリスクは無視できないのである。しかし、そのリスクを考慮して原発再稼働などの動きを見せれば、選挙において致命的な打撃を受けるのは目に見えているから、選挙という視点で見れば原発再稼働も視野に入れた議論をはじめることは、彼らにとっては死活問題となりうる現実の「リスク」であるのだろう。だから、身動きが取れないでいるのではないか。
しかし、この無責任さは何処から来るのであろうか?
折しも、政局は末期的な状況で、特例公債法案や1票の格差是正の法案も自民党の賛成でスラッと通りそうな勢いであり、12月16日の都知事選とのダブル選挙もあながち不可能な話ではなくなっている。となると、年内に政権は自民党政権となり、バトンは安倍総裁に渡されることになる。北海道の電力不足は来年1月から2月頃がピークだから、その頃は自民党が政権を握り、仮にそのタイミングで大停電が起きてもそれは時の政権担当者である自民党の責任に転嫁できる。その逆に、自民党が政権を握るなり泊原発の再稼働を指示したとなると、それはそれで安倍政権を攻撃する格好の攻撃材料にもなる。来年の参院選までに自民党に壊滅的な打撃を与えようと思えば、最も強力な武器である対立軸は原発問題だから、自らが政権を追われることは織り込んだ上で、政権が交代した後でどちらに転んでも「選挙的」には好都合な「地雷」と見ることもできる。しかし、それは国民の命を弄んだバクチなのである。
多分、今国会の中でふたつの法案の成立の目処が立てば、予算委員会や党首討論などの機会が設定され、そこでこの手の問題も含めた議論がなされるはずである。そこで、安倍総裁には是非とも野田総理に確認をして欲しい。原発停止に伴い、電力供給に不足が生じ、予想外の停電が発生することになる場合の問題の責任は誰にあるのか?そして、それが問題であればその対策を打つのは誰の責任なのか?更には、泊原発が停止したままで、老朽化した火力発電に不具合が生じ、大幅な電力不足になるリスクをどの程度と捉え、その様な致命的な事態に対する対策を何処まで打っているのかを確認して欲しい。ここまでの間原発を推進してきた立場から、今となって急に原発を停止しておきながら、「(電力不足となる)責任は一義的には電力会社にある」などと、まかり間違っても言いはしないだろう。さらには、まかり間違っても「原子力規制委員会が再稼働を認めないから仕方がない」とも言わないだろう。その流れの中で、民主党のその場凌ぎのエネルギー政策の詭弁を追求し、内閣不信任案につなげて欲しい。
私が知る限り、北海道の電力供給は全ての発電所に何らトラブルが発生しないことを前提に乗り越えられる見通しであり、とても余裕などないはずだ。一方で、浜岡原発の様な具体的な自然災害のリスクが指摘されている訳でもない。であれば、もし仮に年内に政権交代が成立するのであれば、新政権では各リスクを短時間で精査し、緊急の原発再稼働も含めた決断を速やかに行って欲しい。勿論、冬が終わり急場をしのぎ切った段階で原発を再度停止することも前提の上でだが・・・。
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しかし一方で、極寒の北海道における予想外の大規模停電は、多数の人命を左右する事態であることは明らかである。藤村官房長官は「冬の北海道で停電が発生すれば生命と安全に関わるので、政府として万全の対策をとる」と語り、枝野経産相も「冬の北海道で停電が発生することは道民の生命や安全に直結する」述べているから、少なくとも多少の危機感を感じていることは明らかである。しかし、一方で強制力を伴う指示などは全く出されていないから、実効的にどの程度に電力消費量が抑えられるかは怪しい。更に言えば、その見通しなどに関する精度の高いシミュレーションを行なったという情報も聞かない。北海道電力では老朽化した火力発電所も稼働させて急場を凌いでいるそうだから、その設備に不具合が起きた場合の対策など、とてもではないが真面目に対策を取られているとは思えない。もちろん、リスクというのは確率的なものでしかないから、何もしなくても何も問題が起きずに終わることも有り得る。多分、確率的にはその確率が最も高いのは事実だろう。仮に、100人の死者が出る確率が1%であったとすると、それが現実には多分ならないのであろうが、しかし常識的にはそのリスクは無視できないのである。しかし、そのリスクを考慮して原発再稼働などの動きを見せれば、選挙において致命的な打撃を受けるのは目に見えているから、選挙という視点で見れば原発再稼働も視野に入れた議論をはじめることは、彼らにとっては死活問題となりうる現実の「リスク」であるのだろう。だから、身動きが取れないでいるのではないか。
しかし、この無責任さは何処から来るのであろうか?
折しも、政局は末期的な状況で、特例公債法案や1票の格差是正の法案も自民党の賛成でスラッと通りそうな勢いであり、12月16日の都知事選とのダブル選挙もあながち不可能な話ではなくなっている。となると、年内に政権は自民党政権となり、バトンは安倍総裁に渡されることになる。北海道の電力不足は来年1月から2月頃がピークだから、その頃は自民党が政権を握り、仮にそのタイミングで大停電が起きてもそれは時の政権担当者である自民党の責任に転嫁できる。その逆に、自民党が政権を握るなり泊原発の再稼働を指示したとなると、それはそれで安倍政権を攻撃する格好の攻撃材料にもなる。来年の参院選までに自民党に壊滅的な打撃を与えようと思えば、最も強力な武器である対立軸は原発問題だから、自らが政権を追われることは織り込んだ上で、政権が交代した後でどちらに転んでも「選挙的」には好都合な「地雷」と見ることもできる。しかし、それは国民の命を弄んだバクチなのである。
多分、今国会の中でふたつの法案の成立の目処が立てば、予算委員会や党首討論などの機会が設定され、そこでこの手の問題も含めた議論がなされるはずである。そこで、安倍総裁には是非とも野田総理に確認をして欲しい。原発停止に伴い、電力供給に不足が生じ、予想外の停電が発生することになる場合の問題の責任は誰にあるのか?そして、それが問題であればその対策を打つのは誰の責任なのか?更には、泊原発が停止したままで、老朽化した火力発電に不具合が生じ、大幅な電力不足になるリスクをどの程度と捉え、その様な致命的な事態に対する対策を何処まで打っているのかを確認して欲しい。ここまでの間原発を推進してきた立場から、今となって急に原発を停止しておきながら、「(電力不足となる)責任は一義的には電力会社にある」などと、まかり間違っても言いはしないだろう。さらには、まかり間違っても「原子力規制委員会が再稼働を認めないから仕方がない」とも言わないだろう。その流れの中で、民主党のその場凌ぎのエネルギー政策の詭弁を追求し、内閣不信任案につなげて欲しい。
私が知る限り、北海道の電力供給は全ての発電所に何らトラブルが発生しないことを前提に乗り越えられる見通しであり、とても余裕などないはずだ。一方で、浜岡原発の様な具体的な自然災害のリスクが指摘されている訳でもない。であれば、もし仮に年内に政権交代が成立するのであれば、新政権では各リスクを短時間で精査し、緊急の原発再稼働も含めた決断を速やかに行って欲しい。勿論、冬が終わり急場をしのぎ切った段階で原発を再度停止することも前提の上でだが・・・。
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