けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

動かぬ証拠があるのに・・・(政府の情報操作の巧さ)

2012-02-29 21:34:03 | 政治
昨日のトップニュースは民間事故調査委員会が出した事故調査報告書に関するものだった。多くのニュース番組でも長い時間取り上げられ、その当時の官邸が如何に酷いものであったかを明らかにしていた。一方で注目すべき点は、この調査報告書には東電関係者の聴取がなされておらず、ここに弱点がある。悪いのは、事故対応を言い訳に聴取に応じない東電側なのだが、結果的にそれが誤った情報を発信する原因になったので触れておきたい。

この報告書の中で、ひとつだけ事故調は菅前総理を評価している。その評価とは、東電が社員を福島原発から全員撤退させようとしている話を菅前総理が聞きつけ、社長を呼んで激怒しながら「全面撤退はあり得ない、そうしたら確実に東電は潰れる」と迫ったことが、迷走していた事態を好転させるきっかけとなった・・・とした点である。呆れたことに菅前総理は、この一点についてのみ言及し、私が正しいことをしたことが評価されて嬉しいというコメントをしたそうだ。言ってみれば、100点満点のテストで1問10点の問題に対してだけ正解し、それを自慢しているかの様な対応だ。

しかし、もし東電が事情聴取に応じていたら、この報告書の中からこの記述(評価)が削除されていたであろうことは間違いない。それは、東京電力のホームページに答えがある。以下のURLを一度見て欲しい。

東京電力ホームページ 当社関連報道について(2011.9.13)
9月11日放送TBS『震災報道スペシャル 原発攻防180日間の真実』における報道について

これはTBSが放送した福島第1原発関連の特番の話で、以前から官邸が主張している「東電全面撤退説」を追認する形で作成されている。しかし、以前からも一部では取り上げられていたが、東京電力は明確に、「全面撤退」発言がなかったと主張している。特にこの反論のページでは、菅前総理が参議院予算委員会で行った2回もの答弁を引用し、(4/18発言)「社長にお出ましをいただいて話を聞きました。そしたら社長は、いやいや、別に撤退という意味ではないんだということを言われました。」、(5/2発言)「ある段階で経産大臣の方から、どうも東電がいろいろな状況で撤退を考えているようだということが私に伝えられたものですから、社長をお招きしてどうなんだと言ったら、いやいや、そういうつもりはないけれどもという話でありました。」と菅前総理自身がこの「東電全面撤退説」を否定している。これだけの動かぬ証拠があるのだから完璧な反論といえる。

この他にも、福島第1原発の吉田前所長の発言としても、作業に直接関係のない一部の社員を一時的に退避させることや、一時的に放射線量が高まった際の緊急的な対応として部下に対して[留まることを強制しない]として、必要最小限の有志の部隊で対応する決断をした話も聞いており、少なくとも現場では「いよいよ、駄目かもしれない」と覚悟を決めながらも「全面撤退」を考えてはいなかったことが明かされている。

ちなみに、菅前総理に広報担当として仕えた下村健一氏(一応、私はこの方は人間的には好きである)は元TBSのアナウンサーであり、この意味で政府からの情報提供(実際には首相官邸の必死の情報操作)にマスコミが頼りすぎ、この様な番組を作ってしまったことは残念である。テレビ朝日も同様に原発事故の検証番組や報道ステーションの中で、何故か政府側の情報を鵜呑みにしており、この様に誤った大本営発表に踊らされた大手メディアが複数みられた状況を、いつかは検証する必要があるのかも知れない。

話を戻せば、枝野前官房長官や海江田元経産相などが東電社長から直接話を聞いたかどうかまでは裏が取れていないが、少なくとも菅元総理は正確な情報を把握していたのは間違いない。だから、民間事故調の報告書で評価した菅前総理の行動は、本当は「たまたま偶然、勘違いをして恫喝をしたら、その恫喝がテレビで話題(テレビ的には「恫喝」を暗に非難するニュアンスがあった)となってしまった。しかし、それを境に事態の展開が良い方に転がったので、その恫喝の話題を逆手に取ったメディア戦略を行った」というものである。

この他にも、海水注入停止の話題の時も情報操作は酷かった。国会でも「俺はそんな指示をしていない」とシラを切ったが、関係者の証言からは常識的な日本語を理解する者であれば、それが明確な「海水注入の停止指示」と受け取らざるを得ない表現で暗黙の指示をしたことが明らかになっている。具体的には、「海水を注入して、再臨界の可能性は完全にゼロなのか?」と詰問し、専門家(斑目氏)が科学的な事象に確率ゼロは存在しない旨を伝えると、「じゃあ、詰めろ!」と指示をしたという。これは最高権力者が「海水注入を認めるには詰めるのが条件」という意味の発言をしたのだから、「詰めた」という根拠を提示するまでは海水注入は許されないと普通の人は解する。しかし、殆ど言葉遊びの世界で「明示的には指示していない」と開き直り、何故かそれがまかり通っている。しかし、その場にいた多くの人は、この「詰めろ」発言は明確に記憶していたようで、いつの日か責任追及がなされるものと信じている。

この様に、この政権(菅前総理と言うべきか)は情報操作で上手く非難をかわそうという意図が多く目に見える。多分、その他にも責められるべき問題点は多くあるだろう。だから、そのような策略に騙されず、より多くの情報を集めて真実に迫らなければならない。政府側からの情報提供に頼りすぎるマスコミは要注意である。

国会での事故の原因究明では、もっと突っ込んだ調査をして欲しい。それができなければ、野党は存在意義がない。

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【追記】
思い起こせば、内閣不信任決議の際の情報操作も素晴らしいものがあった。民主党の両院議員総会での例の演説の直前、多分、午前11時50分頃だと思うが朝日新聞か何処かのホームページに、菅前総理が辞任発表をして鉾を収めることが民主党内で合意された模様と記載されていたように記憶している。その後、昼休みになって職場の茶飲み場のテレビをつけたところ、例の演説が始まった。演説を聞きながら、字幕に「菅総理、辞任表明」と出るのを見て「辞任するなら、はっきりと明言すれば良いのに・・・」と思った記憶がある。まさに、民主党の内輪からマスコミから、彼の情報操作にまんまと引っかかった瞬間である。この政権は、その様な性癖がある、しかも常識が通じないということを忘れてはならないと言いたい。


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