けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

頂いたコメントに対する回答

2013-10-27 23:33:04 | 政治
以前のブログ「The situation is under control.のニュアンスを知りたい!」に先日コメントを頂いた。その方のコメントの結論としては、安倍総理は「The situation is under control.」の意味を理解していないし、現状は制御不能の何物でもない。だから、「要するにIOCは欺瞞されたのか金で沈黙されたのだろう。妙な弁護をしないほうがよい」ということが書かれていた。今日はこのコメントに対する返信を書かせて頂く。

物事について、色々な立場や意見があるのは理解しているので、それなりにこのコメントを書いた人の気持ちは(私なりにではあるが)理解したつもりである。ただ、私がブログで書いたことの意図は十分には伝わっていない様に思えるので、その辺を整理している必要があると考えている。

まず、このコメントの方が何を議論したいのかを考えてみた。考えられるのは、(1)安倍総理は「The situation is under control.」の本当の意味を理解して喋ってはいないということを指摘すること、(2)状況は全く持って統制下にあるとは言えないことを強く主張したいこと、(3)IOCが福島第一原発の問題を日本政府に騙されて東京オリンピック招致を決めたことが間違っていると主張したいこと、とまあこのぐらいのことが読み取れる。他にも言いたいことがあるのかも知れないが、行間から安倍政権のやり方に不満を抱いていることは分からなくもないが、特にこの特定のブログに対するリアクションであることを考えて、必要以上に深読みはしない様にと考え、(1)~(3)について考えてみたい。

まず、結論から先に書いて、その後で詳細な説明をする。まず(1)に関しては、答えは安倍総理に聞いてみないと分からないというのが答えだろう。私は「総理は理解しているはずだ」と弁護する気は全くないし、前回のブログでも推測として書かせて頂いただけで、この点について議論する気は全くない。(2)については、「では、福島第一原発の状況をどの様に表現すれば良いと思いますか?」という逆質問が答えになるだろう。その答えが、福島の避難民の方々や、福島周辺の漁業および農業などの従事者の目の前で、声高らかに言い切れる適切な言葉が提案できるなら、その表現に私も言い換えることにやぶさかではない。寧ろ、その適切な言葉を教えて頂きたい。(3)については、今回のオリンピック招致競争はマイナスの減点材料が何処が一番少ないかの競争であった。つまり、IOCはリスクを定量的に相対評価したのであって、ひとつの国が100点満点ではないということから「その国が不適当」という結論には至らないはずである。相対評価的にはIOCは妥当な判断をしたと私は今でも思っている。

次に、順次、詳細に説明をしてみよう。

まず(1)であるが、私は絶対に安倍総理が「The situation is under control.」の本当の意味を理解しているはずと断言するつもりもないし、IOC総会の原稿を安倍総理自身が書いたとは1ミリも思っていない。どうせゴーストライターが書いたであろうことは容易に想像できる。ただ、留学経験があり、ケリー国務長官などとサシで会話したとかの話を聞けば、それなりの英会話力があるのも事実だろう。コメント中の国会答弁で「stationと発言している」部分は私は確認していないし、仮に実際に言っていても、膨大な仕事を処理する総理大臣がその程度の言い間違えをしてもおかしくない。だから、それを「『station』と『situation』の区別がつかないほどの英語に関する無能さの表れ」と判断するのは少々飛躍に過ぎると私は考える。だから、「あなたのブログに書いている内容は、少々、考え過ぎでは?」というご指摘であれば、甘んじてそれを受けるし、間違っている可能性が大いにあることは認める。ただ、読んで頂けば分かるように、それは私の論点ではない。そんなことを弁護するつもりで書いていいないというのが答えである。

次に、(2)についてである。私の基本的な立場は、物事には「0(ゼロ)」と「1」しかなく2者択一でしか議論できないという考え方は危険だと思っており、実際の事態はその中間の何処かにあるはずである。このコメントを書いてくださった方もその考え方には同意して頂けると思う。だから、その上で現在の状況をどの様に考えるべきかの問題である。まず、あの安倍総理の発言の後、テレビ、ラジオ、新聞の報道はこぞって安倍総理を「嘘つき」呼ばわりしていた。その根拠は全て汚染水問題であり、「汚染水が実際に海に流れ出ているではないか!それで制御されていると言えるのか!」という主張であった。その最たるものが韓国のネガティブキャンペーンで、海のない群馬県を含む東北周辺の8県の水産物を輸入禁止にして、「危ない!危ない!キャンペーン」を繰り広げた。この状況は私のブログ「韓国における日本の水産物輸入禁止問題に関する真実」にも書かせて頂いた通りであり、韓国のマスコミが大挙して「日本の水産物は安全だと言っているが、実際に線量を計ったら放射性物質が検出された!ほうら危険だ!」とまくし立てている。しかし、ブログを読めば分かるように、検出された線量は日本ではバックグラウンドの放射線量と識別可能な検出限界以下であり、それは韓国の放射線量規制の規制値の約1/40程度である。本当に探すのが難しいが、韓国内で日本の農林水産物の中から実際に危険なレベルの線量が検出された例は皆無との報道もある。これが現実なのである。しかし、世界中の原発を探してみても、放射性物質の漏えいが厳密に皆無という原発は存在しない。特にトリチウムに関しては原理的に除去不能と言っても良い存在だから、濃度を規定値以下に抑えた状況でダダ流し状態で運用するのが通常である。セシウムなどの他の核種にしても、原子1個レベルで完全に取り除ける訳はないから、ある基準値以下であるか否かが全ての評価・判断の基準である。確実に港湾内0.3平方キロメートルの範囲内では線量は基準よりも大幅に高いのだろうが、港湾から少し離れて測定すると、飲み水に対する(世界標準よりも厳しい日本の)規制基準と比較しても十分に低い値の線量しか現状では測定されていない。海底とかに原発事故直後の高線量の泥土が蓄積されていたりもするので、一部の魚介類から高線量が継続的に検出されているのは事実であるが、その種類が十分に限定できているので流通経路に危険な食材が流通しない様にコントロールできているというのはかなりの精度で信憑性がある。農産物についても同様で、ブログの「定量的なデータにより「危ない、危ない詐欺」を撲滅せよ!」で書いた通り、(事故直後は別であるが、2年以上経過した)少なくとも現時点での農産物は、流通には乗っていない「きのこ、ベリー類、山菜、いのしし」など一部の農産物を自宅で採取して食べない限り、膨大なデータにより定量的に安全であることが示されている。だから、汚染水の漏えいや放射性物質の拡散は現在でもゼロではないが、それをもってオリンピック招致が許されないという危険な状況ではないことは事実である。

一方で、完全に安全ではないことは事実であることは私も同意する。だから「危険だ!」と言いたくなる気持ちは分からなくもない。しかし、そこでの「危険だ!」の言葉は、実際には安全性が確認されている福島周辺の農林水産物に対する「風評被害」を誘発するきっかけになることを忘れてはいけない。安倍総理が報道番組に出演して繰り返したり、先日の国会答弁でも不機嫌な態度で言い返した言葉の中で最も重点を置いているのは、言われのない風評被害を生んではいけないという1点に尽きる。菅元総理、野田前総理の時代の民主党政権が、初期対応で適切に対応していなかったがために現在の状況は決して褒められた状況ではない。しかし、それでも上述のブログで指摘した農林水産物の安全性は私の予想したレベルよりは格段に高いレベルで安全であることを私は最近知った。正直、予想外と言っていい。ただ、勿論、何処かで気を抜くとボロを出しそうだから、「徹底的に我々はモニタリングをするから、危険な食物を流通されたら一発でばれるからな!」と関係各所を脅すのは良いだろう。しかし、それは決して危険性を世界に発信することとはベクトルが異なる。この点を忘れてはいけない。

次に(3)であるが、先にも書いたように今回のオリンピック招致レースは、各国で減点材料を比べあった相対評価の勝負であった。後述するが、私は福島第一原発の現状を決して安全とは思っていない。それは汚染水の問題ではなく、原発施設そのものの安全性である。しかし、同様のリスクは他の国にもある。今回、次点となったイスタンブールのあるトルコはシリアの隣国である。ご存じの通り、イランとイスラエルの間には核戦争の危機がある。シリアやレバノンはイスラエルと対立関係にあるから、トルコも含めたあの近隣諸国は核の火薬庫と隣り合わせ状態にある。だから、春先に起きたトルコ内の反政府デモによる政情不安定さよりも遥かに深刻な事態として、私は少なくともイスタンブールという選択肢だけは無くなったと確信していた。にもかかわらず、実際にはマドリードよりも高い評価であったという事実がある。つまり、近隣諸国での核戦争の危機などは絶対的な評価ではなく、相対的な評価としかIOCは見ていないのである。同様のことは2018年の韓国の平昌での冬季オリンピックについても言える。平昌へのオリンピック招致は2011年7月6日に決まったが、現在ほどではないにしろ、その当時から北朝鮮と韓国の関係は決して手放しで安心できる状況ではなかった。北朝鮮では2009年には2回目の核実験を行っているし、年がら年中「ソウルを火の海にしてやる!」とも言っていたから、核戦争のリスクもそれなりにはあったはずである。しかし、それにしても相対的な評価の中で、それほど大きな問題とは捉えられなかった。だから、今回のIOCの決定もその延長線上で行われたものであり、安倍総理の鶴の一声でコロリと変わったと言うのは寧ろバイアスがかかった評価であり、現状の安全性ではなく、国家として責任をもって取り組む姿勢が評価されたということであろう。であれば、IOCは妥当な評価をしたと考えて良いだろう。

以上がコメントに対する私の答えであるが、勿論、手放しで安全だとはこれっぽっちも思ていない。最近では報道関係でも全く指摘されないが、私の理解では、福島第一原発の置かれている状況で何が危険かと言えば、あれだけ傷んだ構造体の強度が一体どの程度の震度の地震に耐えられるかという点がひとつ。もうひとつは、現在でも原発周りの津波対策の防波堤が仮設の土嚢レベルのものしかなく、(震源は遠くて震度は小さくても)次に前回同様の大津波が押し寄せたらあの周辺の設備が全て破壊され、膨大な汚染水タンクはもちろんのこと、建物自体にもトドメを刺しかねないというリスクである。勿論、原子炉内や燃料プール内の燃料は相当な低温状態を長いこと維持しているが、次に襲う地震の影響で燃料周りの水が抜け落ちて継続的な冷却が出来ない状況になれば、再度危険な状況に戻ってしまい、爆発の危険性はどうか知らないが、放射性物質の拡散や作業困難な高線量状態になる可能性はあり得るのだろう。だから、なにひとつ楽観できる状況にないことは同意である。しかし、その様な危険性はあくまでも確率的であり、北朝鮮が核ミサイルを撃つ確率や、イスラエルと周辺諸国で核戦争が起こる確率との相対的な比較でしかない。重要なのは、北朝鮮やイスラエルに関連する核戦争は日本として出来ることは限られるが、福島第一原発の安全対策に関しては出来ることが様々あるということである。現状の東電の対応も、安倍政権下での政府の対応も、それぞれ決して私は満足などしないのだが、だからオリンピック招致反対や風評被害に繋がるネガティブキャンペーンをやったり、過剰に安倍政権を批判するのは筋違いだと感じる。

寧ろ、その様なことは福島第一原発に絡めないところで議論すべきであって、そのために苦しんでいる人々のいるところで言う話ではない。勿論、福島の被害者の中にも色々な立場の人がいる。野田前総理が福島第一原発の終息宣言を「嘘つき」というのはそれなりに妥当だと思うのだが、しかし、例えば年間20mシーベルト程度のある程度の放射線量を覚悟の上で故郷に帰りたいと強く願う人が地元に帰るためには、あのような宣言が必要であったのも事実だろう。一方で、終息宣言のせいで補償金額が減額されて困る人もいるかも知れない。立場が変わると受け止め方は変わるのが現実である。仮に原発被害者の方が、私のブログが日本政府の代弁者的に聞こえて、それで不愉快になることもあるかも知れない。その様な人が私に「間違っている」と言っているなら、私は素直に「不快な思いをさせてしまったら御免なさい。」と謝罪するつもりである。ただ、謝ることと主張を撤回することは別問題であるとも言わざるを得ないのだが・・・。

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