けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

日韓関係問題の潮目は近い!?

2014-03-08 23:59:19 | 政治
先日のことであるが、韓国の尹炳世外相がジュネーブでの国連人権理事会に出席し、慰安婦問題の対応で日本を名指しで非難し、併せて解決に向けた対応を求める演説を行った。日本政府はこれに反論を行ったが、韓国政府は「ここが攻め時!」と決めて、一気に勝負をかけようとしてきている。今日は遅ればせながらであるが、この問題にコメントしてみたい。

さて、このニュースを最初に聞いたとき、思い浮かんだニュースがある。そのニュースの登場人物はまさに尹炳世外相であり、そしてその主役はケリー国務長官である。2月13日に韓国を訪問中のケリー国務長官は、韓国の尹炳世外相と並んで記者会見を行い、その中で尹炳世外相にチクリと釘を刺した。その時の記事が下記のものである。

日本経済新聞2014年2月14日「米、日韓に早期和解迫る 国務長官『大統領歴訪前に』

この記事の中でも発言を引用しているが、例えば「過去の問題を少し横に置いて、日米韓3カ国が連携していける道を探せるよう、米国も協力する。そのためにこれから数カ月間、引き続き努力する」「過去より今が重要だ。今、最も緊急の課題は安全保障であり、多くの人の命がかかっている問題に焦点を当てるべきだ」の様に記されている。このニュースはそれなりに話題になったので記憶にある方も多いと思うが、(話は逸れるが、ケネディ大使が安倍総理の靖国参拝に「失望」という少々異例な言葉を用いたのと同様に)ケリー国務長官は異例ともいえる表現を用いて発言している。実はこの会見の模様はアメリカの国務省のホームページで全文を読むことが出来るのだが、少しばかりその発言を原文で引用してみたい。

“So while the United States obviously has a strong interest in the relationship and in the security component of the relationship, it's up to Japan and the Republic of Korea to put history behind them and move the relationship forward.”

ここでは、「it's up to Japan and the Republic of Korea」として、次に続くことが日本と韓国次第であると指摘し、引き続き「to put history behind them and move the relationship forward」と明確に「安全保障上の重要なことの横に『歴史の話』を置いておき、両国の関係を前に進めよ(現在の混沌とした状況を前向きに動かして欲しい)」と言っている。これは、日本は少なくとも歴史の話を持ち出して事態を拗れさせてはいないので、「歴史の話を横に置け」の指示する相手は韓国である。日本に対しても、横に置きやすいように協力しろとのニュアンスはあるが、明らかに責められているのは韓国である。しかし、この発言を受けても尹炳世外相は「悪いのは日本」と頑として受け入れなかった訳で、横ではなく通り道のど真ん中に歴史問題を置き続けているのである。

また、以下の様にも発言している。「友達」という言葉を使いながらも北朝鮮と韓国を混同している辺りが笑える。

“So we urge our friends in Japan and in North Korea – in North Korea and South Korea – excuse me, in the Republic of Korea – we urge both of them to work with us together to find a way forward to help resolve these deeply felt historic differences that still have meaning today.”

こちらは先ほどの様に韓国を一方的に責めるものでもないが、最後の部分を見れば「今日でも未だに失われていないこれらの重い歴史認識の違いの問題を解決するために、我々アメリカは、我々と共に前進するための道を見出すべく行動するように、友達である日本と韓国に対し、しきりに促している」としており、アメリカも当事者として一緒にやるから、とにかく前向きに建設的な行動を取ろうと主張しているのである。さらに、記者からの質問で、4月のオバマ大統領の訪日、訪韓の際に、大統領自ら仲裁役を試みるようなことがあるかとの問いに対しては、下記の様に答えている。

Frankly, we hope that this issue will not be outstanding in a way that requires the President to do that. We need to be doing it now. We don’t want to wait until President Obama is here, obviously, to get moving in a direction that helps to deal with this.

ちょっと微妙ではあるが、「率直に言って、大統領が仲裁することが求められる様な、(4月の時点で)そんな未解決の問題となっていないことを望む。我々は、今、解決をする必要がある。オバマ大統領がここ韓国に来るまで、問題解決を待っているつもりはない。明らかに、この問題を処理するのに役立つ方向に向けて直ぐに行動する必要がある。」としており、少なくとも3月という時期に問題を悪化させる方向に動くことをたしなめた発言である。

このケリー国務長官の発言の後、日本からは河野談話の発表された経緯の検証を行うというニュースが流れた。一見、このケリー国務長官の発言とは逆向きに見えるが、検証のきっかけとなった石原元官房副長官の発言の中では、証拠の裏取すらしない一方的な証言を受けて、あたかも物的証拠があるかの様な表現に変えて河野談話を発表した経緯が触れられている。勿論多くのアメリカ人は批判的にこれを受け取るだろうが、「日韓の裏取引で、日本が譲歩することで一旦は韓国も歴史を横に置いたのに、それをまた前に持ち出したのはどちらだ?」と訴え、日本の努力の歴史をアピールする材料にもなり得る。少なくとも安倍政権はこの辺の事情の説明を裏で必死に行っているのであろう。その成果次第かも知れないが、尹炳世外相のジュネーブの国連人権理事会での演説は、ケリー国務長官の訴えたアメリカの努力を決定的に無にする「卓袱台返し」に等しい。
この様な事態にアメリカが異常に怒りまくっていることが報道されている。その主な部分は、北朝鮮問題で不確定要素の大きな中での日韓の争いが如何にマイナスであるかということから来るのだが、もうひとつの大きな理由には、相当前から指摘されていることではあるが、日本との歴史問題を言い訳に韓国が中国にすり寄る態度が許せないということが言える。この行動はアメリカに対する裏切り行為であり、昨年秋のバイデン副大統領も「アメリカの逆に賭けるな!」と灸をすえている。しかし、その様なアメリカの指摘にも韓国はどこ吹く風である。

しかし、こんな状況にアメリカ人もあることに気が付きだしたというニュースがある。これも、タイミングを逸した記事ではあるが、Record Chinaに面白い記事が載っている。出展はニューヨークタイムズということで、ここに書かれているのはアメリカ人による韓国人の評価がなされている。

Record China 2014年2月25日「キム・ヨナの銀メダルに憤慨する韓国人、勝敗やランキングに異常にこだわる姿勢は被害者意識からきている―米紙

韓国人がキムヨナの銀メダルに憤慨し、採点に不正がなかったかの調査を求める嘆願が200万を超えるに至り、その異様な執念を「劣等感からくるもの」と断罪している。少しばかりコメントすれば、金メダリストのロシアのソトニコワ選手の演技はそれほど良いとは思わなかったが、一方でキムヨナはバンクーバーオリンピックでもそうだったが(素人目では)演技としてのまとめ方の完成度の高さは感じるものの、技術レベル的にはキムヨナの演技が他の演技者(特に真央ちゃん)よりも劣るのは事実なので、ここから先は主観の問題でどの様な結果に転んでも文句の言えた筋合いではないと感じている。韓国からのオリンピックがらみでのイチャモンはアメリカには痛い思い出があり、それらと比較すれば「またかよ・・・」という気分になるアメリカ人も多いのだろう。この記事の面白いところは、この劣等感と言うのは単にスポーツの世界だけに留まる訳ではなく、政治の世界でも同様の劣等感から来る無茶な行動が見られることを暗に示した形である。つまり、これは日本と韓国との対立を観たときに、(日本に対して好意的気分は抱いてくれなくても)韓国に対して懐疑的な気持ちが少しずつ芽生えてきていることを意味する。

さて、話が逸れてしまったので本題に戻るが、この後の展望を考えてみたい。私の答えはひとつである。この状況で、アメリカが韓国に「歴史問題を横に置け!」と言っても韓国はそれを受け入れる訳がない。というか、受け入れた途端に朴政権は崩壊する。死んでも受け入れることは出来ない。同様に、これだけ理不尽なことを言われて耐え忍ぶ日本に、これまた「韓国に対してベタ降りしろ!」と言われて受け入れる訳がない。両者を比較して、TPP問題でこそ対立しているが、日米関係の再構築のためにより多くの努力を示しているのは日本である。であれば、一方的に日本に煮え湯を飲ませる形での決着はアメリカとしても逆効果である。であれば、アメリカは喧嘩両成敗的な解決策を示さざるを得ない。ではその解決策とは何か?

答えは簡単である。「国際司法裁判所での決着を目指せ!」と日本、韓国に迫るのである。この提案は、明らかに日本にとっては渡りに舟である。少なくとも、日本政府は日韓基本条約を締結しているから、国際司法裁判所による判決がなければ慰安婦への補償など行えるはずがない。負ければ補償をしなければならないが、徴用工問題に比べれば補償の額は小さい。ここで補償金を払えば韓国がこの問題でこれ以上の攻撃をすることが出来なくなるから、これ以上の言いがかりを金で解決すると思えば裁判で負けたとしても悪い話ではない。一方、徴用工問題は韓国政府も一時は解決済みとしていたのだから、明らかに日本が圧勝するのが目に見えている。この2点を解決した次には竹島問題が残っている。韓国人にとっては、少々大袈裟に言えば竹島は韓国人のアイデンティティそのものである。仮に負けたら2度と立ち直れないかも知れない。仮に勝ったとしても、韓国国民には教科書で教えられるほど領有権の正当性が明らかでないことが知れ渡るから、日本がどれほど韓国政府のプロパガンダで泣きを見てきたかが明らかになる。一連の流れは、個別の案件の勝敗で微妙な結果となるかも知れないが、少なくとも韓国政府の受けるダメージは相当なものである。であれば、日本政府は即答で「裁判での決着を受け入れる!」と反応し、韓国政府は「拒否!」を貫くだろう。

この時点で勝負はあったと言って良い。

今回のウクライナ問題でも、アメリカ政府は「国際法」に則った問題の解決を謳っている。であれば、同盟国の韓国にも同様の要求を強いるはずである。それを受け入れなければ、「何故?どうして?」と言うようにアメリカ国内の世論は動き出すはずである。それは、潮目が変わる瞬間かも知れない。それは、この3月、4月に訪れる可能性が高い。

この様に考えると、一連の流れは悪い話ではない。寧ろ望むところである。

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4 コメント

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なるほど、米が「国際司法裁判所での決着を!」と来るとは (NON)
2014-03-09 14:45:46
いつも客観的で鋭い分析をされていて、目からウロコです。

なるほど、米が「国際司法裁判所での決着を!」と言い出すとは、これまで考えもしませんでしたが、確かにあり得ますね。

もしかしたら、安倍さん管さんは、その辺りも織り込みすみで、冷静な対応振りをしているのかも。

今月から来月にかけてが最大の潮目でしょうか。

今後も記事を楽しみにしております。
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アメリカ最新情報 (駿太郎)
2014-03-10 20:29:58
3月4日に米上院外交委員会アジア太平洋小委員会で北東アジアでの米国同盟強化についての公聴会が開かれ、ラッセル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が日米・米韓同盟などについて証言を行いました。
内容については、 国務省のホームページから見ることができます。是非、一読してください。
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米国の最新情報(訂正) (駿太郎)
2014-03-10 22:03:08
先ほど、情報は米国国務省ホームページで得られると申しましたが、勘違いしてました。「米国大使館レファレンス資料室
アメリカンセンター・レファレンス資料室」をGoogleで検索してください。先ほどの情報の他、貴重な情報が入手できますから。けろっぴいさんの分析を楽しみにしております。
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コメントありがとうございます (けろっぴぃ)
2014-03-12 00:39:38
ラッセル国務次官補の議会での証言のニュースは事前に知っていましたが、ブログに記載の内容以上の情報を読み取れてはいません。アメリカが仲裁者ではなく友達として振る舞うというのは、国際司法裁判所での決着を強要することに反するようにも読めますが、ケリー長官が behindとい言葉で「横というより後ろの見えないところに歴史を置いておけ」と言ったあたりから、言葉だけの「友達」では済まない何かを感じています。
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