けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

オバマ大統領の本当の評価はどうあるべきか?

2013-10-07 22:14:31 | 政治
最近のアメリカの情勢を見ていると分からないことがある。それは、オバマ大統領の力量をどの様に理解すれば良いのかという点である。今日はその辺についてのコメントである。

実は今朝の産経新聞の朝刊に、2020年東京五輪招致に尽力した森喜朗元首相へのインタビューという位置づけの記事があった。ネット上では詳細には掲載されていないようなので引用は控えるが、(手前味噌的な記事ということで話半分程度に聞いたとしても)元々スポーツマンである森元総理の影ながらの様々な活動が今回のオリンピック招致にどれほど重要だったかが伺い知れる。まあ、狸爺的な感があるし総理退任のドタバタ劇からあまり印象が良くない(正直、好きではない)のだが、過去の私のブログの中でも「人は見かけによらないか?(その向こうにある希望)」という典型例として森元総理を紹介させて頂いた。どうも日本社会においては、彼は小渕元総理の亡くなった後、密室でコソコソ良からぬ動きをして総理の座を射止めた「裏で何をやっているか分からない男」的なレッテルを貼られている。それは確かに正しいのだろうが、しかし、問題は裏でコソコソやるか否かではなく、何をやるかが問題なのである。今回のオリンピック招致のためには、裏でコソコソ動くことが成功への絶対条件であり、それをアンフェアだとは世界中が思っていない。「正々堂々と裏でコソコソ動く」という、日本人的には一見、理解し難い概念が実は世界の常識でもある。中国、韓国がアメリカの地で南京大虐殺、慰安婦像などをまことしやかに語って反日キャンペーンを行っているが、これはアンフェアではあるが法で取り締まることはできない。それを止めるには法的な措置を取るか、反撃のロビー外交を繰り広げるか、そのいずれかを選択するのが「外交」という一種のスポーツのルールなのである。だから、例えば民主党の岡田克也氏のようにガラス張りの世界の中で政治を動かすべきという潔癖症的な考え方があっても構わないが、こと政治に限っては、目的を実現するための政治的なアプローチよりも、その結果として得られる「成果」を最大の評価軸において物事を考えるのが常識である。

とまあ、話は思いっきりオバマ大統領と関係ないところで前振りさせて頂いたが、ここから本題へと戻して行こうと思う。繰り返しになるが、物事の評価はそのアプローチの方法ではなく、そこから得られる成果が重要であり、その様な視点で見たときに、手詰まり感がプンプンのオバマ大統領の政治手腕は如何ほどであるかという点である。

まず、オバマ大統領を最初に窮地に陥れたのはシリア問題である。化学兵器の使用に対するペナルティとしての空爆が話題となり、多くの報道機関はイギリス議会での空爆承認の否決に始まり、結果的に空爆できずにプーチン大統領の手の平の上で踊らされた感がある現状を、多くの人は「オバマ外交の敗北」と捉えている。私もその様に理解する側のひとりであるが、しかし、あそこで空爆していればもっと厄介な事態に陥っていたことも事実である。過去のブログでも触れたが、このシリア問題は「正解」のない難問・奇問の部類で、イランや北朝鮮などを意識して「レッドラインを超える極悪非道な行為は決して許されない」というメッセージを発する必要がある一方、制裁を課した後の状態は確実に制裁を課す前の状態よりも劣悪な状態に陥る可能性が高いことも認めなければならない。だから、空爆という制裁を課さずに、実効的には制裁を課したのと同様の状況を作り出すのが次善手となる。

実は噂によれば、9月の上旬にプーチン大統領が「シリアの化学兵器の破棄」を口にする前に、この「化学兵器の破棄」を口にした人物がいる。それはケリー国務長官であり、プーチン大統領が「シリアの化学兵器の破棄」を提案する前に、完全にオフレコの場において記者に対し「シリアの化学兵器の破棄が可能であれば、アメリカが空爆を見送ることもない訳ではない」と漏らしたという。その時、多くの記者は「アメリカの自信のなさを吐露してしまったケリー国務長官の判断ミス」と考えたというが、今となってみれば「空爆をしないで済む口実」を誘導するためにオバマ政権側が(プーチン大統領に)仕掛けた罠であり、結果的にプーチン大統領がこれをアシストしたと見る向きもあるという。本来は大統領が判断すべき空爆の是非を議会にかけようとしたことも、(それまでのアメリカのスタンスを維持するなら空爆を回避できない状況において)議会にかけることで時間を稼ぎ、その間にプーチン大統領の提案を引き出す策を水面下で行っていたとすれば、もし仮に実際に空爆をしていた際に置かれていたであろう現在のオバマ大統領の窮状を、上手い具合に回避できた絶妙の妙手だったと評価すべきかも知れない。

「たら、れば」の話で恐縮だが、もし仮にここで空爆を強行していたら、その後、何が起きていたであろうか?間違いなく、オバマ大統領の支持率は9月末頃には大幅に下落していただろう。この場合、現在のオバマ・ケアを睨んだ予算案不成立に伴う上下院での駆け引きは、オバマ大統領にとって相当不利な状況になっていたかも知れない。マスコミ的には「レイムダック」と罵声を浴びせられながらも、無用な支持率の低下を微妙に回避しながら政府のシャットダウンを向かえるに至った。結果として、既に法案が成立しているオバマ・ケアに対する予算案の不承認の責任が共和党に向けられて、共和党としては「進むも地獄、引くも地獄」の状況に追いやられている。今後の見所である債務不履行のデッドラインの17日に関しては、どう考えても国家の存亡よりも党利党略を優先したら共和党が壊滅することは目に見えているから、現在、立場的に不利な共和党はここでの譲歩は必然的に避けて通れない。日本で言うところの「雨降って地固まる」的に、この最大の難局を乗り越えればオバマ大統領はオバマ・ケアへの反逆が今後は当面(少なくとも来年の中間選挙までは)不可能な状況を作り出すことに成功したとも言える。

この様に政治家の評価は非常に難しいものがあるが、如何に評価するかという問題の基本的な考え方は、リファレンスとなるレベルを何処に設定するかで決まってくる。例えば、「シリアに対しては化学兵器工場などの要所の空爆を短期で完了し、民間人などへの被害が皆無な状況で大量殺戮兵器を使用不可能な状況に追いやり、一方ではアルカイダ系の反政府勢力を増長することもなしに、シリアのアサド大統領が譲歩する状況」を基準レベルとして想定するならば、現在の状況はアメリカの威信が傷つけられているのでリファレンスレベルよりは大幅にマイナスの状況といえる。しかし、「イラクやアフガンの様に泥沼化して財政支出が穴の空いたバケツのように増えていくと共に、アルカイダ系の反政府勢力が政権を奪取するような状況」を想定するなら、現状は相対的にはすこぶる良い状況とも言える。「十分に選択肢となり得る実現可能性が十分にある状況」が幾つか考えられる場合、その中のもっともありそうな状況を平均点のリファレンスレベルと設定し、その状況に対して現状がどの様な位置づけかを国際的な側面と国内的な側面から評価すれば、実はオバマ大統領は綱渡りではあるが上手く綱を渡り切った(ないしは渡り切ろうとしている)状況にあるのかも知れない。さらに政府閉鎖に伴う状況も、デフォルトを目前に控えた状況で戦況の有利/不利が明確に識別できる状況を作り出した状況は、結果的に自らは譲歩せずに難局を乗り切る結論に達することが可能なようだから、実質的にはそう悪い状態ではない。何処の国でも議会のねじれ現象は本質的な状況だから、その状況を乗り切る舵とりとしてはそれなりに評価されてもおかしくはない。これまた結果的ではあるが、イランの核開発がイスラエルを巻き込んだ中東の核戦争勃発のリスクを高めている問題についても、オバマ大統領がイラン穏健派のロウハニ大統領と電話会談を行い、少なくとも一時の最悪の状況よりは進展した状況は評価されてしかるべきである。勿論、イスラエルはイランに対して楽観的な評価などする訳がないから、相変わらず緊張はそこに存在するが、イスラエルも核の先制攻撃は自らの破滅、世界経済の崩壊を意味することは熟知しているから、イランが背に腹を変えられない「レッドラインを超える」確実な証拠を掴まない限り、ギリギリのところで微妙な平衡点でバランスを取り攻撃を思いとどまるしかない。

我々はこの様な状況を「運も実力のうち」と呼ぶから、やはりオバマ大統領は世間の評価よりは遥かに評価を受けるべき存在かも知れない。ついついマスコミは人の不幸を喜ぶから、レイムダックと囃し立てているが、真の評価は本当はまだまだ分からない。数十年後に歴史家が検証したとき、「あの人は凄い人だった」と評されたとしても、現役時代には罵声を浴びせられているのかも知れない。

本当のところは私も良く分からないし、ひょっとしたら、マスコミの評価通りにあまり評価は高くないのかも知れない。もちろん、個人的には極めて単細胞的なブッシュ前大統領との対比で(黒人初の歴史的な大統領でもあるオバマ大統領は)有能な人であって欲しいという願望もある。その様なバイアスは思いっきりあるのは認めた上で、あまりオバマ大統領を過小評価しない方が良いのではないかと最近感じはじめている。

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