けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

小野寺防衛相の能力を侮ってはいけない!

2013-02-09 23:55:27 | 政治
この週末、テレビでは様々なキーマンが出演してFCレーダ照射問題について言及していた。今日は、その辺をピックアップしてコメントしたい。

まず、BS朝日の「激論!クロスファイア」に出演した石破幹事長が面白いことを言っていた。誰もが感じていることであるが、習近平政権として致命的なことであるが、現状は軍部に対する文民統制ができていな可能性が高く、その背景には、江沢民のころまでは軍部にとって共産党の幹部は「一緒に国の為に戦った同志」という認識が強かったが、現在はその様な認識から大分乖離している可能性があるということである。つまり、習政権は日本と戦争をするつもりなど皆無だが、中国は意外に周辺国と局所戦を平気で行う国だから、軍部が局所戦ならいいだろうと暴走する可能性は完全には否定しきれず、その様な事態に対処する法整備、様々なシナリオに対するシミュレーションなどの準備は喫緊の課題であるという。

また、中国の軍幹部は日本の国会議員よりも数倍、日本の自衛隊法の詳細を熟知しているという。過去にもこのブログでも取り上げたように、日本の自衛隊は「あれとこれはやって良い」というポジティブリストで記述されるが、世界標準は「あれとこれはやってはいけない(裏返せば、それ以外はやって良い)」という記述になっており、ややこしい事態になった時に対処できない可能性が日本の場合には高い。問題が起これば所謂「特別措置法」を次から次へと作りまくり、その全てを熟知する指揮官がとっさの時に「あの法律に照らし合わせて、この判断を選択する」という速断を正確に行えることを期待している。しかし、どう考えてもこれは現実的ではない。これらの法制上の不備を中国側は熟知し、安倍政権はそれらへの対処を速やかに行うであろうから、中国は準備が整う前に色々仕掛けたいところであり、日本側はその前にスピードアップして対処しなければならないと言っていた。なお、当然と言えば当然のことであるが、どの国でも交戦規程の詳細は機密事項であり、ここで「この様なアクションを起こした時、相手がどの様な対応をするか」が事前に漏れることは圧倒的に不利である。だから、「こうなったらどうする?」と質問しても、石破幹事長はぬらりくらりと回答していた。しかし、自衛隊法に明文化された記述から、交戦規程がどうなっているかある程度の推測は十分できるから、石破幹事長も「兵器を守るための武器の使用は認められる」などとわざと反撃の可能性を匂わせた回答をしており、その辺の駆け引きというのが微妙なのだろう。

ただ、これは不幸中の幸いではあるが、もし自衛隊の交戦規定が米国同様で「FCレーダ照射を相手の戦闘行為と見なす」規定になっていると世界が認識していたら、今回の日本の行動は「腰抜け」と評価される可能性もなくはない。だから、中国の挑発に乗らないことが重要な日本にとっては、相手が発砲するまで撃ち返せないという状況は寧ろ都合の良い状況なのかも知れない。ただ、忘れてはいけないのは、それは最前線の自衛官の危険と引き換えの都合であることも忘れてはならない。

次に、今朝の日テレの「ウェークアップ!ぷらす」には、小野寺防衛相がテレビ出演をして興味深い発言をしていた。彼らしい、非常に抑えた発言ながら、ポイントを抑えた情報発信を行っているところが評価できた。まず、日本政府としてはギリギリのところでFCレーダー照射の証拠を公表する方向で検討中のようである。あそこまで言うのだから、多分、そう遠くないところで公表に踏み切るのだろう。同じテレビに出ていた何処かの大学の評論家は、「レーダー照射の事実の公表で、折角、期待された日中首脳会談が確実に遠のいた。民主党政権ではギリギリのところで水面下で処理していたのに、今回にはその様な判断ができなかったのか?」と暗に批判をしていたが、辛抱キャスターが即座に「それは公開するのが正しかった。隠しておけば良好な関係が維持できる訳じゃないですからね」とフォローしていた。小泉政権の例を引くまでもなく、対話は重要だが、こちらから頭を下げてお願いしてまで首脳会談を開く必要はないと毅然とした態度をとる方が、結果的には首脳会談が近づく可能性もあるということだ。ちなみにこの評論家は、日本政府が証拠を公開することに対し「証拠を出して中国を追い詰めれば、レーダー照射自体が正しいと肯定的に国民に対して宣伝し、より反日運動が加速しかねない」と食ってかかっていたが、これも宮崎哲弥氏が間髪をいれず、「今回の日本政府の対応は、毅然としていながら非常に抑えた対応をしていた」と評価しており、日本の報道番組にありがちな自分の立ち位置をわざと隠すような不誠実な対応と異なり、誤った判断をジャーナリストとして正す責任を忘れていなかった。

ところで、この番組で私がポイントと感じた点を取り上げておく。小野寺防衛相曰く、日本がFCレーダー照射の事実を公表し、中国に抗議を行って以降、中国の公船が尖閣周辺で領海侵犯することがなくなったのだという。この領海侵犯(統計は接続水域へ侵入かも知れないが)の回数は、尖閣を国有化した9月以降、9月が80回(隻?)台、10、11月が120回台、12月に政権が交代すると80回台に落ちて、この1月は50回台だったという。つまり、毅然とした態度により中国は口先だけは強がるかも知れないが、対外的には抑えた行動に繋がっているのだという。また、今回のFCレーダー照射の否定と日本への逆切れ非難は中国は国家として行っているが、一方で国内のマスメディアに対する統制を行い、安倍総理が中国に対して誠意ある対応を求める旨を発言して名指しで批判したことなどは全く中国の新聞に掲載されていないという。だから、中国が野蛮な行動を取った時、それを国際社会に日本が訴えることは、中国政府が中国国民に反日感情を高めさせようとする行動に繋がるリスクがあると捉えるのは間違いであり、逆に中国在住の邦人を守りたければ積極的に対外発信することが正しいことがこれで分かる。

なお、先ほどの中国の公船の領海侵犯がなくなったという事実は、中国政府から日本へのメッセージだと私は理解した。これまでは、習政権は軍部に対して意識的な統率を行わず、半ば現場(軍幹部)の判断で今回の様な行動を起こすことを許容していたが、習政権側はそれではヤバいという自覚を持つようになり、「(FCレーダー照射の事実を認めると国際的に非常にまずい事態になるから)否定はするが、日本の言い分に対してはある程度の理解を示していますよ・・・」と暗に情報発信しているのだろう。ただ、日本側はこれまでの長い長い経緯があるから、「本当に分かっているのだろうな?分かっていなければ何処まで日本が追い込む気なのか、その本気度を少しぐらいは実感してもらおうか・・・」ともう少し、中国を追い込むことをするのだろう。これは逆に、小野寺防衛相から中国への逆のメッセージなのだと私は感じた。以前から私は小野寺さんを復興大臣に推薦していたが、どうして中々、防衛大臣としてもその才能を発揮できそうである。

なお蛇足ではあるが、例えば尖閣での漁船衝突事件の際には温家宝首相などが積極的に前面に出て日本を非難していたが、今回は中国は外務省の報道官や国防省のホームページなど、インパクトのないところでの反論に終始している。中国の政府要人が何か発言すれば後々、そのとばっちりを受けかねないから、誰も表に出たがらない感じがしている。この一連の行動を見れば、この問題を日本と中国のどちらがうまくコントロールしているか、どちらが追い込まれているかは一目瞭然である。民主党政権との違いが浮き彫りになり、多分、明日あたりに公開される内閣支持率調査は一気に上がるだろう。

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2 コメント

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賛同します。 (駿太郎)
2013-02-10 11:27:13
ノーマークだった小野寺氏が防衛大臣となり、戦後最大の日本の危機に対し、慎重且つ舐められない、巧みな舵取りをしています。驚いてその源を調査し、ケロちゃんブログを見つけ分析に強く共感しました。今後も拝読する事を楽しみにしています。ガンバって下さい。
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コメント、ありがとうございます。 (けろっぴぃ)
2013-02-12 00:01:01
駿太郎様。先ほど気が付きましたが、多くのブログにコメントを残していただいているようでありがとうございます。まったくのど素人の気まぐれブログですので、あまりコメントまでフォローする余裕がありません。今後も失礼があるかも知れませんがご容赦を。。。
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