けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

日本人誘拐事件に関する4つのシナリオ

2015-01-25 22:14:56 | 政治
今日のニュースは湯川氏殺害と後藤氏のメッセージビデオに関するもので持ちきりだった。二人の殺害予告に対し、1名だけを殺害したとのメッセージは私にとっては予想外であったので、今日はこの点に絞って考えられるシナリオについてコメントしたい。

まず、常識的に言って今までのアメリカやイギリス人の殺害の経緯を考えれば、イスラム国が単なる脅しではなく本気で殺す気がある(というより、「あり得る」)というのは明らかだった。だから、たった二人しか人質がいないところで、二人のうちの1名を殺したとして残りの1名で「当初の要求以上の見返りを期待する」ことは現実的ではない。10名の人質がいて、1名だけを殺すのとは訳が違うのである。また、これまで240億円という有り得ない要求をしていたのに、今回の要求で「お金の問題ではない」と言い出したことは特筆すべき変化で、安倍総理の「新たなテロを誘発する身代金要求には絶対応じない」という強いメッセージがイスラム国側に伝わっていることを意味している。通常、イスラム国がこんなあっさり相手の主張に屈するとは考えにくく、その意味では様々なチャネルを通じて相手に明確なメッセージを伝えることに成功したことは理解できる。この点は、湯川氏が実際に殺害されているか否如何に関係なく、今後の誘拐の目的として、日本人に対しては何らかの政治的なアピール目的以外には、あまり利用価値がないことが確認された形であり、非常に有益な展開ではある。この意味で、まずは安倍総理の強いリーダーシップが功を奏した結果と理解できる。

さて、最初の話に戻って、何故、湯川氏が一人だけ殺害されたのかについての解釈を考えてみたい。私としては、4つのシナリオが考えられると思っている。

(1)湯川氏が実は最初から殺害されていたというシナリオ
まず最初の誘拐と身代金要求の映像が流れた時から、その映像に細工がなされている可能性が指摘されていた。3人の人物の影の出方や風の当たり具合などが明らかに不自然と言うものである。ただ、その映像を良く見ると、後藤氏と黒装束の男の影や風による服の揺れ方は、それなりに整合性が取れていた。一方で、湯川氏の方だけは様子が異なり、全体で見れば後藤氏と黒装束の男は同時に撮影を行い、湯川氏の映像を後から張り付けた感が強かった。解説者のコメントでは、人質を一カ所にした場合のリスクを嫌っていたとの話だが、たかだか二人でしかも相手が日本であることを考えれば、そこまで慎重になるとは考えにくい。更には、二人を別々に撮影し、それを2件連続して流しておけば、わざわざ映像を合成する必要もない。したがって、イスラム国側に何らかの映像を合成しなければならない理由があったと考える方が自然である。この場合、一番考えやすいのは、利用価値の薄い湯川氏は早々と殺されていて、それを悟られない様にすることで身代金要求の効果を倍増させることを狙っていたのではないかというシナリオである。また、後藤氏は湯川氏の殺害の写真を手に持ちながら淡々と喋っており、直前に殺されたのを知ったのであればもう少し動揺した雰囲気が漂っていてもおかしくなく、その点でも以前から湯川氏は死んでいた可能性が高いと感じるのである。

(2)日本政府との交渉において湯川氏の存在が邪魔であったというシナリオ
既に日本国内では後藤氏が保険に入っていたことが知られており、後藤氏が解放された場合でも「日本政府自体は身代金を払わなかった」という説明が可能であるが、湯川氏が同時に解放されたとなると、そこで「日本政府が身代金を払ったことが確定的」と社会が受け止めるという現実がある。つまり、後藤氏のみに関する交渉であれば、仮に身代金を日本政府が支払らっても「いや、払っていない!」と日本政府が言い訳をするチャンスが残されるが、湯川氏の交渉を絡めると、話がややこしくなるのでイスラム国側もやり難いという仮説である。

(3)ヨルダン政府を巻き込むための方便というシナリオ
先にも述べた通り、日本政府が身代金を払わないという方針は変わらない。しかし、安倍総理が「身代金を払わない」と明言していることの裏には、「巡り巡って、実際には身代金を払ったのと等価」なシナリオがあり得るということである。例えば、イスラム国はサジダ・アルリシャウィ死刑囚の釈放を求めているが、一方でヨルダン側はイスラム国に拘束された自国のパイロットの釈放を要求しており、その時に「後藤氏+ヨルダン人パイロット(合計2名)」と「死刑囚(1名)+10億円」という交換交渉はあり得る。死刑囚を拘束しているのはヨルダン政府で、したがって交渉の決定権はヨルダン政府にある。その時、ヨルダン政府が「死刑囚+10億円」の条件に同意した場合、日本政府はそれを拒否することは出来ないが、一方でその様に日本政府に応えてくれたヨルダンに10億円以上の支援を行うことは可能である。当然、テロ対策への支援と言う名目であれば、日本国内でも世界でも非難のしようがない。しかし、翌々見れば、「死刑囚」と「ヨルダン人パイロット」のトレードの裏で「後藤氏」と「10億円」の交換が行われたとも解釈できるので、この場合には交渉はやり易い。金額も20億かも知れない。その時、そこに実は生きていた湯川氏がオマケで解放されるというシナリオもあるかも知れない。ただ、この様な交渉に臨むとき、ヨルダン政府を巻き込むための積極的な理由が必要であり、そのために湯川氏を殺害したことにするという話はあり得る。また、この(3)と(2)の合わせ技で、(3)の交渉をするのに湯川氏が邪魔で先に殺したというシナリオもあるかも知れない。

(4)後藤氏を解放した後で後藤氏を操るための人質というシナリオ
現在、ヨルダン政府も介在して人質交渉がなされており、後藤氏の保険のことも考えれば、何処かで後藤氏が解放される可能性は高い。今回、映像の中で後藤氏は声明文を読み上げていたが、誰が見ても強制的に言わされていたのは明らかなので、政治的にこの発言が影響力を持つ可能性はゼロである。もし、この様な政治的な要求を効果的に日本政府に突き付けるならば、私ならば湯川氏が殺されたことにして後藤氏を別途開放する一方、後藤氏に「日本に帰国後、『日本政府がアメリカやイギリスと一緒に十字軍に加わるのには反対する! 』という発言を日本国内で行え!ある程度の政治的な効果が確認できたら湯川を解放してやる!このことを誰かに喋ったら、その時点で湯川は殺す!」と脅しをかける戦略をとるかも知れない。後藤氏は湯川氏の救出のために命がけでイスラム国に潜入するのだから、日本に帰国後、湯川氏の救出の為に何でもすることは容易に予想できる。

以上が私の描くシナリオである。どれが答えかは今は分からない。私のもっともありそうな予想は(1)+(3)のシナリオである。最初の合成映像には何か訳があるはずである。また、身代金要求を簡単に取り下げたのにも訳があるはずである。しかし実際に身代金を諦めた可能性は低い。

どちらにしろ、これからが正念場である。安倍総理には初心を貫徹して欲しい。

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