けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

野田総理が仕掛けた恐るべき戦略

2012-11-14 23:46:32 | 政治
今日の突然の解散宣言には驚いた。昨日の時点で解散封じの動きが激しくなって来ていた一方、少々子供じみた「嘘つき呼ばわり」の連呼が何故か野田総理にはボディーブローの様に効いていたようで、何としても解散に漕ぎつけようという決意が高まっていたのかも知れない。これまで、野田総理は自分なりの決断を何度もしてきながら、身内の色々な人の意見を聞いていることで挫けてしまったことが多い。尖閣の船止まり構想も一旦は石原前都知事と約束しながら、岡田副総理の横槍で実行に移せなかった。消費税増税法案ですら、反対派にズルズルと押し込まれ、最後の最後でギリギリ押しとどまったというのが本当のところだろう。決断力があればもっと早く綺麗に決着をつけることができたはずだが、話し合いをしているうちに醜態を晒してしまった。その様な経験の数々、つまり優柔不断なところが結果的に自らを追い込むことにつながった反省が、「今度こそは、何が何でも意志を貫くぞ!」という背水の陣につながったのかも知れない。

しかし、実は野田総理(多分、シナリオを描いたのは別のブレーンなのだろうが)は面白い仕掛けを党首討論で仕掛けてきた。それは、民主党が存続するための捨て身の仕掛けである。つまり、今度の衆院選では民主党はボロ負けするが、さらにその次の参院選で復活することができれば、その後6年間は国政でのある程度の足場を確保することができる。だから、次の衆院選で何処まで議席を残すかではなく、その先の参院選だけを見据えた作戦なのである。

今回の野田総理が提示した解散の条件は、次の通常国会までに大幅な定数削減法案を成立させるというものだった。民主党は、これまで定数是正法案が簡単に成立すると解散への足かせが外れてしまうから、ワザと話がもつれる比例代表連用性を持ち出してきた。明らかに比例代表連用性は、比例において(小選挙区で多くの議席を確保できる)大政党に不利であり、一般的な国民の目には不公平に見える。言ってみれば、小選挙区で負けることに対するその補填を比例で行おうというものだから、安倍総裁が言うように一票の格差の視点で憲法との整合性も問われる。だから、自民党としては絶対飲める提案ではない。しかし、そのクセ球を顔にめがけてブン投げてきたのだから、それを一旦は受け止めざるを得ない。仮に通常国会で成立をさせることができなければ、今度は安倍総裁に「嘘つき」の連呼が向けられることになる。だから何とか別の形での着地を探したいのであろうが、一旦、おいしい話を聞いてしまった弱小政党は連用性のカードを手放そうとはしないだろう。安倍総裁に「約束したじゃないか!」と迫り続け、聞き入れて連用性が採用されても良し、聞き入れられずに法案が成立しなければ次の参議院選で格好の攻撃材料を持つことになるからそれも良し、と考えるのは目に見えている。ある程度したところで、話がまとまらずに「じゃあ、小選挙区側の定員を減らそうか・・・」となると、その影響で失職しそうな議員が自民党内部から反逆を企てるだろう。どう考えても、参院選までに安倍総裁に打撃を与えることが期待できる。

多分、党首討論の場で安倍総裁はそのことに気がついたのだろう。だから、「解散しましょう!」と野田総理に逆に迫られて怯んでしまったのだろう。全くの奇襲作戦で全く予期できなかったのだと思う。そのネガティブなイメージを払拭するために夕方に記者会見を開いて野田総理の提案に応じると発表したが、党首討論での勝負は明らかに野田総理の方に軍配が上がるだろう。

ただ、民主党の方はその野田総理の捨て身の戦法に気がついているかといえば、どうも気がついていないように見える。大局的に民主党のことを思う議員は少なく、目先の自分の議席のことしか考えない人にとっては、野田総理の戦法など全く意味がないからだ。だから、参議院も含めて多くの議員がジタバタと慌てだし、見るも無残な内輪揉めで自滅の道を歩むのだろう。野田総理も、ある程度は意見の合わない人々は出て行ってもらって、純化路線を歩んだほうが良いと考えているのだろうが、以前のブログでも書いた内閣不信任案提出で脚光を浴びるタイミングで出ていこうと思っていた人たちはタイミングを失ってしまったから、離党してもニュースで頻繁に露出できるという旨みはほとんどない。であれば、民主党から刺客を立てられるぐらいだったら民主党に残った方が得かも知れない。こんな考えが渦巻きながら、野田総理には愚痴を言うが民主党からは出て行かないという不穏分子が数多く残り、だらだらと民主党の評判を悪くするだけかも知れない。

戦法としては私は思わず膝を叩いてしまったのだが、意外にもあまり効果はないのかも知れない。ただ、その膝を叩かせた野田総理のことは評価しても良いのだろうと思うから、この様なブログを書かせて頂いた。

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