けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

ノーベル平和賞と憲法9条と「限定的」非武装の関係

2014-10-23 22:28:10 | 政治
少し前の話題で恐縮だが、念のため振り返っておきたい。ノーベル平和賞に関する下記の記事に関するコメントである。

紙屋研究所 2014年10月17日「読み込み能力欠如もほどほどに

これは憲法9条をノーベル平和賞に申請した件に関する申請者サイドの誤った主張であり、その問題点を正した下記の記事に対してイチャモンをつけている。

JBPress 2014年10月16日「世界に恥を晒した『憲法9条ノーベル平和賞』申請

この記事のサブタイトル「戦争放棄をうたった憲法は99カ国に存在、知識欠如もほどほどに」にもある通りだが、日本国憲法の第9条の戦争放棄に関する規定は決して日本固有の特異なものではない。JBPressはこの点を具体的に示し、世界中の国の憲法は「戦争放棄」を謳いながら、一方で「国家緊急事態条項」として例えば侵略を受けた場合などはその例外措置的に反撃を認めるとしているのだが、日本国憲法9条はその点の明記がない点で欠陥憲法であると指摘している。また、自衛隊が現実に存在していることから、戦力の放棄の規定自体も現実的には憲法解釈で「非武装」から「武装」に変更されており、この点で特異性がないからノーベル平和賞に値しないとしている。

一方の最初の記事の主張は、ノーベル平和賞の申請理由にある「徹底した戦争の放棄」は第9条2項の話であり、戦力の放棄までを謳う憲法は世界中で類を見ないからノーベル平和賞に値すると主張しており、「読み込み能力欠如もほどほどに」と言っている。しかし、読み込み能力の欠如はこの当人であり、何故、自衛隊が憲法9条に抵触しないのかが理解できていないらしい。確かに、高校生レベルでは憲法9条の条文を読んだときに、これでは自衛隊は違憲だろうと感じてしまうはずであり、その様な難解な表現で書かれた憲法と言うものは如何かと思う。しかし、その様なところは余り論点としては重要ではなく、ある程度の知識がある人であれば法律解釈が可能である以上、その条文は法律として読み解かなければならない。私の今年の6月11日のブログ「憲法9条に関するお勉強」では、うさみのりや氏のブログを引用してこの点を再確認した。GHQが最初に示した方針では、少なくとも最初の記事の主張の様に、完全非武装を意図していたかも知れないが、所謂「芦田修正」と呼ばれる修正が第2項に加わり、限定的な非武装に変更された。日本政府も当初は「高校生レベルの一般的な日本語読解力を有する人が感じる解釈」を採用して非武装としてきたが、実は史上最大の憲法解釈変更がなされ、「前項の目的を達するため」という第1項の目的達成とういう視点での「武装」は否定するが、それ以外の自衛が目的のための「武装」はこの範疇にないとしている。つまり、ノーベル平和賞の申請理由にある「徹底した戦争の放棄」は「無条件非武装」の意図であり、そこまでの平和憲法は世界に存在しないから受賞に値すると主張しているのだが、これは法解釈が出来ていない高校生レベルの主張である。

もともと、ノーベル平和賞というのは政治的な意図が背景になり、今回のマララ・ユサフザイさんの受賞にしても、タリバンやアルカイダ、イスラム国などの非人道的勢力の否定をメッセージに込めており、この様な世界レベルでのベクトルを示す「政治利用」は否定されるべきものではない。オバマ氏の「核無き世界」にしても、全くの実績が伴わないにもかかわらず、その期待値を込めて受賞するに至った。金大中氏も南北首脳会談の実現を買われて受賞したが、朝鮮半島という「休戦協定」のまま時計が止まっている危険区域での平和活動を後押しするという政治意図があった(実際にはカネで買ったノーベル賞ではあるのだが・・・)。しかし、今回の憲法9条の話はその様な世界的な政治的ベクトルからくるものではなく、日本国内の政争の道具としての申請であり、余りにもレベルが低い。しかも、自民党の谷垣幹事長も「結構なことではないか。最後まで行ってほしいという気持ちがないわけではない」とボケたことを言っていて、本当に間が抜けているとしか言いようがない。

Wikipediaによれば、ノーベル平和賞は「選考はノルウェー国会が任命する政治的に独立した機関であるノルウェー・ノーベル委員会(5人)が行う」とあり、これらの人々が日本の憲法解釈を知らずに日本に授与することは未来永劫ないであろう。しかし、この様な運動を通して誤解を与え、法的解釈を高校生の読解レベルに格下げし、国民をミスリードすることになる可能性は気を付けて行かねばならない。

事あるごとに、その点は指摘せざるを得ない。

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