けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

東電の取るべき技術的なアプローチ

2011-12-06 23:19:19 | 政治
1週間ほど前の話であるが、福島第一原発の事故状況の解析結果を発表した。チャイナシンドロームに近い状況であった可能性があるという結論だった。

実は、3月の事故の直後、私は心配になって様々なニュースなどをあさりまくっていた。それは最も気になる事態、チャイナシンドローム現象が起こりうるのかどうかを知りたかったからだ。しかし、テレビも新聞も、その点については一切触れることはなかった。多分、4月になってからだろうと思うが、ある専門家(多分、何処かの大学の教授だったと思うが、名前は忘れた)がやっと、この点について言及していた。その内容は、「チャイナシンドロームは心配ない」と言うものだった。大本営発表的な発言ではなく、その他の発言も理路整然としていたので、私はこの人の発言を信用するに至った。その時の説明はこうである。

「核燃料は最大で2800度程度まで上がるが、燃料棒のジルコニウム、圧力容器や格納容器を形成する鋼鉄などを溶かしながら、溶融した核燃料は不純物が多くなり核分裂反応が抑制され温度は徐々に下がる。さらにコンクリートを溶かすことで純度はさらに下がり最終的にはコンクリートの融点2200度?を大幅に下回る温度まで下がり、ある程度のコンクリートの侵食によりそこで核燃料はストップする。問題はそのコンクリートの侵食量とコンクリート厚であるが、設計上は十分な厚みがあるのでコンクリートを突き破ってチャイナシンドロームにはならない。」ということだそうだ。

東電の今回の発表を聞くと、最悪の事態を想定して全ての核燃料が落下した場合を評価し、その結果、コンクリートの侵食量は65cmであり、建物を貫通するほどではないとのことである。上記の発言を裏付けるシミュレーションを実施した結果、その妥当性が定量的に示されたものであると私は理解した。もちろん、これはシミュレーションなので、実際にどうかと言う点で異論を唱える人も多いようだ。ただ、「東電のいうことは何でもかんでも信用できない」的な主張や、データに基づかないラフな評価も同じように信用はできない。一方で、チェルノブイリほどの事故でもチャイナシンドロームは起きなかったのだから、今回の評価結果はやはり妥当だったのであろうと思う。ちなみに、一部の報道では「チャイナシンドロームが起きていた」と表現していたが、チャイナシンドロームは少なくともコンクリートを貫通することを意味するので、「チャイナシンドロームは起きていなかった」ないしは「チャイナシンドロームに近かった」が正確な表現であろう。

私はこの様に納得したのであるが、東電に対する不信感が強いのは事実である。何かを隠しているのではないか?ではどうすればよいか?今回の件に関して言えば、多分、答えは簡単である。東電は今回のシミュレーション条件を全て明らかにし、そのシミュレーションの追試を外部の機関の人にもできるようにすれば良いのである。科学技術の世界では、誰かの学術的な報告に対し、論文に記載された同一条件を元に検証を行うことで、その真偽を確認し、その人の発見・発表が正しいことを認めるのである。であれば、今回も技術の世界であるので、全ての評価条件を示せばよい。最悪の事態として全ての各燃料が溶融して下に落下したと仮定するなら、ジルコニウムの混入料や鋼鉄の組成(100%の鉄ではないだろうから)、コンクリートの素材、そのコンクリートの融点などを明らかにすればよい。そうすれば、65cmの妥当性を検証できる人は現れるだろう。

この様な評価により、最悪の状態で何処までの状況がありえたのかがわかるはずだ。ただ、実際はそこまでは悪くない可能性も高いので、最悪の状況を抑えた上で、「では、実際のところは?」と気になってくる。ここから先は根拠のない単なる推測であるが、コンクリートの侵食まで行っていたら1号機の建物内に人が入ることなんかできそうもないと思う。しかし、実際には建物内で作業ができているので、それよりはましな状況なのだろうと思う。例えば、配管の継ぎ目などは高温で溶融し(ないしは高圧で破損し)、ごく一部の核燃料は落下し、さらに燃料に直接触れた放射性物質を多く含んだ水も漏洩したが、核燃料が落下した場所には水が溜まっていて、途中から大量の水の注入も始まり、現在では低温な状態が続いているといった感じで・・・。

これは東電の予測と概ね同じなのだろうが、いかんせん根拠が薄い。今まで情報を隠しまくっていたツケで、今は狼少年状態だのだから信じてもらえないことを恨むのではなく、地道に信じてもらえるだけの情報、追試ができるだけの情報を開示していくしかないのだと思う。

技術者であれば、技術的なアプローチで信頼を勝ち得て欲しい。

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