けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

朴槿恵政権の暗い闇 Part II(韓国検察のネット“リアルタイム摘発”)

2014-10-14 23:16:22 | 政治
産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が10月8日、韓国で情報通信網法の名誉毀損疑惑で起訴された件について、その後の動向を注視していたので今日はこの件で少しコメントしてみたい。

ご存じの通り、朝日新聞を含むほぼ全ての日本のマスコミはこの韓国検察の蛮行を非難していると共に、フランスを中心とするジャーナリストによる非政府組織「国境なき記者団」からも非難を受けている。アメリカの国務省のサキ報道官も同様に懸念を示し、「韓国の名誉毀損に関する法律について、国務省が毎年公表している人権報告書(2013年版)でも指摘したように『懸念している』と述べた」との発言で韓国の民主主義が後退していることを非難している。

常識的には世界的なこの様な反応が予想されていたので、韓国国内でのこの件に対する動きが注目されていたのだが、どうも韓国国内の動きが面白い。特に、元々の記事は朝鮮日報の7月18日付のコラム「大統領をめぐるうわさ」であったので、朝鮮日報の置かれる立場は非常に微妙である。まずはこの朝鮮日報の対応を確認してみたい。まず加藤前ソウル支局長が起訴されたのが10月8日であるので、その翌日の朝鮮日報の下記の記事を見てみよう。

朝鮮日報2014年10月9日「謝罪・反省しない産経前支局長、名誉毀損罪で在宅起訴

ここで、記事の一部を引用してみよう。

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検察は報道資料を発表し、起訴の理由について「加藤前支局長の記事は客観的な事実と異なり、その虚偽の事実をもって大統領の名誉を傷つけた。取材の根拠を示せなかった上、長い特派員生活で韓国の事情を分かっていながら、謝罪や反省の意思を示さなかったという点を考慮した」と説明した。
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朝鮮日報の主張は、産経新聞は謝罪や反省の意を示さないで、相変わらず朴大統領を貶めているけしからん奴らだ!というスタンスである。しかし、上述の「謝罪や反省の意思を示さなかったという点を考慮した」という点は興味深く、同じ内容の記事を書きながら、産経新聞は責任者が法的に処罰され、一方の朝鮮日報は謝罪の意を示し、大統領のアリバイの正当性を示す記事などをこれまでも紹介してきた。この差が「起訴」と「無罪」の差となって表れるのである。ついつい、この辺が本音として出てしまった記事が上述の記事である。

しかし、この論点に野党の論客が気が付いて、下記の記事の様に与野党間の法務部に関する国政監査の場で議論になったようだ。
朝鮮日報2014年10月14日「産経前支局長に『謝罪すれば不起訴』、韓国法相は否定

しかし、産経前支局長は「反省も謝罪もしないので起訴」、朝鮮日報は脅しをかけたら「態度を改めたので事情聴取すらなし」とは法治国家としてみっともないので、法務部長官が否定しなければならない事態になった。つい口を滑らせたような記事を書いてしまったことに反省し、紙面上で「反省文」を書いたような記事である。

この様に朝鮮日報は防戦一方なのだが、この辺は昨日の記事でも下記の様に変わらない。

朝鮮日報2014年10月13日「【コラム】産経前支局長起訴、問題をすり替える日本

こちらも一部引用すると、下記の様に謝罪どころか韓国を更に非難しているところがけしからんという検察サイドの主張を紹介している。

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韓国政府は記事を装った女性大統領に対するセクハラだと判断し、記事の取り消しと謝罪を要求した。しかし、産経は「大統領批判に対する不当な干渉だ」として、かえって高圧的な態度を見せた。検察の取り調べで疑惑は事実無根であることが分かったが、産経は謝罪どころか、紙面で「韓国は言論弾圧国」だとの主張を毎日繰り返している。
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ただ、この記事のレベルの低さは、タイトルにもある「問題のすり替え」の部分なのだが、どうも朝鮮日報は何故世界からこの件で韓国が非難されているのかが理解できていないようである。様々な韓国側の非礼な行動に対し日本政府や日本のマスコミが「口先だけで非難」する行動と、今回の韓国側の起訴という「国家権力による強権発動」とは全く質的に異なる。口先だけの発言は「言論・表現の自由」の範疇で、それは政府側でも不当なものに「不当」と異を唱える権利を持っている。問題は、強権発動を匂わせて(ないしは実際に発動して)相手を委縮させるような行動をとるか否かが核心なのである。その辺が民主主義の民度の低さだと笑ってしまうのだが、多分、本人たちは全く気が付いていないらしい。

ただ、朝鮮日報もこの様な政権のアシスト的な行動ばかりをしているかと言えば、必ずしもそうではない。

朝鮮日報2014年10月3日「【コラム】産経支局長を処罰してはならない理由
朝鮮日報2014年10月10日「産経前支局長の被疑事実、裁判で立証困難との見方も
朝鮮日報2014年10月14日「産経前支局長起訴、検察は朴政権の顔色をうかがい過ぎでは

上記の記事の様に、起訴に踏み切る前には「思いとどまるべし」との忠告を発し、起訴した後には「裁判での立証困難」との客観的な評価をし、終いには「検察は朴政権の顔色をうかがい過ぎでは」とまで言っている。これは、韓国の野党や左派系新聞の主張が「朴大統領のせいで、韓国が世界の笑いものにされた!」との主張になっていったので、最後の砦として「検察」と「朴大統領」の責任の切り分けを行い、朴大統領の被害を最小限に留めようと必死でヨイショしている様が見て取れる。何ともジャーナリズムの魂の欠片もない恥ずかしい状態である。

この様に、客観的に見れば笑える状態にあるのだが、どうもそれだけではなさそうだ。ハンギョレ新聞などの左派系の新聞は、この辺の事情をもう少し深刻に扱っている。

ハンギョレ新聞2014年10月13日「韓国検察がネットの“リアルタイム摘発”を計画…朴槿恵大統領の意向を受け

これは中々恐ろしい世界に入ってきた。この記事によれば、先月16日に朴大統領が閣僚会議で「大統領に対する冒とくが度を越している」とネットでの朴大統領への不当な非難を問題だと位置付け、「国論分裂および政府・公職者の誹謗」を主要な取り締まり対象に特定単語をリアルタイムでモニタリングすることにしたという。ここで重要なのは大統領が「不当」と言えば不当と決まる点であり、加藤産経前ソウル支局長の場合も、空白の7時間に朴大統領が一体何処にいたのか、何をしていたのかを証拠込みで示すことなく、「私が悪くないと言っているのだから、それを非難するのは不当だ!」と言えばそれで検察は取り締まれるという訳である。しかも自動的に・・・。

これは、全く恐ろしい世界で、中国なのか韓国なのかの区別がつかない世界である。私も昨年8月27日のブログ「韓国国民も知らない朴槿恵政権の暗い闇(破滅に向かう韓国)」にて朴槿恵政権の暗い闇について書いてきたが、これは大袈裟ではないようだ。私は朴大統領が任期を全うできるとは思ってはいないのだが、もし仮に任期を全うできたならば韓国はとんでもない世界に行ってしまうかも知れない。最近の韓国は中国に秋波を送っていると言われるが、それは単に北朝鮮に対する中国の影響力を気にしたり、中国との経済関係が支配的だとは限らず、より強権を持つ政府を志向しているが故に、民主主義の手続きに煩いアメリカに嫌気がさしている可能性も否定できない。普通考えればあり得ない話だが、論理的な議論で正しい答えを導くのではなく、徳治的に「四の五の言わずに、私が正しい方向に導いて差し上げましょう」的な気持ちが韓国では一般的なのである。好き放題のファンタジーとも言える捏造の歴史を盾に、「日本の歴史認識を正してあげよう!」というのもその結果である。

この様に全ての流れはどうも関係しており、加藤産経前ソウル支局長の起訴は歴史の必然だったのかも知れない。問題は、これが「振れ過ぎた振り子」と韓国国民が捉えて中心に戻る力を求めるのか、そのまま振り切れて振り子が何処かに飛んでいってしまうのか、そのどちらであるのか・・・。それは現時点では分からない。

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