けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

韓国での南スーダンの銃弾提供記事を追っかけてみた

2013-12-25 23:01:37 | 政治
今更であるが、痛快この上ないニュースである。南スーダンでの自衛隊から韓国軍への銃弾提供のニュースである。

ご存知の通り、南スーダンに派遣された韓国のPKO部隊が、治安の悪化に伴い弾薬の補充の必要性に迫られ国連に弾薬の補充を依頼したところ、韓国軍と同一の自動小銃を利用する自衛隊から1万発の銃弾提供がなされることになった。この経緯は読売新聞や産経新聞に下記の様に書かれている。

読売新聞2013年12月25日「敵だらけ韓国隊『ありがとう』…陸自小銃弾提供
産経新聞2013年12月25日「韓国軍『1人当たり銃弾15発』と要請、提供後は『日韓の絆の象徴』と謝意

南スーダンで活動する陸上自衛隊を指揮する井川賢一1佐などによると、日本時間の22日未明、韓国隊の隊長から直接電話を受けたという。その内容的には「周りは敵(の反政府勢力)だらけで弾薬が不足している」「ボルの活動拠点内には15,000人の避難民がいる。敵については北から増援も確認。1万発の小銃弾を貸してほしい」との内容である。さらには要請に応じた銃弾を受け取った後、「たった今空港で弾薬を受領した。この弾薬は日本隊と韓国隊の強い絆の象徴で、ジュバを訪れることができれば改めて感謝をお伝えしたい」と謝意を伝えてきたという。韓国と同一の自動小銃を利用している国は日本とアメリカとのことで、この要請は国連経由でも照会がかかったようだが、韓国隊の隊長からの直接の要請及び国連を経由した要請以外にも、その緊急性故に在日韓国大使館からも日本政府に要請があったという。産経新聞の報道によれば、その際韓国側では要請の内容を公表しないで欲しいと希望したそうだ。韓国側の非公表要請の表向きの理由は、現地にて銃弾不足であることが漏れると治安上の問題となり得ることがあるからだが、その後の韓国政府の慌てぶりからすると「国民には知られたくない」という魂胆は明白である。

しかしこの後が面白い。朝鮮日報の報道を順番に見てみよう。

朝鮮日報2013年12月25日9:31a.m.「PKO:実弾提供、韓日の主張に食い違い

ここにはかなり詳細に韓国側と日本側の主張が併記されている。韓国政府の立場はあくまでも「国連南スーダン派遣団(UNMISS)に弾薬支援を要請し、UNMISSを通じて支援を受けた(だから、日本には支援要請などしていない)」というスタンスで、「予備量を確保するため臨時で借りたもで、銃弾は不足していない。」と開き直る。また、日本政府が情報を公開した背景には当然のことながら武器輸出三原則や集団的自衛権との係わりを持つ政治判断であることから、(特定秘密にも該当しないので)広く公開してその判断の妥当性を国民が出来るように情報公開に至ったのであるが、その公開した情報と韓国政府の主張が食い違ったために、韓国政府とのやり取りの詳細まで公開することになった。これに韓国政府が噛みついた格好である。さらに小野寺五典防衛相の説明として、最初の要請は国連経由ではなく現地の韓国軍部隊の責任者からなされたことを明らかにし、さらに別の日本政府当局者は「現地部隊が直接(銃弾を)提供する法的な根拠がないため、外交当局間の合意で、国連を間に立てて引き渡す形式を取った」と生々しい事実を明らかにした。その論理的整合性を考えれば、韓国政府が嘘の答弁を行っていることは明白である。しかし、その嘘を塗り隠すために「銃弾提供問題を日本政府が政治問題にすり替えた!」と批判している。韓国政府当局者は「弾薬を持ち韓国を出発した支援チームが現地入りすれば、自衛隊から借りた小銃弾をそっくり返す」と述べたそうだが、そっくり返せばこの話はなかったことになると思っている辺りが何とも子供じみていて楽しい。

タイムスタンプを見れば、この記事の2分後にアップされた記事が以下のものである。

朝鮮日報2013年12月25日9:33a.m.「PKO:韓国軍への実弾提供、韓日の外交問題にすり替え

韓国政府の主張する政治利用の詳細は、(1)国際協調主義を基盤とする「積極的平和主義」の正当性をアピール、(2)国家安全保障会議(NSC)の存在意義を示す機会、(3)「集団的自衛権」の行使に向けた実績の積み重ね、ということである。しかし、どれを取っても韓国が直接的な被害を受けるものはなく、感情的に不愉快ではあるが、中国の様に思いっきり実害がある立場ではない。にもかかわらず、「UNMISSを通じ、迂回的に実弾の支援を受けただけにもかかわらず、日本側が軍事的な役割の拡大に結び付けている。外交ルートを通じ、強い遺憾の意を伝えた」として日本に対し「警告」のメッセージを発したと主張している。

さらに30分後、以下の記事が掲載されている。

朝鮮日報2013年12月25日10:02a.m.「PKO:武器提供に敏感な日本、韓国政府の予想上回る

韓国的には単に銃弾の貸し借りのつもりだったが、日本政府が過剰に敏感な反応をし、NSCを2回も開いた上に官房長官談話まで発表したことに驚きを感じているとのことだ。これは日本政府の反応だけではなく、本来は韓国・中国に従順な日本の反日メディアすら「武器輸出三原則」や「集団的自衛権」にかこつけて炎上し始めたため、韓国政府があおりを食らったという解説である。この辺の意識に韓国政府は無防備であり、そこは韓国政府の問題だとしている。ただ、直接的に韓国政府(というか大統領府)を批判するのではなく、「(所謂国防省に相当する)国防部がほぼ全面的に決定したこと。日本に対する政務感覚のない人ばかりが集まって決定したため、全般的な状況を見極められなかったようだ」として、国防部がA級戦犯として人身御供を立てている感がある。しかし、この要請の決定会議には大統領府の行政官も出席しており、決して責任を逃れられる状況ではない。にも拘らずの弁解だからこれまた子供の駄々に近い。

新聞社としては別に困った話ではないが、しかし癪に障るということで、この2分後の記事が以下のものである。

朝鮮日報2013年12月25日10:04a.m.「PKO:韓国軍への実弾提供、日本で野党の批判高まる

日本の野党も銃弾の提供が誤りだと騒いでいるとして、何か良く分からない援護射撃を出している感があるが、別に日本の野党が何を言ったからと言って、韓国国内での議論に影響を与えるものではない。

これらの一連の記事とは別に、これらの記事の合間に朝鮮日報の社説が掲載された。

朝鮮日報2013年12月25日9:58a.m.「【社説】日本に集団的自衛権の口実与えた韓国軍の無能さ

「まあ、何を言っても韓国軍の無能さを否定はできないだろ」という社説なのである。ただ、「日本は首相が直接会議を主宰したが、韓国は現地にいる責任者の提案に基づき国防部が単独でこの重大な決定を下した。」としているが、本音としては「韓国政府は誰も検討さえせず、頭を悩ますこともなかったのだ。これでは何のために毎週のように外交安全保障の関係閣僚会議を開催し、また何のために大統領府に韓国版国家安全保障会議(NSC)事務局を新たに設けたのか、理解ができない。」として、結局は政府(大統領府)が無能であることも指摘している。

ただ、この記事には深く読むともう少し別の情報が記載されている。「韓国は今年3月、南スーダンに210人の工兵部隊とその警護に当たる70人の兵士を派遣。自衛隊も主に工兵を中心とする320人規模の平和維持部隊を派遣している。」との記述があり、ここで「工兵部隊」という記述がみられる。この「工兵部隊」とは戦闘を専門とする要因ではなく、様々な作業を行うための要因であり、Wikipediaで「工兵」を調べると「戦闘においては実際に戦う歩兵・戦車・砲兵部隊だけでなく、土木建築などの技術に特化した部隊が求められる。敵の防禦陣地や自然障礙の破壊、野戦築城や道路の建設、爆破工作、塹壕掘り、地雷原敷設などの能力を持つ。」などの説明がある。また派兵時期が3月であったが、この時期にはまだ治安情勢はそれほど悪くない。この夏に南スーダンの大統領と副大統領が対立して一気に情勢が悪化したことからすれば、その後の武器の補充を考慮に入れれば装備の軽さが責められて然るべきか否かは微妙であろう。まかりなりにも、正式な政府が存在する国に平和維持活動として参加するため、過剰な装備をその国の政府が嫌うのは目に見えており、必要最小限との判断だったのかも知れない。しかし、事態が急変したのであれば、自らの生命の安全と15000人の避難民の防衛を目的として、早め早めに手を打つのは賢明な状況判断である。日本に借りを作るのが嫌だから、命の危険を承知で丸腰で頑張れ!と命令できる責任者がいるのなら、韓国政府及び韓国マスコミには是非ともその様な人を紹介してもらいたいものだ。だから、この様な国防部の判断を「政務感覚がない」と批判するのは簡単だが、その様な批判の「政務感覚しかなく、安全保障的な感覚がない」ことに対する評価はどうなのだろうか?命がけの軍人のことを将棋の駒の様にしか考えられない暢気なことを言う人の主張を、韓国国民はどの様に評価しているのだろう。

なお、これらの記事は今日の出来事であるが、昨日の時点で韓国政府は下記の様に反論をしている。

朝鮮日報2013年12月24日「日本からの銃弾支援に懸念の声 韓国政府は反論

既に紹介済みの韓国政府の弁解だが、この様な事を繰り返すから、菅官房長官は「国連、韓国から要請があった。それが全ての事実だ。」と簡単明快に事実を明らかにし、さらに追い打ちをかけるように、安倍総理も重ねて「人道上、危機管理上、判断した。現場(で韓国側)からは感謝の念をもらっている」と、上述の韓国隊の隊長からの謝意を引き合いに出した。

本当に責められるべきは、武器携行の不十分さというミスをそれだけのミスで済ませるのではなく、誰が見ても聞き苦しい言い訳を繰り返し、細かな証拠を日本政府に突き付けられる形で自らを窮地に陥れた韓国政府の判断ミスが責められるべきであろう。常識的いは、「自衛隊からの銃弾の提供に深く感謝する。ただし、だからと言って日本の『積極的平和主義』、『集団的自衛権』、『武器輸出三原則の見直し』を容認する訳ではない!」と言えば良いだけの話である。

まだ海外の報道ではあまり話題になっていない様だが、少なくとも世界の政府レベルではこの韓国の醜態は周知の事実となった。嘘で塗り固めた子供じみた我儘外交はまだまだ続きそうである。

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